初心者にも飲みやすい甘口の日本酒ならこれ!とっておき7選と選び方

甘口の日本酒

日本酒の甘口ってよく聞くけれども、いったいどれが甘口で、どんなお酒が辛口なのかよくわからないと思いませんか?
なんとなくお店の人に言われて注文してみた、一緒に飲みに行った人に言われて飲んでみたけれど「あれ?これ辛いじゃない」とか「これが甘口なの?」というご経験があると思います。

日本酒の甘口、辛口の味を決めるのは米のブドウ糖からなる甘みと酸味のバランスだと言われています。単純に糖分が多い少ないだけで甘口、辛口の差が生まれるわけではないというところが日本酒の奥深さでもあります。

今回は、日本酒の甘口を探すときに目安となる日本酒度というもの、そしてラベルの簡単な見方をお話していくとともに女性に飲みやすい人気の甘口の日本酒7本をご紹介していきます。
甘口とは何なのかを知り、日本酒のラベルの見方を少し覚えておくと販売店で日本酒を選ぶ時や、居酒屋などで日本酒を頼むときにおおよその味の推測ができ選びやすくなります。

この記事を参考にぜひ、ご自分好みの日本酒の甘口を探し当てていただけると嬉しいです。

1. 日本酒の甘みは、糖分が多く、酸味が少ないと「甘い」と感じる

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「甘い」「辛い」という表現、感じ方は人それぞれです。みんなが甘口と言うけれど、それを自分が甘いと感じるかというと、結構そうではないこともあり日本酒における「味」は非常に微妙でかつ複雑に絡み合う要素が織りなすものなのです。
ただし一つの基準として、日本酒の甘みは糖分が多く、酸味が少ないと甘いと感じます。
日本酒の甘味成分とは米のブドウ糖です。米のデンプンを麹菌が糖化することで作り出されます。そして果実由来の果糖やサトウキビ由来の蔗糖などに比べると甘味度は低くなります。
日本酒に慣れていない方がワインの甘口と比較して日本酒を飲むと「辛い」となるのはこのためです。
酸味には乳酸、リンゴ酸、クエン酸などがあります。日本酒の製造工程の中で酒母造りというものがありますがその際に投入するもの(水、乳酸、米麹、酵母、蒸米)で、どんな乳酸を使用するか、どんな酵母を使用するかにより日本酒の味わいが大きく変わってくるものの1つです。
乳酸からはボリューム、コクなどが、リンゴ酸やクエン酸からはスッキリとした爽やかな印象などがもたらされます。
このように米の甘みの中に乳酸やクエン酸などの酸味が加わると味わいは甘酸っぱくなったり、辛口になったりし、反対に乳酸やクエン酸などの酸味が少ないお酒は飲んだときに甘いと感じる甘口になります。
つまり、日本酒の甘みは糖分が多く酸味が少ないと甘いと感じます。

2. 日本酒度は、甘い日本酒を探すときの目安になります

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甘口、辛口の目安として日本酒度があります。この日本酒度を知ると甘い日本酒を探すときの目安になります。
一般的に日本酒度が高くなる(プラス)と糖度が少なく辛口、低くなる(マイナス)と糖分が多く甘口に分類されます。
更に酸度が多いと濃醇(味わいや口当たりが深くしっかりしていてコクがある)な口当たりで辛口と感じ、酸度が少ないと淡麗な口当たりで甘口に感じます。

【日本酒 甘辛度の基準】
日本酒は糖、酸などのバランスによって味が決まるのがよくおわかりいただけるかと思います。
日本酒度が低い(マイナス)けれども、酸度が多ければ辛口と感じることがあり、日本酒度は高い(プラス)けれども酸度が少なければ甘口と感じることもあり少々複雑な要素になります。しかしここが日本酒の醍醐味でもあります。
甘口、辛口の目安として日本酒度があり、この日本酒度を知ると甘い日本酒を探すときの目安になるということを覚えておきましょう。

3. ラベルの情報を読み取り上手に日本酒の甘口を探す

日本酒甘口-3

日本酒のラベルにはいろいろな情報が書いてあります。このラベルの情報を上手に読み取ることで日本酒の甘口を探すことができます。
表ラベルには商品名や特定名称などがかかれています。見るのは裏ラベルです。裏ラベルの記載は蔵により様々な記載がなされており、一定の条件を満たせば商品情報は蔵の自由に記載できるので個性が現れる場所でもあります。

すべての蔵元が裏ラベルに日本酒度や酸度を記載しているかといえばそうとは限りませんが日本酒の甘口を選びたいときの1つの目安なります。
日本酒を手に取り裏ラベルを見て日本酒度や酸度が記載されていれば、先ほど説明した甘辛度の基準と照らし合わせ自分が飲みたい甘口かどうかおおよその物差しになると思います。
ちなみに上記「房島屋 無ろ過生原酒 6号酵母」はというと日本酒度+6で酸度1.7ですから淡麗辛口タイプの日本酒、味わいが軽くさらりとしていて甘くない酒、というふうに読み解くことができます。
もうラベルの読み取り方はおわかりになったと思います。次回、日本酒を選ぶときは上手にラベルの情報を読み取り好みの甘口を探してみましょう。

