料理をしていてレシピに「酒」という文字をよく見かけます。この「酒」とは通常、家庭料理を作る時には料理酒のことを指しています。
しかし料理酒ではなくて、日本酒を使った方が料理は美味しくなる、こんな話を耳にしたことはないでしょうか。
実はそれは本当で、日本酒の方が風味や旨みがより良くなります。
この記事では、料理酒と日本酒の決定的な違いと、料理にはどんなお酒が合うのかをお話ししていきます。
料理の味をワンランクアップするコツを知ることができるはずです。ぜひ参考にしてください。
目次
1. 料理酒と日本酒の大きな違いは塩分にある
1-1. 料理酒に入っている塩分は3%
料理酒と日本酒の最大の違いは「塩分」が含まれているか、いないかということです。市販の料理酒と呼ばれているものには大概3%前後の塩分が含まれます(約20g/L)これは調味料として日常使用する酒に酒税(酒税は120円/ℓ)をかけず販売するためなのです。
ですから料理酒を味見してみるとわかりますがそのまま飲むには塩分が強すぎて飲用酒としては適しません。(現在では無塩タイプの料理酒も販売されています)
1-2. そもそも料理酒は飲用酒としては、つくられていない
日本酒は飲用を目的にしており飲んだ時に旨味や口当たりの良さを考えつくられており塩分は含んでいないのが特徴です。まろやかな味や香り、甘みなど口に含んだ時にサラッと喉を通り雑味がないのはこのためです。
料理酒は飲用を目的にしていませんので日本酒の様に余計な雑味だとか、酸味なども飲酒用ほど手間をかけて製造されていません。そのため手軽に料理に使用できるのですが日本酒を料理に使用した時の様な雑味のない繊細な仕上がりにはなりにくいのが料理酒です。
飲んで、美味いと感じる酒は料理に使用しても美味しいものです。調味料にこだわる方の多くが料理の際は日本酒を使っています。
2. 日本酒は風味や旨みをより引き出す
日本酒の特徴は、酸味と甘みと旨味そして吟醸香に代表されるような香りこの4つのバランスがしっかりとあるということです。そして日本酒の中で唯一ない味覚が塩味なので料理をする時に「塩」との相性も抜群なのです。
【臭みけし】
塩もみという言葉があるように、塩は食材の水分を外に押し出す作用があります。塩分の入った料理酒を使用すると臭みと共に食材の旨味までもが外に一緒に溶けだしてしまうのです。
その点、無塩である日本酒は臭みを消しながら日本酒の持つ香りと浸透性の高さで素材の旨味成分を奥まで浸透させ臭みを取り除きます。また素材に日本酒の持つ良い香りをつけてくれるという役目も果たすのです。
【風味付け】
日本酒には、米のデンプンによる糖や製造過程で作り上げられていく乳酸やアミノ酸などの多くの成分が含まれています。それらが料理を作る時に味に変化をもたらし甘みやコクをあたえ料理全体に風味をつけ、ひと味違う料理へと変化させてくれるのです。
【素材に柔らかさを加える】
西洋料理のビーフシチューを作る時などは牛肉を煮込むときに赤ワインを加えます、また下処理で赤ワインに少し肉を付けておくと柔らかくなるのですがそれと同じ作用が日本酒にもあります。
浸透力のある日本酒は肉や魚の繊維にアルコールの成分が浸透して素材全体の保水力を高める役目を果たします。肉などはとても柔らかくなります。また煮たり、焼いたりした時にも素材のみずみずしさが保たれ硬くなることを防いでくれます。
【美味しさを封じ込め、まろやかさを出す】
日本酒の成分が浸透することで保水力が高まる、それと同時に素材全体にアルコールの成分が膜を張るため煮物などの料理をした場合でも煮崩れしにくく、膜が旨味成分を封じ込めるので美味しさが保たれるのです。
このような効果から、料理に使うなら料理酒よりも日本酒がおすすめです。但し、塩分が含まれていない日本酒を使う場合は料理する際は、塩加減を見ながら味を調えることが大切です。
