無濾過生原酒が「できたてそのままの日本酒」と言われるワケとは?

無濾過生原酒

日本酒のラベルに書いてある「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」。

一般的な日本酒とは味も製法も違います。ではどのように違うのでしょうか?この記事で簡単に説明していきます!
無濾過生原酒のおいしい飲み方とおすすめ日本酒も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 日本酒の「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」とは?

過程

無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)は、一言で言うと「しぼりたてそのままの日本酒」です。

日本酒は本来できあがってから、味や香りなどを整えるために濾過したり加水や火入れしたりします。それらが一切ない、できたての日本酒が無濾過生原酒なんです。

無濾過=濾過しない
生=火入れしない
原酒=加水しない

そのため、無濾過生原酒はフレッシュで旨味が凝縮している濃厚な味わいが特徴です。
また、加水調整しないので一般的にアルコール度数が高めのものが多いですね。(平均的な日本酒アルコール度数15度に対して18度くらい)

2.【もっと知りたい!】無濾過生原酒と普通の日本酒との違い

2-1.濾過をしない「無濾過」

濾過畑酒造「大治郎」酒蔵日記(無濾過本生原酒製造ページ)より引用

通常、出来上がった日本酒はお酒の中に残った固形物などを取り除くために細かな穴のフィルターや濾紙と呼ばれる物を使用し濾過(ろか)をします。日本酒が透明で透き通っているのはこの濾過の工程で日本酒に残った固形物名や残った酵母などを除去したためです。この濾過作業をしていない日本酒にはラベルに「無濾過」の文字があります。

2-2.加水処理をしない「原酒」

原酒

アルコール度数の調整や香味のバランスなどをとるために日本酒造りで使用した仕込み水を加水して味の調整をします。日本酒のラベルに「原酒」と書いてあれば、この加水処理がされていないものという意味です。

2-3.火入れをしない「生」

生南部美人公式HP(蔵元だより)より引用

濾過し、割水で調整された日本酒はこのまま瓶に詰めると味や色が不安定で変化しやすくなります。そのため通常は加熱処理する「火入れ(ひいれ)」という作業が行われます。味が変化するまた、色が変色するなどを防ぎ品質の安定をはかるために、2回もしくは1回の火入れ作業を行います。この作業を行わない日本酒は「生酒」といいます。だから生酒は早めに飲みきる方がいいんですね。

3.無濾過生原酒はキンキンに冷やして飲むのがおすすめ

3-1.冷蔵庫で冷やして飲もう

日本酒

火入れをしない生のままのフレッシュさが持ち味なので飲むのであれば断然、冷酒で飲むのがおすすめです。冷蔵庫などで5度前後に良く冷やしたキンキンの状態で頂くと無濾過生原酒の絞りたてのフレッシュさや香フルーティーな香りが楽しめておいしく味わえます。

3-2.オン・ザ・ロックで飲もう

グラス

オンザロックもおいしいですよ!無濾過生原酒の日本酒は比較的アルコール度数が高めのものが多いので、少し落ち着かせて飲むことができます。

ロックグラスに氷を入れ無濾過生原酒の日本酒をそのまま注ぐだけです。氷が溶けて濃い味わいの日本酒も軽やかな飲み口に変わりおすすめです。

3-3.水割りで飲もう

酒

冷えた水を入れて自分の好み調整して飲むのもおすすめです。ただしこの場合、割合と水に注意!

日本酒の場合は「日本酒8:水2」が黄金比率です。

アルコール度数18度の無濾過生原酒だと、「日本酒80ml:水20ml」で100mlの水割りにした場合アルコール度数は14度となります。辛口の赤ワインが14度戦後のアルコール度数なので、これなら飲みやすいのではないでしょうか。

そして、使用する水は水道水ではなくミネラルウォーターがおすすめです。コンビニに売っているようなペットボトルのお水で。できれば海外製品の硬水の水よりは、日本の軟水の水の方が日本酒にはなじみやすくおすすめです。

3-4.水割りをして寝かせて飲もう

容器

あらかじめ水で割って寝かせまろやかな味になった所を楽しむ「前割り」もおいしいですよ。私は水割りしてすぐ飲むより、前日か前々日に加水しておいたものを飲む方がまろやかで好きです。

