なかなか手に入りづらい「幻の日本酒」。
例えば、十四代などは手が入らないことで有名ですね。「とってもおいしい!」と噂なのに、なかなか飲めないとは辛いものです・・・
実は「幻の日本酒」はたくさんあって、私も日本酒仲間と情報交換して何とか見つけています。ついにお目にかかった瞬間は感動ものです。
日本酒好きの方に「幻の日本酒」と呼ばれるものをプレゼントしたら喜ぶこと間違いなしですよ。
そこで今回は、幻の日本酒と呼ばれる銘柄を紹介します。
たまに「なんでこんなところに!」という場所で見つけることもあるので、ぜひ見かけたらすかさずゲットしてください!
私の考える幻の日本酒を手に入れる方法もご紹介するので参考にしてください。
1.幻の日本酒と呼ばれる理由
幻の日本酒「十四代」高木酒造
まずは「なぜ幻の日本酒と呼ばれるのか?」という理由について。
1-1.出荷量が限られている
「幻の日本酒」を造っている酒蔵は、小さな酒蔵がほとんどです。
機械製造などは行なわず、1つ1つ手作業で丁寧な日本酒造を行なっている酒蔵が多く、大量の生産はできません。そのため出荷できる日本酒には限りがあり、市場に出てもすぐに売り切れしまいなかなか入手しづらいことが多いです。その状態でメディアなどで「おいしい!」と取り上げられると、しばらくは全然手に入りません!
1-2.地元のみで流通している or 一般販売しない
少量生産ゆえに地元のみで流通しているものも多いです。
例えば、十四代を作る高木酒造でも「黒縄(くろなわ)」という銘柄があるのですが、こちらは地元の山形でしか流通しないものです。たまにネット販売で見かけますが、ものすごく高額です。私は山形に行ってようやく出会うことができました。
また高木酒造のように一般販売しない酒蔵さんもあるので、特約店と呼ばれる酒屋さんに行かないといけないというのも出会うハードルを上げています。
こういった制約がある中で、みんなが「ほしい!」と思うおいしい銘柄だと手に入りにくくなるのは当然ですよね。もちろん手に入りやすい日本酒でおいしいものはたくさんありますが、プレミア感があるものもぜひ飲みたいですね。
2.幻の日本酒と呼ばれる銘柄10選
2-1.十四代|高木酒造(山形県)
十四代 本丸 秘伝玉返し 特別本醸造
冬の雪深い山形県村山市の酒蔵で造られる高木酒造の銘酒「十四代」は、日本酒があまり詳しくない人でも1度は聞いたことがある名前なのではないかと思います。
1994年「SINRA」という雑誌で紹介されたこともあり、日本酒愛飲家の間で話題となり瞬く間に大人気となった日本酒です。
現在は廃刊となってしまった この雑誌、ご多分に漏れず私も入手、そして十四代と出会いました。
1994年発売 SHINRA10月号
十四代にも色々なラインがあるのですが、「十四代 本丸 秘伝玉返し 特別本醸造 」という日本酒はチャンスがあれば一度ぜひ飲んでみていただきたいのです。
この日本酒の凄いところは、本醸造なのに味わいは大吟醸のような味わいを目指して造られ、価格も本醸造と比例する手に入れやすい価格帯での販売というところです。
本醸造は常温か熱燗で飲む方が多いと思いますが、この「十四代 本丸 秘伝玉返し 特別本醸造 」はぜひ冷酒にしてワイングラスなどで飲んでいただきたい。
グラスに顔を近づけるとフルーティーな香りが豊か。口に含むと甘みがトロリとしていて、とても本醸造の日本酒だとは思えないくらい品のある味わいなのです。
この何ともいえな味わいが、愛飲家に絶大なる人気を誇る理由だと思います。
この銘酒が出来上がるまでの秘話は、以前別ページで詳しく紹介していますのでそちらも合せて読んでいただくとより「十四代」の魅力がおわかり頂けると思います。
2-2.花陽浴(はなあび)|南陽醸造(埼玉県)
花陽浴(はなあび)雄町純米吟醸生原酒おりがらみ
花陽浴(はなあび) は、埼玉県にある南陽醸造が醸す日本酒で、こちらもなかなか入手困難で手に入りにくい日本酒の1つです。
この蔵は250石という小さな蔵、姉と弟と姉の旦那さんの3人で日々美味しい日本酒を飲んでもらうために日本酒造りに励んでいるという家族経営の酒蔵です。
花陽浴のラインナップは、発売するとすぐに売り切れとなってしまうのでどれも手に入れるのが難しいです。
グラスに注いだ「花陽浴 雄町純米吟醸生原酒おりがらみ」
