米と米麹だけを使った純米酒と違い、「本醸造酒」にはアルコールが添加されています。
ただし、アル添だといって悪い酒というわけではありません。
添加しているアルコールの多くは、サトウキビなどを原料とした蒸留酒なので、別に体に悪いものではありません。味を整えてくれるので飲みやすいものが多いですし、純米酒と比べてお手頃価格のものが多いです。
そこでこの記事では、本醸造酒の魅力に迫ります!隠れた銘酒も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
1. 本醸造とは醸造アルコールが添加された日本酒
日本酒は大きく分けると2タイプ、9種類に分類することができます。下図をご覧ください、わかりやすく図にまとめてみました。
タイプは2つ、純米タイプか本醸造タイプ、そしてそのタイプの中に4種類ずつ計8種類と、その中に当てはまらない日本酒を「普通酒」として計9種類に分けることができます。
純米タイプと本醸造タイプとの大きな違いは「醸造アルコール」を添加しているか、いないかの違いになります。
純米タイプは米と米麹のみで造られる日本酒です。そこに醸造アルコールが添加されているお酒が本醸造と呼ばれます。
そのため本醸造タイプの日本酒のことをよく「アル添」だったり「アル添タイプ」と呼んだりもします。
2. 本醸造に含まれる醸造アルコールは悪いものではない!
一般的なイメージとしては、醸造アルコールを添加するので本醸造酒は「添加物で体に悪い」という印象がありがちです。これは食品に使用される着色剤や凝固剤など広く知られている食品添加物の知識が影響しているからではないかと考えます。
しかし、そんなことはありません。
なぜなら、
- 醸造アルコールを入れる目的は、香りや味を際立たせて酒質の安定を図るため
- 醸造アルコールの原料の多くはサトウキビを発酵させてつくられた蒸留酒(純度が高いアルコール)。その他サツマイモやトウモロコシなどの穀類が使用されることもある
- 本蔵造酒に使用できる醸造アルコールはコメの重量の10%までという決まりがある
からです。
醸造アルコールには味や香りはほとんどなく、すっきりとした味わいのアルコールです。
もとの日本酒の味を大きく損ねることはありませんし、原材料からもわかるように醸造アルコールは、けして体に悪いものではありません。
スッキリとキレのある飲みやすい味わいが本醸造酒の特徴です。
また、本醸造の中で特別本醸造というのは特別な製法で造られた本醸造酒になります。決められた規則はなく各蔵元がオリジナリティーを出して造るのが特別本醸造になります。
例えば普通の日本酒は三段仕込みという製法で造られますが、そこをもうひと手間加えた四段仕込みの製法で造られたものや、通常精米歩合は70%で本醸造と言えるのですが柔らかな口当たりを出すために精米歩合55%にしているなど、その蔵の独自のアレンジで個性を持って造り出している本醸造酒を特別本醸造と言います。
「醸造アルコール・アル添の日本酒って本当のところどうなの?」でも詳しく解説しておりますので、ぜひ合わせて読んでみてください。
3. 本醸造とは、いったいどんな味なのか?
本醸造の味わいは、さっぱり、スッキリで飲みすい辛口タイプというのが基本です。また、冷酒で飲むのに向いているので冷蔵庫で冷やしてから飲むも基本です。
3-1. 本醸造は、さっぱりしていてすっきりとした味わいが特徴
純米酒は、米の甘味とまろやかな味わいを楽しむ日本酒で、トロっとした口当りや、それぞれの酒米の旨味を感じながら楽しむのが純米酒の良いところです。
では、本醸造はいったいどんな味わいなのかということですが、一般的に本醸造の日本酒はさっぱりとしていてキレのあるスッキリとした味わいの日本酒が多いです。
スッキリとしていて飲みやすいということは、癖がなくどんな料理や温度帯にも合わせやすいということが言えます。
ですから普段使いの晩酌にいろいろな料理と合わせて楽しむ、もしくはちょっと一杯簡単なおつまみと合わせるなんて言うのに持ってこいの日本酒ということが言えます。
3-2. 本醸造を飲むならまずは、冷酒で!
本醸造を味わうのなら最初は、ぜひ冷酒で楽しんでみてください。本醸造の特徴であるさっぱりとした口当たりは冷やで飲むのがとてもよく合うのです。
日本酒にあまりなじみのない方は、よく米本来の独特のコク、旨味を癖があって嫌だという方が多いのですが本醸造はそのような癖がなく飲みやすい日本酒といえるでしょう。
毎日の晩酌には準備いらず、冷蔵庫から持ってきてお猪口やグラスに注いで手軽にいただけるところも魅力です。合わせる料理も選ばない普段使いの総菜に合わせても良いし、少しこってり目の料理にもすっきりしていて癖がない分、相性が良く合わせられるのが魅力です。
4. 本醸造に合わせるならこの料理!
