日本酒は720ml、いわゆる四合瓶(しごうびん、よんごうびん)で売られていることが多いですね。
例えば、人気の「新政(あらまさ)」を醸す新政酒造では、一升瓶(1,800ml)は一切やめて、全て720mlで売っています。
でも、そもそもなぜ720mlなのでしょう…?
500ml、1,000ml(1L)などは他の飲み物でもよく見かけますし、ワインボトルは750mlです。
ということで720ml(四合瓶)の謎を今回調べてみました!
目次
1.日本酒の720mlは四合瓶のこと
720mlのボトルは、四合瓶といいます。
読み方は「しごうびん」「よんごうびん」どちらも正解ですが、「しごうびん」と聞くことが私は多いですね。
ただし、「死ごうびん」とも聞こえるので、お祝いの集まりや法事などでは忌み言葉になってしまうので控える方もいるようです。普段から「よんごうびん」と呼んでいれば間違いありません。
2.720ml(四合瓶)になった背景
1,800mlの一升は「合」に換算すると十合です。
なので半分の量なら五合ではないか?と思いますが、なぜか四合です。不思議。
なぜ四合なのか調べてみると、諸説ある様なのですが、岩手県にある菊の司酒造の解説が分かりやすかったのでここで引用します。昔は五合瓶というのもあったようです。
日本にはその昔、「盃(はい)」という単位があり、一盃を四合(720㎖)としていたことに準じているのではないかという説。もう一つは、この五合瓶サイズから四合瓶サイズへの規格の入れ替わりは、消費者が求めるお酒の容量、併せて保管スペースの確保がひとつの要因なったではないかと…。つまり、消費者のニーズに応えた説。
つまり2つの理由が考えられるとのこと。
・昔の単位「盃(はい)」が720ml(四合)だったため720ml(四合瓶)が普及した
・消費者が求める酒量が720ml(四合瓶) で、保管の点からいっても手軽だった
確かに720mlは、比較的短期間で飲みきれるサイズであり、冷蔵庫保管であっても常温保管であっても置き場所にあまり困らないという点で納得です。
3.720mlってどのくらいの量?サイズ?重さ?
720mlがどのくらいのボリュームがあるのか徹底解説します。
「多いから飲みきれないかも…」「大きいと保管が困るかも…」などと悩んでいる方は参考にしてください。
3-1.720mlの量とは?
一合徳利&一勺(いっしゃく)おちょこ(平盃)
720mlというと、
・一合徳利(180ml)で換算すると4本分
・一般的なおちょこ約40杯分(※18mlのおちょこ)
となります。
これはおうちで飲むには十分な量ですね!
さらに一升瓶はこの倍以上ですから結構なボリュームです。
「色々な種類の日本酒を飲みたい!」という方は、一升瓶より四合瓶で買うのがおすすめです。
3-2.720ml(四合瓶)は家庭用冷蔵庫にしっかり入るサイズ
酒蔵さんが採用するボトルによって微妙に変わってくるんですが、基本的に720ml(四合瓶)はコンパクトで家庭用冷蔵庫にもちゃんと入るサイズです。
例えば、以下の写真は「寫楽(しゃらく)」という銘柄の720ml(四合瓶)ボトルになります。
サイズを実際に計ってみたところ、高さが約30㎝程度、瓶の幅(瓶底直径)は約7.5㎝でした。
このサイズは、一般的な家庭用冷蔵庫のドアポケットにスッキリ収まるサイズです。
一方、一升瓶だと約30㎝程度の高さがあります。例えるならA4サイズの長辺が29.7㎝なので、そのくらいと考えると想像しやすいでしょうか?
そのくらい高さがあると、冷蔵に縦置きするのは難しいですね。でも、できれば日本酒は縦置きしたい。横置きだと日本酒がフタにあたって味わいに少し影響する感じがするんです…。
冷蔵庫にしっかり縦置きしたい場合は720ml(四合瓶)を購入しましょう。
3-3.720ml(四合瓶)は1L牛乳パックより少し重いくらい
次は重さです。720ml(四合瓶)の重さは、瓶も含んで1.2~1.6kg程度です。
1L牛乳パックが約1.0kgなので、それより少し重いくらいとイメージできます。
秋田県にある酒販店「高良酒屋」の通販サイトでは、720ml(四合瓶)基本1.2kgとしているようです。
画像:高良酒屋公式ページ「送料について」のページより
どんな酒瓶に入っているのか、また、どんな種類の日本酒なのかにより多少の重さの違いはあるものの、だいたい1.2~1.6kg程度と認識しておけば良いと思います。
4.720ml(四合瓶)が増えてきた理由
冒頭で「新政酒造は全て720ml(四合瓶)で販売している」と言いましたが、業界全体的に、最近は明らかに720ml(四合瓶)を見かけることが多くなりました。私は色々飲みたいので基本720ml(四合瓶)で購入するのですが、前はあった「この日本酒、一升瓶しかない!」というのがほぼなくなりました。
その理由は、買いやすい、保管しやすい、飲みきりやすい…など色々あると思いますが、ここでは新政酒造が720ml(四合瓶)を採用する理由を紹介します。
画像:新政公式ページ「当蔵の方針」より
上の文章は新政酒造の公式ページに書かれている一文です。
簡単に解説すると
・酸化すると品質が落ちるため「すぐに飲みきることが可能な量」で販売
・冷蔵庫の保管には720ml (四合瓶)が最適
このような理由だと書かれています。
居酒屋さんでは一升瓶でもすぐ空になることが多いので良いですが、個人で買う分には720ml(四合瓶)のほうが助かりますね。
それに、輸送技術などの発展で生酒が流通するようになったので、フレッシュなうちに飲み切ることが求められるようになったというのもあると思います。
5.海外ワインは750mlだが、日本ワインは720mlも
通常海外の輸入ワインなどは750mlなのですが、日本のワインはなぜか720mlのものもありますね。
これは、日本では720ml瓶が主流なのでそちらに合わせた形だと言われています。
岩手くずまきワインの「さくらワイン」というさくら酵母で造られたロゼワイン
「jwine」というワイン公式サイトに、その理由が記載されていました。(以下引用)
外国でのボトル容量は750 mℓ、日本のそれは720 mℓである。その理由は、720 mℓは(日本の単位である)4合に相当し、日本でワイン造りが始まった当時のボトル製造業界で4合瓶が量産されており、750 mℓボトルを使うと製造コストが高くなったので、720 mℓボトルが使われるようになったとのことである。
まとめると以下です。
・日本にワインが入ってきた当初は、ボトル製造業界では日本酒の720ml(四合瓶)が量産されていた
・新たに750mlボトルを作るには製造コストが負担だった
このため当時流通していた720ml(四合瓶)のボトルが使われるようになったという背景があるようです。たしかに、新たにワイン用に750mlボトルを作るより、既にある720mlボトルを使ったほうが効率的です。
日本酒がワインボトルに影響を与えているなんて新たな発見ですね!
まとめ
日本酒の720ml(四合瓶)に疑問を感じたので、徹底的に調べてみました。
昔の単位「盃(はい)」が関わっているとか、ワインボトルのサイズに日本酒が影響を与えているとか、調べてみると色々おもしろいことがわかりました!
日本酒はやっぱりおもしろいですね。
この記事が少しでも参考になると嬉しいです。
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