日本酒のランクとは?純米大吟醸や純米酒の違いをわかりやすく解説

日本酒 ランク

日本酒にランクはあるのでしょうか?

一般的に日本酒のランクと呼ばれているものは日本酒の「種類」を指すことが多いです。
ひと昔前に良く呼ばれていた日本酒の「一級酒」「二級酒」というようなランクの呼び方を今はしません。

皆さんも一度は耳にしたことがあるかもしれません「吟醸酒」だとか「純米大吟醸酒」という呼び名です。これは日本酒の製法の違いによって変わる呼び名なのですが、この日本酒の種類がランクとして定着しています。

ここでは日本酒の種類にはどんなものがあるのかを説明するとともに、種類が変わると香りや味わい、価格などに差が出てくることも合わせてお話ししていこうと思います。ぜひ日本酒選びの参考にしてください。

1. 日本酒の種類は大きく分けて9種類

日本酒

日本酒には8種類の「特定名称酒」とそれ以外の「普通酒」があります。

特定名称酒の違いを一覧にすると以下になります。

特定名称酒

原材料

精米歩合

1

純米タイプ

純米大吟醸

米、米麹

50%以下

2

純米吟醸

60%以下

3

特別純米

60%以下または特別な製造方法

4

純米

規定なし

5

アル添タイプ

大吟醸

米、米麹、醸造アルコール

50%以下

6

吟醸

60%以下

7

特別本醸造

60%以下または特別な製造方法

8

本醸造

70%以下

違いを決めるのは大きく2つです。

(1)米と米麹だけで造られているか
(2)米をどれだけ削っているか

1-1.  米と米麹だけで造られているか

米と麹のみで造られる「純米タイプ」と、醸造アルコールが含まれた「アル添タイプ」の大きく2種類に分けることができます。

醸造アルコールとはサトウキビや穀類を発酵させて蒸留して造られたアルコールで、特に悪いものではありません。香りが華やかで、味わいがスッキリとしたお酒になると言われており飲用温度も広がり和食全般に合わせやすい日本酒ができるため広く使用されています。

純米酒と言われる日本酒は反対に米本来の個性がストレートに出て味わいは銘柄により様々です。豊かな米の風合いが感じられる日本酒らしい日本酒の味わいを楽しめるところに人気があります。

1-2. 米をどれだけ削っているか

製法の違いとは、原料である「酒米をどれだけ磨いたか」が大きく関わってきます。削った割合を「精米歩合」といいます。

たとえば、精米歩合40%だとすると、酒米を60%分削り、残った40%を削っているということになります。

次章で詳しく説明します。 

2. 日本酒の種類を分ける精米歩合とは

精米

日本酒の種類を分ける時に関わってくるのが精米歩合です。日本酒を造る時の酒米の外側にはたんぱく質や脂質などの酒造りの際には雑味となって残ってしまう成分があります。

この雑味を取り除くことで美味しい日本酒が出来上がりますが、その時にどの程度、酒米を磨く(削る)かによって、味わいが大きく変わってきます。

米を磨く(精米)とは米の表層を削り取り米の中心部分を残していくことを言います、玄米の状態を100として50%とは半分削り取った状態、40%とは約2/3を削り取った状態ということになります。磨けば磨くほど酒質は軽快で雑味のない味になります。

精米歩合が高い日本酒、特に高精米(50%前後)の日本酒は雑味も少なく旨味も感じられる仕上がりになります。

しかし米は磨けば磨くほど割れやすくもろくなるため手間と時間をかけて丁寧に行わなくてはならす難しい作業だと言われています。

また、あえて精米歩合を8090%の低精白にして米の個性を楽しめる日本酒を造る銘柄もあります。

そして味わいもさることながら、高精米で精米歩合が高い日本酒を造るにはかなりの手間と時間がかかるのでその分値段も高くなる傾向があります。

こういった理由から現在では、手間と時間のかかる精米歩合が高い吟醸酒や大吟醸酒というものが日本酒の上位ランクだという形で認識されているのです。

3. 日本酒の種類それぞれの特徴とは

3-1. 純米大吟醸は蔵の技術がなせる最高級品

獺祭

純米大吟醸は、米と麹と水のみで造られる、精米歩合50%以下の日本酒です。酒米を半分以上磨き上げて造る日本酒は独特のとろみ感と口の中でまとわりつくような雑味感が未無の品のある味わいが特徴。

日本酒の鑑評会などに蔵元が出品する日本酒も大吟醸が多く出品される、蔵の技術と自信作を競うということなのでしょう。

一般的には精米歩合50%以上であれば大吟醸酒と言えるのですが蔵元によっては、酒米を三割八分まで磨く「梵」や二割三分まで磨く「獺祭」などは特に有名です。

3-2. 純米吟醸|豊かな米の旨味と軽やかな香りを楽しめる蔵の看板酒

腰古井

純米吟醸は、原材料に米と麹と水のみを使用し、精米歩合が60%以下のものを純米吟醸と言います。混ざり物のない米だけの味わいを楽しみたい日本酒ファンの間では一番人気のある種類になります。

純米大吟醸も純米吟醸もコストは高くつき、大量生産も難しいので値段が高く中には一万円以上もする高級品まであります。

酒米の選び方、麹の選び方、仕込み水等、純米吟醸酒はその蔵の実力が現れる日本酒とも言われておりどの蔵元も一番力を入れて造るのがこの純米吟醸なのです。

千葉の地酒の「越古井」なども地のもの例えばカツオの刺身やお寿司などに合わせてピッタリはまる一本です。

3-3. 特別純米|米の風味と共に蔵の個性を味わうのならこのタイプ

雨後の月

材料は米と麹と水のみで精米歩合は60%以下かもしくは作り方に特別な工夫がある日本酒のことを言います。

特別な工夫には、仕込みの回数を増やしてより濃厚なお酒を造る蔵など蔵元独自の基準でいろいろな工夫が見られます。多くの場合、特別な工夫というと精米歩合60%よりもう少し高い精米歩合でお酒を造ることが多いようです。