4-1.白身魚の昆布〆
例えば、少し贅沢に今日はご褒美なんていう時にはとっておきの白身魚の昆布〆なんていうのもちょっと贅沢です。
富山の新湊産のひらめを使って、昆布は北海道産の真昆布で仕上げた贅沢な一品です。塩気と甘味の味わいが絶妙でさっぱりとした本醸造のお供には最高の一品です。
通販で取り寄せられるので気になる方は試してみてください!
とやま市クラブ公式サイト→
白身魚の王道 富山新湊産ひらめ昆布締め 約160g ¥ 2,400(税込み送料別途 )
※2019年9月現在の料金です
4-2. ホタテのカルパッチョ
以外かもしれませんが洋食のこのようなカルパッチョ料理も抵抗なくマッチングしてしまうのが本醸造の奥深いところなのです。
特に香りの高い本醸造とはオリーブオイルの愛称は抜群なのでいつもワインを合わるという方も一度試してみてください!
鶏肉のソテーや、カニのトマトクリームパスタなどという手軽な料理にも・・・ちょっとしたアレンジでその他にもいろいろアイデアが浮かびそうです。
4-3. だし巻き玉子
甘めの玉子焼きなどよりは薄味のだし汁がきいただし巻き玉子がスッキリとした後味の本醸造には相性抜群です。
玉子焼きと日本酒が口の中で調和して何とも言えない幸せな気分に浸れます。
4-4. 鯖の塩焼き
E・レシピより参照
魚に脂がのり美味しくなる季節の鯖や秋刀魚などの塩焼きに合わせるのは王道です。
程よく冷やした本醸造と焼き魚さえあれば何杯でもお酒がすすんでしまうので注意したいところ・・・
4-5. 鮪のぶつ切り
日本酒に合わせるお刺身は少し高級なものじゃないといけないような気になっていないでしょうか。
本醸造の癖がない飲みやすさがあるからこそ、特売などで売っている鮪の切り落としやぶつ切りの程良い旨味が相性よくマッチングし十分美味しくいただけます。
4-6. 里芋の煮ころがし
煮物関係は、言わずもがな日本酒とは相性ばっちりです。里芋の煮ころがしの様な少し味の濃い食べ物も本醸造の口当たりの良さと溶け合い味わい深くいただけます。
5. 本醸造|一度は飲みたいおすすめ銘柄
5-1. 八海山 特別本醸造
説明はいらないくらい誰もが知っている銘柄八海山です。八海山の中にもクラスがいろいろあるのですが、おすすめなのは「八海山 特別本醸造」です。二千円台の本醸造でこの味わいは、さすが八海山という感じで十分満足できると思います。
酒米は五百万石を使用してあっさりとした味わいに仕上げ精米歩合55%の高精白でとても口当たりが柔らかく飲みやすいのが特徴です。八海山を飲んだことがないのならまずこの本醸造から入るのがおすすめです。
・蔵元:八海醸造㈱(新潟県)公式ページはこちら→
・製品:八海山 特別本醸造 1800ml
・価格:2.390円(税抜き)
・購入はこちら→
5-2. 花泉 本醸造辛口
こちら福島の花泉酒造が醸す「花泉 本醸造辛口」になります。この日本酒のこだわりは「もち米四段仕込み」です。
通常の日本酒造りが三段仕込みで行われるところもう一工程増やし手間をかける製法です。最後の工程で使うのがもち米で、もち米を使うことによりすっきりとしながらも優しい旨みとコクを持つ、花泉ならではのオリジナルな味わいを生んでいる本醸造です。
冬なら燗酒で飲んでもとてもおいしく、おでんなどとも相性抜群です。
・蔵元:花泉酒造合名会社(福島県)公式ページはこちら→
・製品:花泉 本醸造辛口 1800ml
・価格:2.182円(税抜き)
・購入はこちら→
5-3. 開運 祝酒 本醸造
静岡県というと良質の美味しい日本酒を造る蔵元が多い県として有名ですが、土井酒造場もそんな蔵元の1つです。
1874年(明治7年)創業の老舗酒蔵です。そしてそんな土井酒造場が創業当時から醸すロングセラー商品がこちら「開運 祝酒 本醸造」になります。
地元では、冷酒から燗酒までどんな温度帯でも楽しめる万能な晩酌酒としてしっかりと定着しており、本醸造ならではのきりっとした喉ごしの良さは抜群で開運ファンはこの魅力に取りつかれてしまうのだと感じます。
酒米は兵庫県産の山田錦にこだわり精米は60%と吟醸酒を名乗ってもおかしくない丁寧な精白で造られた上質でバランスの良い本醸造になります。
・蔵元:㈱土井酒造場(静岡県)公式ページはこちら→
・製品:開運 祝酒 本醸造 1800ml
・価格:1.952円(税抜き)
・購入はこちら→