4. 女性におすすめの日本酒甘口7選

それでは、おすすめの日本酒をご紹介いたします。

4.1. 日本酒度-60度 甘酸っぱくて女性好みの一ノ蔵 「ひめぜん」

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1973年(昭和48年) 宮城県内の歴史ある銘醸蔵4蔵が企業合同して誕生したのが一ノ蔵。
「手づくりにこだわり機械任せにせずに、五感をフルに使って香りを嗅いだり、手で触ったり、舌で味わったりという経験を生かして日本酒を造る」を信条としている蔵元さんです。
そんな一ノ蔵が日本酒の苦手な女性にも飲みやすい日本酒をと考えて作ったのが「ひめぜん」になります。
日本酒度が-60~-70と極甘口なので日本酒を飲んでいるというよりは果実酒を飲んでいるかのような甘さで人気です。アルコール度数も8%とかなり低めですので日本酒が苦手な方には飲みやすいのではないでしょうか。
甘みの中に程よい酸味が加わって女性好みの甘酸っぱさが味わえる1本です。

蔵元:株式会社 一ノ蔵(宮城県)【公式ページはこちら】
製品:「ひめぜん」 720ml 
価格:¥1,028(税込)

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4.2. 日本酒度-96度 豊臣秀吉も愛したと言う はちみつのような甘み 「僧房酒」

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数々のTVなどで取り上げられていたりするのでご存知のかたもいらっしゃるかもしれません。濃厚な薫りと甘みが特徴の大阪奥河内の地酒|天野酒|西條合資会社が造る復刻酒の「僧房酒」です。
室町時代の酒造技術をまとめた日本最古の酒造文献である「御酒之日記」に伝えられている僧坊酒製法を用いて中世の銘酒を再現したものが天野酒の僧房酒です。
口の中に入れるとはちみつのようなとろみが広がります。日本酒度は実に-96度と非常に甘いです。しかしベトベトと口の中でまとわりつく様な甘さではなく以外にもサラッとした口当たりなのが不思議です。
アプリコットや杏、レーズンなどの香りとメープルシロップのような甘い香りが混ざり合いなんとも味わい深いくせになりそうな1本です。
甘さにつられて飲めてしまうのですがアルコール度数は15度と普通の日本酒と変わらない度数なので注意が必要です。
このお酒は冷たく冷やしたほうが美味しくワインのときにいただく味に主張がある様な食材(チーズだったり、鴨肉のソテーだったり)がピッタリとハマるでしょう。

蔵元:天野酒・
西條合資会社(大阪府)【公式ページはこちら】
製品:「豊臣秀吉愛飲之復古酒 僧房酒」 300ml 
価格:¥1,800(税込)

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4.3.  日本酒度-5度 しっとりとした上品な甘み「鼎(かなえ)秋上がり 純米吟醸」

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信州銘醸(長野県)の純米吟醸 「鼎(かなえ)」は、東京農大出身の蔵人3名が醸し出すこだわり抜いた日本酒となります。
実はこの「鼎(かなえ)」信州銘醸のホームページにも掲載されておらず、かつ広告、宣伝は一切していないという知る人ぞ知る日本酒なのです。
今回頂いたのは、秋上がり(ひやおろし)といい冬に絞った酒を一度火入れし、蔵で春、夏をまたいで貯蔵熟成させたもので旨味はますが味わいはまろやかというのが特徴です。
使用されている仕込み水は、黒耀石の岩盤で濾過された名水(和田峠の黒耀水)といわれ、遠方からも多くの方がその天然ミネラル水を求めて訪れているほど。「日本一の超軟水」と言われており素材の香りや味をしっかりと引き出すのが、この黒耀の水の特徴。
口の中に含むとしっとりとしたとろ味、しっかりとした日本酒の米の味わいは残しつつ秋あがりならではの、まろやかな甘味が広がります。果実を思わす吟醸香がグラスを近づけるとしっかりと香り純米吟醸ならではの味わい。

蔵元:信州銘醸株式会社(長野県)【公式ページはこちら】
製品:「鼎(かなえ)」 720ml 
価格:¥1,490(税込)

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4.4. 日本酒度-3.5度 白麹を使用した甘酸っぱさが魅力「田酒 純米吟醸 白麹 生酒」

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西田酒造店(青森県)の「田酒」はスパークリングではないのですが、口の中に含むと若干の発泡感があり柑橘系の爽やかな甘味が特徴です。
米の旨味を引き出すのが”麹”です。通常、日本酒に使われる麹は黄麹菌と言われる麹を使用します。こちらの田酒においては白麹菌を使用しています。
主に白麹菌は焼酎を造る際に用いられるのですが日本酒に使用すると独特の酸味をもたらすのが特徴です。この白麹菌を用いたことにより独特の甘酸っぱさが生まれているのが「田酒」の最大の特徴だと思います。
酸味がある分人によって、甘さは控え目に感じる人もいるかも知れませんが柑橘系の果実酒がお好みなら1度トライしてみてもいいかもしれません。

