日本酒を好きになってくると日本酒の原料である酒米に興味がわいてきます。どんな酒米を使って造るのか、米のよしあしは日本酒の品質に大きく関わってきます。
これら日本酒造りに使われる米は食用の米とは条件がことなり酒造り用の特別な米となり「酒造好適米」と呼ばれています。
この酒造好適米は皆さんよく聞く「山田錦」などをはじめ、各都道府県がその土地の酒造りに適した米を開発するなどして現在ではその数は100銘柄を越えると言われています。
ここでは、代表的な酒米についていくつかご紹介するとともに、酒米による味の違いにも注目してお話ししていきます。ぜひ参考にしてください。
目次
1. 酒米とは日本酒を造るのに最適なお米
私たちが普段食べている食用米とは違い、酒米は日本酒造りに適したお米です。その違いは大きく分けて3つの特徴があります。
1.粒が大きく砕けにくい
日本酒はお米の表面の雑味になる部分をたくさん削り取って精米したものを使うのですが、この精米をする際に粒が小さいと砕けてしまい使い物にならなくなります。
そのため酒米に使用する米は、食用米に比べて大きな粒のものが用いられます。
2.米の芯(心白)がしっかりしている
心白はデンプン質に近い成分でできています。このデンプン質は、もろみのなかで溶けやすく糖化されやすいので良質の酒ができるのです。
酒米は食用米に比べてこの心白がとてもしっかりとしているのが特徴です。
3.雑味の元が少なく吸水性が高い
日本酒の雑味の元となる成分が、タンパク質や脂質分です。
酒米は食用米に比べこのタンパク質や脂質分の含有量が少ないのです。加えて吸水性と保水性が食用米よりも優れており酒造りで使う良質の水をしっかりと吸収して蓄えることができるため美味しい日本酒ができるのです。
2. 酒米は全国100銘柄以上
日本各地で多くの酒類の酒造好適米が栽培されておりその数は100銘柄にも及ぶと言われています。上図は一部の酒米を図に表したものです。
特に覚えておきたい有名な酒米は、こちらの4つです。
- 山田錦(香り高くコクが深い)
- 美山錦(端麗ですっきりしている)
- 雄町(やわらかく優しい印象)
- 五百万石(クセがなくキレが良いシャープな印象)
次の章で詳しくご説明します。
3. 覚えておきたい酒米と味の特徴
3-1. 大吟醸に使われる酒米の王様「山田錦」
兵庫県の酒造好適米である「山田錦」は心白が大きく砕米率が低いので米を半分以上削り取って造られる大吟醸や吟醸系の日本酒に最適な酒米です。
たくさんの新酒の酒米が開発されているにもかかわらず高級な日本酒の多くは山田錦が使われていることも多く不動の酒米ともいえます。
水分をたっぷりと含み、溶けやすい米質なので豊潤で奥行きがあり米の旨みが堪能でき、かつ切れのある飲み心地のよい日本酒になります。
こちらの「伯楽星 特別純米 山田錦 」は究極の食中酒として不動の人気を誇ります。香り高く飲みやすさでは№1の日本酒です。
燗でも冷酒でもいけてしまう幅の広さも持ち合わせており、山田錦特有の旨みが感じられる中にすっきりとした味わいが印象的な一本です。
・蔵元:新澤醸造店(宮城県)蔵元紹介ページはこちら→
・製品:伯楽星 特別純米 山田錦 720ml
・価格:1.404円(税込)
・購入はこちら→
3-2. すっきり飲みやすい味わいの酒米「美山錦」
長野県の酒造好適米である「美山錦」は長野のほか秋田、山形、岩手などの東北地方でも栽培されており寒冷な気候に強い品種です。
「山田錦」同様に心白と呼ばれる部分が大きいことから良質な日本酒が造られ、味わいは淡麗で引き締まった酒質になり、すっきりと飲みやすい日本酒になります。
美山錦を使用した日本酒が、こちら「酉与右衛門(よえもん)山廃純米無濾過生原酒 美山錦」となります。米の旨みとほどよい酸味が相性よく、美山錦らしく口の中に含むとスッと軽い口当たりで入っていく喉ごしが軽快な辛口の日本酒です。
・蔵元:合資会社川村酒造店(岩手県)
・製品:酉与右衛門(酔右衛門)山廃純米無濾過生原酒 美山錦 1800ml
・価格:3.672円(税込)
・購入はこちら→
3-3. まろやかで優しい飲み口の酒米「雄町」
岡山県の酒造好適米である「雄町」は一時「幻の酒米」となりましたが現在では栽培も広がり安定した需要がある酒米です。雄町の最高品質は岡山県赤磐郡産の備前雄町ともいわれています。