5-4. 朝日鷹 低温貯蔵酒 特別本醸造
日本酒好きなら知らない人はいない「十四代」を醸す山形県の高木酒造が醸す地元酒が「朝日鷹」になります。
全国区での販売はされていないので山形に出かけたときに地元の居酒屋で飲んだり、地酒販売店で購入したりするのがおすすめです。在庫があれば取扱店舗に問い合わせて購入することができるようです。
開栓したときに穏やかな吟醸香が漂い、口に含むと実にまろやかなとろみがあり本醸造とされていますが吟醸酒といってもおかしくないくらいさらりと口当たりがすばらしく、程良い甘みがあるのが特徴です。
精米歩合は60%で吟醸酒クラスの高精米そして低温貯蔵酒ということで一定期間低温の蔵の中で寝かせて出荷させるというこだわりのある本醸造です。本醸造にして吟醸酒クラスの上品な味が楽しめる究極の逸品と言えるでしょう。
・蔵元:高木酒造 ㈱(山形県)蔵元紹介ページはこちら→
・製品:朝日鷹 低温貯蔵酒 特別本醸造 1800ml
・価格:2.000円(税抜き)
・商品問い合わせはこちら→
注)高木酒造の正規取扱店では蔵元の意向で基本ネット販売は行っておりません。ネットで購入できるものは定価より高い販売価格で正規代理店の販売でないことがあるので注意しましょう
5-5. 十四代 本丸 特別本醸造
こちらが十四代の本丸 特別本醸造になります。日本酒好きなら絶対に1度は飲んでみたい人気の1本でもあります。
開栓すると本醸造酒でありながらフルーティーな香りがして美味しいに違いないと予感させてくれます。そして口に含んだ時に広がる吟醸酒の様な上品な香りには、最初はきっと驚くのではないでしょうか。
まろやかでいて、サラッと軽快な飲み口、また舌で転がすとフルーティーな余韻がいつまでも続き本醸造を飲んでいることを忘れてしまうくらいです。
「十四代」の名前を不動のものにした「十四代 本丸 秘伝玉返し 特別本醸造」は、飲めばその理由がうなずける本醸造の名品と言えるでしょう。
なお、十四代は全国区での販売ですが販売本数に限りがあり正規取扱い販売代理店においても抽選販売の様な形で取り扱っています。また、販売方法は正規取扱販売代理店により違うと思いますので気になる方は問い合わせてみるとよいと思います。もしくは十四代を取り扱っている地酒酒屋などでも味わえると思いますのでお近くの地酒専門居酒屋を検索してみるのも一案です。
十四代の日本酒に関しては別ページの「十四代の魅力とは?これまでの日本酒の常識を変えてきた高木酒造の話」で詳しく記事を上げておりますのでご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
- 蔵元:高木酒造 ㈱(山形県)蔵元紹介ページはこちら→
- 製品:十四代 本丸 1800ml
- 価格:2.100円(税抜き)
【十四代 正規取扱販売店】
- 地酒銘酒 小山商店 webページはこちら→
- 地酒専門創り酒屋 かがた屋酒店 webページはこちら→
- 地酒専門店 鈴傳(すずでん)webページはこちら→
- 酒舗まさるや webページはこちら→
【十四代が飲める店】
- 銘酒居酒屋「赤鬼」webページはこちら→
- 銘酒居酒屋「酒友」webページはこちら→
- 日本酒専門居酒屋「日本酒原価酒蔵」webページはこちら→
※掲載販売店や居酒屋はほんの一部を取り上げました、この他にも全国で取扱店は多数ありますので、ぜひ調べてみてください。
まとめ
ここまで本醸造についてお話して参りました。本醸造に関して少しおわかりいただけましたか?
本醸造は醸造アルコールが添加されているお酒である、そしてその醸造アルコールは一般的には悪いイメージがありますが醸造アルコールの原料はサトウキビなどの穀物類からつくられていることが多く、実は体に悪い影響は与えないということをご理解いただけたのではないでしょうか。
また、本醸造の味わいは、さっぱりとしていてスッキリと飲めるタイプの日本酒が多く有名銘柄を造っている銘醸蔵においても純米酒に引けを取らないとても質の高い本醸造酒を造っているということも併せてご理解いただけたのではないでしょうか。
今まで本醸造は何か敬遠していたという方も一度トライしてみようかな?そんな風に思っていただけたのなら幸いです。
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