蔵元:株式会社西田酒造店(青森県)【公式ページはこちら】
製品:「田酒 純米吟醸 白麹 生酒」 720ml 
価格:¥1,674(税込)

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4.5. 日本酒度±0度ながらフレッシュな甘みを感じる「醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 別誂(べつあつらえ)」

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愛知県の萬乗醸造が造り上げる九平次シリーズの最高峰「醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 別誂(べつあつらえ)」です。
「醸し人九平次」の人気の秘密は『芳醇甘口』と言われるとろりと濃厚な口当たりのフルーティーな甘さにあり女性に大人気の蔵元でもあります。
おいしさの秘密は米。山田錦にとことんこだわり2010年からは米の自社栽培も始めています。「ワイン造りはブドウから始める。日本酒造りも米のことを知らないと説得力にかける」とは15代目・久野九平治氏。
口の中に含むととろみと甘みと少し酸味がかった味わいがもう1杯飲みたくなるような後を引く。大吟醸らしい上品で芳しい果実の香りが美味しさを引き立てておりワイン感覚で飲める日本酒。
世界でも人気でミシュランの三ツ星を獲得したレストランやホテルなどでも提供されており「別誂」という名前にふさわしい堂々とした1本です。

蔵元:株式会社萬乗醸造(愛知県)【公式ページはこちら】
製品:「醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 別誂(べつあつらえ)」 720ml 
価格:¥4,584(税込)

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4. 6. 日本酒度-34.5度 白桃にも似た穏やかでフルーティーな甘み、口当たりはトロリ「黒龍 貴醸酒」

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黒龍酒造㈱(福井県)の創業は、1804年(文化元年)と大変伝統のある酒蔵です。
昭和50年に「黒龍大吟醸 龍」を発売以後、吟醸酒の普及に努め吟醸蔵としての基盤を気づいたと言われており、日本酒通なら「二左衛門」や「いっちょらい」など1度は耳にしたことがあるだろう人気の日本酒を造り続けています。
その黒龍酒造が仕込み水の代わりに「黒龍 純吟」を使い贅沢に仕込んだのがこの「黒龍 貴醸酒」になります。貴醸酒とは仕込み水の代わりにお酒を使い造られた日本酒のことを指し上品な甘さが特徴です。
日本酒度-34.5度で果物を食しているかのような甘いリッチな味わいは吟醸蔵と自負する黒龍ならではの味わいと言えるでしょう。
アルコール度数が12度と貴醸酒にしては低め、また一瓶 150mlなので一度試してみたいという人にはトライしやすい甘口酒ともいえます。

蔵元:黒龍酒造株式会社(福井県)【公式ページはこちら】
製品:「黒龍 貴醸酒」 150ml 
価格:¥540(税込)

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4.7. 生酛造り特有の酸味と貴醸酒ならではの甘みが絶妙なバランス「新政 陽乃鳥」

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新政酒造(秋田県)は自社の蔵発祥の6号酵母を使用したラインナップの酒造りで日本酒好きの間では大人気のブランド「№6」シリーズやピンクのラベルの「コスモス」や青いラベルの「ラピス」などお馴染みの日本酒も多い。
今回ご紹介するこちらは、その新政が造る貴醸酒「陽乃鳥」になります。新政の日本酒の中で最も甘口とされている日本酒です。
新政の貴醸酒の特徴は、生酛造りの製法で純米酒を使用して仕込むため最初に口に含んだ時に生酛づくり特有の酸がたつ感じが良く分かります。そしてしばらく含んでいると芳醇な甘みが感じられます。
香りはグラスに注いですぐにはあまり感じられませんが、しばらくするとフルーティーな香りがしてきます。
甘みは、口の中にしつこく残るような甘さではなく口当たりはどちらかと言うとさらりとしています。使用している酒米(美山錦)の特徴であるスッキリとした味わいから来ているのではないでしょうか。
昔ながらのナチュラルな製法、生酛づくりにこだわって醸し出される貴醸酒は飲みやすく、日本酒の味わいも残しながら甘口が欲しいと言う諸氏には大変おすすめの1本となります。

蔵元:新政酒造株式会社(秋田県)【公式ページはこちら】
製品:「陽乃鳥 貴醸酒」 720ml 
価格:¥1,900(税込)

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まとめ

ここまで日本酒甘口とはなにかをお話してまいりました。

1. 日本酒の甘みは、糖分が多く、酸味が少ないと「甘い」と感じます。
2. 日本酒度は、甘い日本酒を探すときの目安になります。(プラス)だと辛口、(マイナス)だと甘口。
3. ラベルの情報を読み取ることで上手に日本酒の甘口を探す事ができます。

※ 香り、味の表現は、あくまでも個人的な感覚での表現となり全ての方がそのように感じると断定するものではありません。
※ 日本酒の在庫等の調査は記事掲載時のもので欠品、終売に関しては各店舗へのお問合せをお願い致します。

参考文献
日本酒の基礎知識 新星出版社
新訂 日本酒の基 NPO FBO(料飲専門家団体連合会)
№1ソムリエが語る新しい日本酒の味わい方 SB新書
日本酒完全ガイド 池田書房

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