写真の「雨後の月 十三夜」はアルコール度数を13度と日本酒のラインナップの中では低めの設定で、飲み疲れなくライト感覚で飲める日本酒として造られています。

3-4. 純米|米のふくよかさとコクを存分に表現できる日本酒の王道

寫樂

材料が米と麹と水だけで造られたもので米の旨味やお酒本来の自然な香りを存分に楽しめる日本酒と言うのなら純米酒が良いでしょう。

写真の「寫楽」は、食中酒としても向くお酒でキレ、コク、フレッシュな旨味感等のバランスが取れた日本酒です。

各蔵元の個性が光る日本酒の種類でもあり、同じ蔵元でも銘柄が違うと味が違うということが飲む楽しみにもつながります。日本酒好きには味、品質共に楽しみながら飲める日本酒です。

3-5. 大吟醸|フルーティーな香りを追求する華やかな酒

紀土

純米大吟醸と大吟醸の違いは材料です。純米大吟醸の材料は米、麹、水のみだったのですが大吟醸はさらに醸造アルコールを加えて造ります。

大吟醸特有の香りと高い精米歩合により透明感やみずみずしさを感じさせる日本酒が多いのも特徴です。

写真の「紀土 大吟醸」などは精米歩合35%と高い精米歩合により甘みや旨味を凝縮させたバランスの良い日本酒となっていますので日本酒が初めてという方の入門酒にはピッタリかと思います。

3-6. 吟醸|フルーティーな香りと爽やかな味わいを兼ね合わせた酒

越乃寒梅

原材料に、米、麹、水、そして醸造アルコールを使用し、精米歩合は60%以下で造られる日本酒です。

多くの吟醸酒は、吟醸酒といえども、晩酌向けに食事と合うお酒ということで造られており、食事の邪魔をしない、飽きずに長く楽しめるそんなコンセプトで考えられている日本酒が多いのが特徴です。

写真の「越乃寒梅」にもラインナップは色々ありますがこの「吟醸酒 特選」は越乃寒梅のシリーズの中でも手の出しやすい中間ランクに設定されており気軽に毎日楽しむ日本酒として、このラインから始めるという方も多い日本酒です、 

3-7. 特別本醸造|爽やかな味わいで蔵の個性を楽しむ酒

天青

使用する原料が米と麹と水そして醸造アルコールで造られた精米歩合は60%以下、または特別な製造方法で造られたものを言います。

シャープでスッキリとした味わい、滑らかな口当たりを追求しているものなど銘柄により味わいなどに様々な工夫がみられることが特徴です。

写真の「風露天青 特別本醸造 」もスッキリとキレのある辛口で食事と合わせることを考えられた食中酒でスッキリ系の辛口の日本酒には濃い目の味付けの食事ともマッチして合わせる幅が広いのも特徴です。

3-8. 本醸造|燗でも冷やでも何でも行ける万能酒

金鶴

精米歩合が70%以下で造られており、原材料は、水と米と麹と醸造アルコールを用いて造られている日本酒のことをいいます。

この日本酒の特徴は冷酒でもおいしく、また、燗にしてもいける、飲み方の幅が広いというところが、毎日飲む日本酒としてはふさわしく、日本酒の最も基本的なお酒であるということも言えます。

3-9. 普通酒|気軽に楽しむための日常酒

越乃寒梅

上記でご説明してきた名称の規定に当てはまらない日本酒のことを普通酒と呼びます。

日本酒の瓶に上撰・佳撰というラベルが瓶に貼られている様な日本酒は普通酒の分類になります。また、スーパーなどにパックで置いてあるようなパック酒、コンビニで売られているワンカップ酒なども普通酒が多く使われています。

こちらの越乃寒梅は「越乃寒梅 白ラベル」と言われる越乃寒梅のシリーズの中では一番お手頃な日本酒となります。しかし普通酒ながら酸味と甘味そして旨みの3つのバランスが良く食事によく合う辛口として定評があります。

先程の吟醸酒の越乃寒梅は冷やして冷酒でいただくのが美味しくいただくコツですが、こちらの普通酒・白ラベルの越乃寒梅は反対に冷やすと、まったりとした味わいで重さが出てきてしまい折角のすっきりとした辛口のおいしさが損なわれてしまうので常温でそのまま飲むのがおすすめです。

まとめ

日本酒

ここまで日本酒のランクについてお話しして参りました。

日本酒のランクと呼ばれるものは日本酒の種類を指すことが多く、その種類がランクとなっているということ、そのランクの位置づけとしては精米歩合が高く手のかかる作業が必要な日本酒の大吟醸や、吟醸と呼ばれる日本酒は値段が高いことが多いため高級だとされています。

そして一般的な普通酒と呼ばれるランクの日本酒よりもランクが上だと考えられているのが現状です。しかし、必ずしも「高級(高い)日本酒=旨い日本酒」と言い切れない所が日本酒の面白さでもあります。

吟醸酒や大吟醸酒でなくとも美味しい日本酒は沢山あり、普通酒や本醸造酒でも細やかな味わいの口当たりがソフトでなめらかなお酒は沢山あります。

ぜひ、ご自分のお好みの味を探す日本酒の旅に挑戦してみて頂けると嬉しく思います。

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