①空になったペットボトルや四合瓶(720ml)を用意。(醤油やお酢など匂いのついた液体が入っていた物は避ける)
②日本酒の黄金比率8:2(日本酒8、水2)の割合で日本酒と水を瓶に注ぎ蓋をして冷蔵庫へ。
③冷蔵庫で1日~2日程度、寝かせたら完成。

水割りを前もって作り置きしておく感じですが、このひと手間かけることで瓶の中の水と日本酒がブレンドされ、とてもまろやかになりビックリするくらい飲みやすい日本酒に代わります。使用する水はもちろんミネラルウォーターを使用してください。

4.無濾過生原酒の注意点!保存方法と賞味期限

考える

通常の日本酒は2回火入れ(加熱殺菌)されていますが、無濾過生原酒にはそれがありません。もちろん瓶の中で雑菌が繁殖するわけではありませんが、味や色などの変化が比較的速くデリケートなお酒です。

4-1.無濾過生原酒は、開栓したら7~10日で飲みきる!

注意

無濾過生原酒は、火入れをしていない日本酒になりますので普通の日本酒の賞味期限よりは早めに飲みきる事が大切です。本来のおいしさが損なわれてしまい色や味わいが変化してしまうからです。基準としては、以下が目安となります。開栓前の場合はできれば半年以内に飲みきるとベストです!

開栓前

開栓後

製造年月から半年以内(冷蔵庫保管)

開栓後7~10日以内(冷蔵庫保管必須)

4-2.無濾過生原酒は必ず冷蔵庫で保管

温度計

保管場所も常温の冷暗所などのように普通の日本酒が保管可能な場所ではなく、冷蔵庫に保管します。(未開封でも)一度開栓したものであれば劣化も早いので必ず冷蔵庫で保管するようにします。冷蔵庫の場所としては冷蔵室か、野菜室の温度帯が最適です。

5.無濾過生原酒、初心者でも飲みやすいおすすめ7選

5-1雨後の月 純米吟醸 無濾過 生原酒

日本酒

厳選された酒米で丁寧に造られた広島県の相原酒造の「雨後の月 純米吟醸 無濾過 生原酒」になります。

しっかりとした米の味わいで生原酒らしい辛口の仕上がり。口に含んだときに酸が龍感じとスッキリとした後味がどんな食事と合わせても違和感なくマッチしてしまう飲みやすい無濾過生原酒になります。

・蔵元:相原酒造(株)(広島県)公式ページはこちら→
・製品:雨後の月 純米吟醸 無濾過 生原酒 1800ml
・価格:3.740円(税込)
・購入はこちら→

5-2菊姫 山廃純米 無濾過 生原酒

日本酒

石川県の銘酒菊姫の「菊姫 山廃純米 無濾過 生原酒」です。こちらの日本酒の造りは山廃仕込みです。

山廃仕込みの特徴である濃醇で旨みが凝縮された骨太な味わいが魅力、一口目からしっかりとした酸がたちどっしりとした味わいは日本酒が初心者と言う方には少々パンチがある味わいかも知れません。軽く燗にしてぬる燗でもいいかもしれない。

・蔵元:菊姫合資会社 (石川県)公式ページはこちら→
・製品:菊姫 山廃純米 無濾過 生原酒 1800ml
・価格:3.740円(税込)
・購入はこちら→

5-3.梵 純米大吟醸 無濾過 生原酒

日本酒

福井県の加藤吉平商店の「梵 中取り 純米大吟醸  無濾過生原酒」です。

梵はどのラインナップも洗練された味わいで飲みやすいのが特徴です。低温の貯蔵庫で1年以上熟成され出荷されるのでとてもまろやかで甘味が増し優しい旨みが味わえるのが人気の秘密です。

・蔵元:合資会社 加藤吉平(きちべえ)商店(福井県)公式ページはこちら→
・製品:梵 中取り 純米大吟醸 無濾過生原酒 1800ml
・価格:4,180円(税込)
・購入はこちら→

5-4.龍力 特別純米 神力 氷温貯蔵 無濾過生原酒

日本酒

酒処の兵庫は、質実剛健でしなやかな味わいを持つ日本酒が多い県でもあります。その兵庫県の本田商店が醸す「龍力 特別純米 神力 氷温貯蔵 無濾過生原酒」です。

この日本酒の最大の特徴が「神力」という酒米を使用しているということです。麹が造りやすく、醪が溶けやすい、雑味が少ない米として上質な日本酒を造り上げる酒米ですが一時、姿を消してしまいました。

