酒米の「五百万石」を知っていますか?
五百万石は、普通酒などの幅広いお酒造りに向くことから生産量は山田錦に次いで第2位の人気の酒米です。
主な産地は新潟県・福井県・富山県など北陸を中心に栽培されています。北陸の日本酒といえば、八海山、越乃寒梅、久保田などが一般的にも有名ですね。
五百万石で作る日本酒は、すっきりとした口当たりでキレのある日本酒になりやすいと言われています。飽きのこない落ち着いた味わいが多いので、食事に合わせて飲む定番酒という位置づけの日本酒が多いのが特徴ですね。
この記事では五百万石という酒米の魅力に迫っていきたいと思います。最後に五百万石で作られたおすすめの日本酒5選を紹介しますのでぜひ試してみてください!
日本酒の味の基礎「酒米」を知ろうシリーズ
- 酒米の王様「山田錦」はなぜ人気?その魅力と飲んでみたい日本酒5選
- すっきりした味わいを造る酒米「五百万石」の魅力と日本酒おすすめ5選(当記事)
- キレのある味わいを造る酒米「美山錦」の魅力とおすすめ日本酒5選
- 優しい味わいを醸し出す酒米「雄町」の魅力とおすすめの日本酒5選
目次
1.新潟で誕生した「五百万石」は端麗辛口の代表格
新潟県が発祥の五百万石は、富山や福井など北陸地方をはじめ多くの地方で栽培されていますが、発祥地である新潟県が生産のほぼ半分を占めます。昭和32年(1957年)に新潟県で生まれました。
五百万石で造られた日本酒は、すっきりとした口当たりでキレのある日本酒になりやすいと言われています。
「五百万石」の名前の由来は、昭和30年(1955年)新潟の米収穫量が約七十五万トン(500万石)に達した事から、杜氏の新潟県知事により名付けられた名前と言われています。
そのルーツを探ると、元は「雄町」を起点として新潟県農業試験場長岡本場で「菊水」と「新200号」を掛け合わせて誕生した混合種です。
五百万石は純米酒から普通酒に幅広く使われる
五百万石は、生産量1位の山田錦と比較すると小粒で硬い米質になります。そのため深く削っていくと割れやすいという特徴があります。そのため吟醸酒や大吟醸酒にはあまり向いていません。あえて吟醸酒や大吟醸酒を製造している酒蔵もありますが、五百万石の大吟醸は高価であるのはここに理由があります。
逆にいうと、純米酒から普通酒まで幅広く使用することができることから、酒造好適米の中でも山田錦に次ぐ第2位の需要で全国の酒蔵で使われている人気の酒米になります。
山田錦で醸した日本酒が米の甘みを前面に押し出した華やかな日本酒で酒米の「西の横綱」だとすると、五百万は全く違うスタイルの端麗でスッキリとした純米酒や普通酒に最適な酒米の「東の横綱」になるといわれています。
五百万石で造られた日本酒は、食中酒として料理と共に飲むと良しなものが多いです。定番酒として常備しておきたいと思わせてくれます。
2.五百万石 定番酒として知っておきたい、おススメ5選
2-1.素朴な旨味がたまらない「会津娘 特別純米 無為信」
酒造りのモットーは『土産土法』 地元会津の農家の米・水・人で造りあげることにこだわりを持っている福島の酒蔵 高橋庄作酒造店の作り出す日本酒が地元会津の田んぼで有機栽培により作った五百万石を使用した「会津娘 特別純米 無為信」になります。
昔ながらの製法にこだわり、大量生産はしない丁寧な作りで定評がある蔵でも有名です。大吟醸酒の様な華やかな日本酒とは違い品のあるさっぱりとした口当たりが食卓に上がる総菜にぴったりです。
特に和食とバランスが良く、きんぴらごぼうや揚げ出し豆腐、野菜のうま煮などには最高な組み合わせです。
・蔵元:高橋庄作酒造店(福島県)公式ページはこちら→
・製品:会津娘 特別純米 無為信 720ml
・価格:1.897円(税込)
・購入はこちら→
2-2.フレッシュ感と爽やかさがたまらない「澤屋まつもと 酒破離」
1971年(寛政3年)創業、229年の歴史を持つ京都の老舗酒蔵松本酒造が醸すのが「澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石」になります。
日本酒は純米というポリシーを持ちまた、原料にとことんこだわりぬいた純米づくりに力を注いでいる蔵元です。火入れ処理は施してあるものの無濾過の原酒のためガス感がありフレッシュで爽やかな口当たりと優しい香りというのが第一印象。