味わいは、香りは穏やかで丸みのあるふくよかなコクがあり優しい味わいの日本酒になります。
こちら「開運 雄町 純米」は、岡山県赤磐の雄町を使用しており雄町の高級ブランド米を使い醸し出している日本酒です。
みずみずしい香りとともに雄町特有のまろやかな旨み、そして柔らかい優しい口当たりが堪能できる一本です。
・蔵元:土井酒造場(株)(静岡県)公式ページはこちら→
・製品:開運 雄町 純米 1800ml
・価格:3.024円(税込)
・購入はこちら→
3-4. 淡麗で爽やかな味わいの酒米「五百万石」
新潟県の酒造好適米の代表でもあり山田錦とともに二大酒米として称され新潟のみならず全国で栽培されているのが「五百万石」になります。山田錦に比べると粒が小さ目で心白が大きいので米の表層部分をたくさん削り取り醸す大吟醸の様な日本酒には向かない。
やや堅く溶けにくい米質なので出来上がる日本酒の味わいは淡麗で爽やかな味わいの日本酒になります。東北地方の日本酒は淡麗辛口が多いというのは、この様に酒米の性質によるものが大きいのかもしれません。
「澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石」は富山県城端地区南砺市産の良質な五百万石を使用しています。
五百万石の特徴である爽やかな味わいを無濾過の原酒を瓶詰め後火入れする造りで酸味も加わりよりなめらかさ爽やかさを感じる一本となっています。すっきり爽やかな心地よさを求めるなら断然おすすめの日本酒です。
・蔵元:松本酒造(株)(京都府)公式ページはこちら→
・製品:澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石 720ml
・価格:1.296円(税込)
・購入はこちら→
4. 玄米、食用米を使用した個性的な日本酒
日本酒を造るときには、ほとんどの蔵元は酒造好適米である酒造り専用の酒米を使用します。しかし、中には少し趣を変えて「玄米」や食用に用いる「食用米」を使用して造られた日本酒もありますのでご紹介していきます。
4-1. 芽玄米酒 五人娘『むすひ』(発芽玄米)
この日本酒は、本来の日本酒として楽しむというよりはどちらかといえばヘルシーフードのくくりが強いお酒です。精米をして米に磨きをかけて澄んだクリアな味を追求する日本酒というよりは健康ドリンク的な意味合いが強い独創的な日本酒ということが言えます。
無農薬玄米(コシヒカリ)で造られており、アルコール度数は7~12度と低いです。乳酸菌による酸味が強く、瓶の中で乳酸菌や酵母が生きており開栓とともにその酸味も増していきます。ぬか漬けにも似た香りが特徴で、通常の日本酒を想像して飲むとその個性的な味わいに度肝を抜かれることでしょう。
・蔵元:(株)寺田本家(千葉県)公式ページはこちら→
・製品:芽玄米酒 五人娘『むすひ』720ml
・価格:1.512円(税込)
・購入はこちら→
4-2. 白木久 純米大吟醸無濾過生原酒(食用米コシヒカリ)
白杉酒造の酒造りのこだわりは全量食用米で仕込みです。きっかけはそれまで使用していた京都府の酒造好適米である酒米「祝」が手に入らなくなったことで食用米を使用して造るようになりました。
試行錯誤の末に地元京都の丹後産コシヒカリを使用して醸す日本酒に成功、出来上がったのが「白木久 純米大吟醸 無濾過生原酒」です。果実系の華やかな香りと純米大吟醸らしいすっきりとした飲み心地。
山田錦や五百万石などの酒米とは違う食用米ならではの優しくしっとりとした味わいが癖になりそうな日本酒です。
・蔵元:白杉酒造(株)(京都府)公式ページはこちら→
・製品:白木久 純米大吟醸無濾過生原酒 Revolution(レボリューション) 720ml
・価格:1.998円(税込)
・購入はこちら→
まとめ
ここまで日本酒造りに欠かせない「酒米」についておはなしして参りました。
日本酒は、酒米の違いにより味わいも変わってくることがおわかりいただけたのではないでしょうか。酒米の特徴を理解していれば日々の日本酒選びにも活用することができます。
今日は柔らかい優しい口当たりの日本酒が欲しいと思えば「雄町」を、すっきりと切れのよい淡麗な日本酒をお刺身とともに食べたいというときなどは「五百万石」などその日の気分で日本酒を飲み分けるのもまた楽しいものです。
皆様にもぜひ酒米での飲み分けを試してみていただけるとうれしく思います。
コメント