その幻の酒米「神力」で醸した味わいは芳醇でフレッシュ、かぐわしい香りと濃厚な旨み、そして酸味も加わりパワフルでの見応えのある1本となっています。

・蔵元:株式会社 本田商店(兵庫県)公式ページはこちら→
・製品:龍力 特別純米 神力 氷温貯蔵 無濾過生原酒 1800ml
・価格:3.300円(税込)
・購入はこちら→

5-5.大治郎 純米吟醸 無ろ過 生酒

日本酒

滋賀県にある畑酒造は、もとは喜量能(きりょうよし)という銘柄の地酒を造っていました。杜氏が引退したため蔵元を務める畑氏が蔵元杜氏として引継ぎ、出来上がったのがこの「大治郎」という銘柄です。また、大治郎は蔵元である畑氏の名前でもあります。

「大治郎 純米吟醸 無ろ過 生酒」は、無濾過生原酒の持つ力強い味わいと米の旨味が凝縮された濃醇旨口のトロリとした味わいが楽しめます。この特徴が人気の秘密なのではないでしょうか。

・蔵元:畑山酒造㈲(滋賀県)
・製品:大治郎 純米吟醸 無ろ過 生酒 1800ml
・価格:3.520円(税込)
・購入はこちら→

5-6.南部美人 特別純米酒  無濾過生原酒

日本酒

岩手を代表する酒蔵、南部美人の「南部美人 特別純米酒 無濾過生原酒」になります。数々の酒品評会でメダルを獲得している蔵元でもあります。

酒米にこだわりを持ち地元の「ぎんおとめ」という酒米を100%使用して造り上げた日本酒は、甘味とコクのバランスがとてもよく柔らかいフルーティーな香りと程良い酸味とキレがあり飲みやすい1本です

・蔵元:㈱南部美人(岩手県)公式ページはこちら→
・製品:南部美人 特別純米酒 無濾過生原酒 1800ml
・価格:3.300円(税込)
・購入はこちら→

5-7.飛露喜 特別純米 無濾過 生原酒

酒

飛露喜と聞けば知らない人はいないくらいの有名銘柄、その飛露喜が醸す無濾過生原酒がこの「飛露喜 特別純米 無ろ過生原酒」になります。飛露喜という銘柄を世に知らしめた有名な一本です。(飛露喜についての詳しい話は別ページに記事あり→

味が乗っていて、グラスを近づけた時に含み香がふわりと漂う感じがなんとも言えず、みずみずしいフレッシュ感があり、白ワインを思わすような酸味も魅力的です。やはりさすがな味わいだと痛感します。

少し残念なのは、飛露喜はとても人気があるためなかなか入手しにくいという難点があります。それでもあえて記事に載せたのは、酒販店や日本酒専門居酒屋などでこのお酒を見かけたらぜひ一度、飲んでみていただきたいからです。

・蔵元:合資会社 廣木酒造本店(福島県)公式ページはこちら→
・製品:飛露喜 特別純米 無濾過 生原酒 1800ml
・価格:2.860円(税込)
・購入はこちらの店舗にTELで確認して下さい→(飛露喜は入手困難なため正規取扱店にTEL確認がベストです。)

※現在市場では品薄状態となっており入手困難な日本酒の一つとなっています。ネット上ではかなり高額な値つけがされ販売されていたり、ネットオークションで出品されていたりしますが正規代理店を通し、定価にてご購入されることをお勧めします。

まとめ

日本酒

ここまで、無濾過生原酒の日本酒は普通の日本酒と3つの違いがあるということをお話しして参りました。

1濾過をしない「無濾過」であるということ
2割水をしない「原酒」だということ
3火入れをしない「生」の日本酒だということ

そして、無濾過生原酒を飲むのなら「生」のフレッシュさを味わうために冷たく冷やした冷酒で飲むのがおすすめで、「原酒」のためロックや水割りなどで自分の好みのアルコール度数に調節して飲んでも良いということもお話しして参りました。

また、賞味期限は普通の日本酒よりも短いため開栓したら早めに飲み切るのが良く、保存は冷蔵庫でするということも納得いただけたのではないでしょうか。無濾過生原酒の日本酒が飲んでみたい、そう感じていただけたのなら幸いです。

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