やや辛口で飲んだ後口の中がさっぱりと爽やかになりますから多少油の多い食事とも相性が良く、すき焼きなどの料理にもおすすめです。
・蔵元:松本酒造㈱ (京都府) 公式ページはこちら→
・製品:澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石 720ml
・価格:1.320円(税込)
・購入はこちら→
2-3.食事を選ばない万能選手「黒龍 逸品」
黒龍は、福井県で1804年(文化元年)に創業の酒蔵で216年もの長い歴史を誇る老舗になります。
代表銘柄は「黒龍大吟醸 龍」で、それまで普通酒が主流の日本酒業界に手作りの吟醸酒を発売して吟醸酒づくりの酒蔵の先駆けとして日本酒造りに大きく貢献してきた酒蔵です。
そんな黒龍酒蔵が醸す「黒龍 逸品」は福井産の五百万石を使用して黒龍十八番の柔らかい丸みのあるさらりとした旨みで本当にどんな食事に合わせても合わない食事がないと言って良いくらい万能選手は日本酒です。
日本酒の分類としては普通酒になりますが、普通酒とは思えないくらい飲みやすく穏やかです。加えて価格もお手頃なので定番の常備酒としてお財布にも優しく自宅にあると夕食時が待ち遠しくなる1本です。
・蔵元:黒龍㈱ (福井県) 公式ページはこちら→
・製品:黒龍 「逸品」普通酒 720ml
・価格:990円(税込)
・購入はこちら→
2-4.喉越しなめらか軽やかな味わい「根知男山 純米酒」
やはり新潟は、酒どころだと感じさせる日本酒が数多くあります。この渡辺酒造店が醸す日本酒もそんな日本酒の1つです。
2003年から五百万石に適した気候風土を生かし、米作りを自社で栽培しており無農薬で質の高い酒米を作っています。原料作りから作りからこだわる徹底ぶりです。
収穫した酒米は五百万石一等米のみを使用し、60%に磨き込み辛口で切れのある新潟特有の端麗辛口で晩酌に良く似合う純米酒となっていて燗酒でも冷酒でもどちらでも飲んでもおいしくいただけます。
冷酒ならすこし口に残る感じがまろやかで夏のさっぱりとした食べ物とよく合いますし、冬ならぬる燗ぐらいに温めていただくと魚の塩焼きや煮つけ、鍋物など口の中の油をスッキリと切ってくれる飲み口の良い辛口になり、年間を通して楽しめる日本酒です。
・蔵元:(合)渡辺酒造店 (新潟県) 公式ページはこちら→
・製品:根知男山 純米吟醸 720ml
・価格:1.364円(税込)
・購入はこちら→
2-5.柔らかくキレのある味わいは「久保田 碧寿 純米大吟醸 山廃仕込」
新潟三大銘柄「八海山」「越乃寒梅」「久保田」その久保田が醸す「久保田 碧寿 純米大吟醸 山廃仕込」になります。
五百万石を使用し、あえて山廃仕込みで純米大吟醸酒にしてくるあたりさすが有名酒蔵という貫禄がうかがえます。
山廃仕込み特有の酸味は割と軽めにつくられていて、しっかりとした旨みが前にくる様な味わいでとても飲みやすいというのが第一印象。久保田らしい優しい吟醸香は変わらず楽しめます。
ですから飲み方としては常温と燗酒とで違う温度帯で飲み比べてみるととても楽しいです。
開栓時は、まず常温で飲んでみてください。大吟醸らしいとろりとしたまろやかさが口の中に広がりたまりません、常温で楽しんだ後はぬる燗で飲んでみてください。
山廃の酸味が穏やかになり、よりキレが出て喉ごし軽やかに楽しめます。大吟醸酒なのですが、こちらの日本酒は合わせる料理のレパートリーは意外にも広いです。
お刺身やエビ、カニなどの料理から天ぷらや鶏肉料理など、少し脂ののった料理に合わせてもおいしくいただけます。大吟醸酒で晩酌をしたいという時には断然おススメしたい1本です。
・蔵元:朝日酒造㈱ (新潟県) 公式ページはこちら→
・製品:久保田 碧寿 純米大吟醸 山廃仕込 720ml
・価格:2.453円(税込)
・購入はこちら→
まとめ
五百万石は硬くて小粒な酒米ゆえに吟醸酒や大吟醸酒にするのはなかなか難しいが普通酒や純米酒にするには最適。日常酒として普段から食卓で楽しみたい日本酒というイメージ。
ぜひお気に入りの一本を見つけてください!
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