特に「あらばしり」と言われる澱(おり)が絡んだ少し濁って旨味たっぷりな「花陽浴 雄町純米吟醸生原酒おりがらみ 」は、そもそもの販売数が少ないので更に入手困難な日本酒として知られています。
花陽浴のラインナップは、どのお酒も少し甘酸っぱくて甘味と酸味のバランスが良くとても飲みやすい。初心者や女性の間でも大人気の日本酒です。この日本酒を飲んで、日本酒ファンになったという人が多いことでも知られています。
2-3.射美(いび)|杉原酒造(岐阜県)
射美 特別純米酒 槽場無濾過生原酒 [画像:池田商店公式ページより]
この日本酒は、日本酒愛飲家の間でも話題の岐阜県にある杉原酒造が醸す日本酒です。1892年(明治25年)創業の120年以上の歴史を誇る老舗酒蔵で父親と息子の2人だけでの日本酒造り。
「射美」は2012年この蔵の新しい日本酒として発売されました。
2012年当初の生産量は20石、わかりやすくいうと一升瓶換算で2千本、2015年にようやく80石(8千本)に生産量を拡大しました。
ちなみに有名な酒蔵の年間出荷量は以下です。(2015年データとの比較)
獺祭・・・2万6千石
八海山・・・2万石
このデータと比較して頂ければ「射美」はとても生産量が少ないことがわかりますね。たった2人だけではこれ以上の生産量を拡大することは無理があります。そのため数に限りがありなかなか入手しづらく、「幻の日本酒」と呼ばれています。
この蔵の凄いところは、酒米の交配を専門家に依頼し品種交配を行ない、契約農家から酒造りにのみ使う独自の酒米「揖斐の誉(いびのほまれ)」という酒米を栽培しています。
酒米交配、独自の酒米栽培、そして昔ながらの生酛造り、そして地元「揖斐川」の伏流水を使用しての酒造りというとてつもないこだわりの日本酒を造っています。
味わいは、グラスに注ぐと果実系の甘い香りがまず印象的、トロンとした舌触りと共に甘みは、けっこう強めで濃厚さを感じます。
苦みはあまり感じず若干、酸がたつ感じがまた飲みやすさに拍車をかけているなかなかの美酒です。
2-4.花邑(はなむら)|両関酒造(秋田県)
花邑 純米吟醸 雄町[画像:MATUZAKI公式ページより]
秋田県で1874年(明治7年)創業146年の歴史を誇る老舗の酒蔵それが、両関酒造になります。
この花邑が誕生するに当たっては、先ほどお話しした「十四代」の蔵元杜氏である高木氏が技術指導にあたったということで日本酒ファンの間では有名。
酒米の選定から、醸造工程方法、品質管理に至る全般的なこと全てを、全面協力のもと立ち上げた両関酒造のニューラインナップなのです。
もともとの看板酒「両関」と比較すると生産量は少なく、限定数のみ製造するため市場に出回る数も少なめで、なかなか手に入れることが難しい日本酒の1つとなります。
高木氏監修という事でその味わいは、フルーティーかつ芳醇な旨味と甘味が特徴、口当たりが優しく、十四代同様に品のある美味しさが評判です。
2-5.而今(じこん)|木屋正酒造(三重県)
而今純米大吟醸 千本錦 無濾過生原酒
三重県にある木屋正酒造は、フレッシュさを大切に1つ1つ丁寧な手造りををモットーとする酒造りをしている酒蔵になります。年間製造量120石とこちらも小さな酒蔵です。
この日本酒は、ものすごくきれいな甘味、爽やかで嫌味のない酸味、果実系の気持ちの良い香り、とどれをとってもうっとりするくらい惚れ惚れとする味わいに心奪われます。
一口飲めばその美味しさが理解出来る、ウンチクは一切いらない日本酒という表現がふさわしいかもしれません。飲んだ人を心地良く幸福感に包んでくれるそんな日本酒です。
この日本酒もまた、高木酒造の十四代に刺激を受けて造られた日本酒だと蔵元杜氏の大西さんがインタビュー記事で答えていたのを記憶しています。
十四代の様な「飲んだとき生き生きとした味わいのフレッシュな日本酒」を造りたい・・・16年前の2004年、自ら蔵元杜氏となり今の「而今」を造り上げる事になるのです。
本数は沢山出来なくても手造りで、質の良い、酒の味で勝負できる日本酒を造りたいと言う思いがある蔵元です。
ですから大量生産をして品質を落とすことはせず、目の行き届く範囲での生産量を確保し出荷するスタイルなのでこちらの日本酒もなかなか手に入りにくい日本酒の1つです。
2-6.蓬莱泉 空(くう)|関谷醸造(愛知県)