3. 料理酒に向いているおすすめの日本酒
料理に日本酒を使うと美味しくなるのは分かった、ではどんな日本酒でも良いのか?と言う疑問が湧いてくると思います。料理に日本酒を使うのであれば「純米酒」がおすすめです。
日本酒は大きく分けて2つのタイプがあります。本醸造系と純米系です。違いは原料です。本醸造酒は原料に米と水そして味や香りを整えるためにサトウキビなどから造られる「醸造酒」と呼ばれる醸造アルコールを添加した日本酒のことを指します。
一方の純米酒は純粋に米と水だけで造られた日本酒のことを指します。飲用として楽しむ分にはどちらも美味しく楽しめますが料理に使うのであれば添加されたものがない米本来の旨みとナチュラルな香りが特徴の純米酒を使うことをおすすめします。
醸造酒か純米酒かの見分け方は日本酒のラベルを見ればすぐわかります。純米酒には「純米酒」と表記されていますので選ぶ時に迷いません。
3-1. 醴泉 純米 山田錦
日本酒の酒米の王道山田錦を使用して米の旨みを引き出しながらもガツンとした骨太な味わいではなく軽やかで優しい味わいに仕上げてあるのが特徴の「醴泉 純米 山田錦」です。
料理も日本酒の温度帯も選ばない飲みやすい純米酒として人気があります。料理に使う時にもどんな料理にもマッチする幅広い純米酒としておすすめできます。
蔵元:玉泉堂酒造㈱(岐阜県) 公式ページはこちら→
製品:醴泉 純米 山田錦 720ml
価格:1.587円(税込)
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3-2. 山形正宗 純米辛口
全ての酒を伝統的な槽(ふね)と呼ばれる木槽搾りで行い、仕込み水に奥の細道で詠まれた名刹「山寺」を源流とする硬質の伏流水を使用。すべての酒は純米酒と言うこだわりの酒造りをしているのが水戸部酒造。
その水戸部酒造の定番酒が「山形正宗 純米 辛口」です。硬度の高い仕込み水を使用しているので味わいはシャープでキレがありますが、さすがこだわりの製造法での純米酒だけあり米の甘み、旨みが見事に表現されており燗酒に最適な日本酒です。
自然の甘みと旨味が詰まったこんな純米酒なら料理にもしっくりと調和して溶け込むそんな1本です。
蔵元:㈱水戸部酒造(山形県) 公式ページはこちら→
製品:山形正宗 純米辛口 1800ml
価格:2.700円(税込)
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3-3. 会津娘
髙橋庄作酒造店は、小規模醸造の純米酒造りが中心の会津の酒蔵です。地元、会津の米と水を使い穏やかな香り高い昔ながらの純米酒づくりにこだわり造られています。
「会津娘」は米の旨み・甘みがバランスよく口の中に広がり素朴で温かみのある味わいにファンが多い1本です。温度帯は選びませんがやはり燗酒がおすすめ
料理に使うならこんな優しい味わいの主張しすぎない日本酒を使うと素材に寄り添う美味しい料理ができます。
蔵元:髙橋庄作酒造店(福島県) 公式ページはこちら→
製品:会津娘 720ml
価格:1.330円(税込)
購入はこちら→
まとめ
ここまで料理酒と日本酒の違いは何なのか、料理酒ではなくて、日本酒を使った方が料理は美味しくなるのはなぜなのか、日本酒をどのように使うと料理が美味しくなるのか、どんな日本酒を使うと良いのか等のお話しをしてまいりました。
飲んでも美味しい「日本酒」は、料理に使うことでその素材の持ち味を引き出し、旨味を閉じ込める。日本酒を使うことで、いつもの料理がワンランク上のプロの味になるということをお分かりいただけましたでしょうか。
ぜひ皆さんも日本酒をお使いになって「プロの味」をお試しいただけると嬉しいです。
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