蓬莱泉 空 純米大吟醸[画像:蓬莱泉公式ページより]
こちらの日本酒は蓬莱泉でお馴染みの関谷醸造のラインナップの1つ「空(くう)」になります。
蓬莱泉のラインナップにも色々な種類がありますが、この緑色の瓶に入っている「空」は、酒米の王様山田錦をふんだんに使用しているところが特徴。
造ってから1年間熟成させる事による芳醇な吟醸香と米の旨味を存分に味わえる甘味と旨味が特徴の大変手の込んだ1本となります。
「空」の入手方法には2つあります。
1つが限定予約品となり酒造所の本社販売所に直接出向き予約する方法です。この購入方法、予約しても一年待ちという事が多く地元に住んでいなければ、なかなか直接入手は困難です。
もう1つは限られた特約代理店で求める方法ですが、この方法も入荷後即完売ばかりで難しいです。
この特約代理店ですが「空」が「酒販店」へ出荷される数量の決め方は酒販店が「蓬莱泉」を仕入れた数量に応じて決まる「比例配分」だと言うことです。
つまり、「蓬莱泉」を沢山売っている酒販店には「空」を沢山入荷してあげますよ、という蔵元の販売戦略があります。
その為、酒販店では1本でも多くの「空」を確保するため、「蓬莱泉」を一生懸命販売するという話を聞いたことがあります。そんな事も手伝って現在では「蓬莱泉」の日本酒は人気があります。
毎年3月、7月、11月にだけ出荷される限定品の「空」はこのような入手ルートにより、なかなか手に入りづらい日本酒の1つになったのです。
味わいは、さらりと軽い飲み口でスーッと喉を通り、嫌な後味が残らない品のある味わい、香りもしっかりと感じられ人気があるのが分かる気がします。
2-7.村祐(むらゆう)|村祐酒造(新潟県)
村祐「黒」無濾過本生無濾過本生
八海山・越乃寒梅・久保田など有名な銘柄がひしめく新潟県にある村祐酒造は、新潟の日本酒の特徴である「淡麗辛口」の日本酒とは一線を画す日本酒造で知られています。
淡麗辛口ではない、柔らかい口当たりでかつ、キレがあり優しい甘味あえて言うのなら和菓子に使われる和三盆のような品のある控え目な甘味のある日本酒が造りたい、そんな思いで造り上げたのが「村祐」なのです。
他の酒蔵と同様にじっくりと丁寧な日本酒を造り、限定数での出荷となるためやはり市場では品薄状態となりなかなか手に入りづらい日本酒になります。
そんな人気銘柄「村祐」の中でも超限定品となるのが年に1度12月の時期に発売される村祐 「黒」無濾過本生無濾過本生 です。
味わいはデザートワインのような品のある少し強めの甘味があり、何ともいえない優しさを誘う贅沢な日本酒、クリスマスやお正月など華やかな席にもぴったりの1本です。
2-8.飛露喜(ひろき)|廣木酒造本店(福島県)
飛露喜 特別純米[画像:MATUZAKI公式ページより]
福島県の会津にある廣木酒造は、今でこそ超有名銘柄で大人気のブランドですが実は一時、廃業を考えたことがある程苦しい時期がありました。
しかし「十四代」の蔵元である高木氏との出逢いにより転機となる運命の1本「飛露喜 特別純米」を造り上げる事ができ、廃業寸前だった酒蔵は起死回生したのです。
現在では、押しも押されぬ超有名銘柄となり、その人気で日本酒の入手は困難を極める程になりました。
そんな廣木酒造の運命を変えた「飛露喜 特別純米」は、9代目蔵元杜氏である廣木氏が今でも大切に思っている日本酒です。
その味わいの特徴は「濃密な旨味の中にある透明感」と言えるかも知れません、口に含むと米の旨みがほど良く喉を通り終えたあと変に口の中に残らず、きれいにフェイドアウトする感じはさすがさすがの完成度と言えると思います。
この銘酒が出来上がるまでの秘話は、別ページで詳しく紹介していますのでそちらも合せて読んでいただくと「飛露喜」の魅力がおわかり頂けると思います。
2-9.新政(あらまさ)|新政酒造(秋田県)
新政 純米酒「天鷲絨(ヴィリジアン)」「秋櫻(コスモス)」
1852年(嘉永五年)に創業、168年の伝統を誇る酒蔵が新政酒造になります。また、現存する清酒酵母の中で最古となる「きょうかい6号」の発祥蔵でもあります。
日本酒造りにも機械を導入しオートメーション化する大手酒蔵が多い中で、全量純米酒 、手間のかかる生酛造り へと切り替えて伝統回帰する。
地元産の酒米を使って、自社蔵の6号酵母で醸す日本酒という具合に徹底的なこだわりを持って自分の蔵の日本酒にオリジナリティーを生み出しています。
一年かけて大切に造った日本酒は、一番良い状態で美味しく飲んで頂きたいという考えから日本酒は4合瓶(720ml)での販売、出荷する酒販店も品質管理をきちんと行なってくれる店など、新政独自の酒販店基準をもうけ厳選しています。
しかし最近では、オークションやフリーマーケット 等、一部の二次流通販売業者が仕入れた日本酒が出回っていることに頭を悩ませており出荷経路の見直しも考えているという話を聞いています。
今後もしかしたら酒販店での購入はなくなり 日本酒専門の飲食店でしか飲めなくなるかも知れません、そうなるとますます「幻の日本酒」になってしまうのではないでしょうか。
2-10.鍋島(なべしま)|富久千代酒造(佐賀県)
鍋島 特別純米・純米吟醸
元々の名前は盛寿酒造という名で日本酒造をしていたが、3代目である現在の蔵元 飯盛氏が就任と同時に蔵名を富久千代酒造 と改名しました。
富久千代酒造となった1998年(平成10年)に誕生したのが新銘柄「鍋島」です。改名と共に誕生した鍋島というブランドは、歴史的には22年と日本酒の世界においてはとても若いブランドになります。
杜氏でもある飯盛氏は、就任当初から地元に根付いた地酒造りをしたいと考えていました。そして協力してくれる地元酒販店4人とともに新しい酒「鍋島」を造り上げたのです。
2002年、ブランドの立ち上げ3年で、日本及び海外の利き酒トップが審査を行う「第14回国際酒祭りinTOKYO」の純米酒部門で見事グランプリを獲得。これがきっかけで全国に名が知られるようになりました。
翌2003年から連続7年全国新酒鑑評会で金賞受賞、2011年IWC(インターナショナル・ワインチャレンジ)においては、純米酒部門で「鍋島 特別純米」が、吟醸酒・大吟醸酒の部で「鍋島 大吟醸」が金賞を受賞します。
加えて「鍋島 大吟醸」はその年「チャンピオン・サケ」を獲得という快挙を成し遂げ瞬く間に鍋島ブランドは名実ともにトップ銘柄の仲間入りをし飛ぶように売れるようになりました。そして、この頃から、市場で「鍋島」の入手がなかなか難しくなりました。
少数での酒造りを行っており造れるだけの量しか造らない、お酒の販売も自ら酒販店に顔をだし、直接自分の目で見て納得をした酒販店にのみ下ろし、蔵での販売やネットでの販売は一切行なっていません。
3.幻の日本酒と出会える方法
3-1.酒屋さんと仲良くなる
幻の日本酒を入手する一番の方法は、信頼のおける酒販店の店員さんと仲良くなることです。
多くの「幻の日本酒」といわれているお酒は限定数でしか入荷せず、入荷しても即完売してしまいます。次にいったときに探そうと思ってもなかなか巡り会えません。
普段からお決まりの酒販店を決めてそこで日本酒等のお酒類を購入するようにして仲良くなれば、欲しい日本酒が入るという情報があれば事前教えてもらえるかもしれません。
また、入荷数が少ない日本酒に関してはお得意様限定や抽選という方法で販売することもあります。この場合でも情報が早く耳に入ればすぐに応募が出来ます。
3-2.酒屋さんのSNSをチェックして抽選情報を得る
自宅近くに有名銘柄を取り扱う酒販店がない場合もありますよね。
そういう場合には取り扱いのある酒販店さんのSNSアカウントをフォローしておくことをオススメします。いろんな酒屋さんがツイッター、インスタなどで入荷情報をいち早く発信してくれています。
入荷したと情報が流れた時点で電話やオンラインで購入も可能ですし、抽選情報などもいち早くSNS上に流れてきますのでチェックしておきましょう。
3-3.居酒屋さんのSNSをチェックして入荷情報を得る
購入という選択肢以外では、取り扱いのある飲食店に飲みに行くというのも方法の1つです。
日本酒専門居酒屋や日本料理店で取り扱いのあるお店などのSNSなどの情報もチェックしておくと良いでしょう。「本日○○酒が入荷しました」という情報は結構な確率で流れてきますよ。
まとめ
幻の日本酒、と聞くと飲みたくなりますよね。なかなか手に入りにくいので、今回紹介した銘柄と出会えたらラッキーです!ぜひゲットしてみてください。
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