日本酒と焼酎の違いってなんだろ? 皆さんはご存知でしょうか。
なんとなく違うということは分かっていても改めて聞かれるとはっきりと答えられないのではないでしょうか。
日本酒と焼酎、見た目は似ていても、実は全く違うお酒です。
違いを知りたいという方のために今回、原料やアルコール度数など7つの視点から日本酒と焼酎の違いを徹底的に比較してみました。
違いを知って自分に合ったそれぞれの美味しい飲み方を見つけてみてください。
目次
1. 日本酒と焼酎の違いを7つの視点で見比べてみた
日本酒と焼酎を次の7つの視点で比べてみました。
一つ一つ見ていきましょう。
1.1. 「造り方」
日本酒と焼酎では造り方が違います。
日本酒は醸造酒、そして焼酎は蒸留酒となります。
醸造酒とは原料を酵母によりアルコール発酵させて作られた酒です。
その醸造酒を蒸留(一度沸騰させて気化したものを冷まして液体にすること)したものが蒸留酒になります。
醸造酒である日本酒の仲間にはビールやワインがあります。
一方の蒸留酒の仲間には、ウイスキー、ブランデー、スピリッツなどがあります。
また、焼酎には乙類と呼ばれるものと甲類と呼ばれるものがあります。2つの違いは蒸留方法の違いです。
乙類の蒸留方式は単式蒸留と呼ばれ単式蒸留機で1~2度の蒸留で造られた焼酎です。
特徴は素材の香りがしっかりと残る、味わい深い焼酎。
麦焼酎、芋焼酎、米焼酎、そば焼酎、などと言われる焼酎はこちらの乙類となり本格焼酎とも言われます。
一方甲類は、連続式蒸留機で繰り返して蒸留を行います。
何度も蒸溜することで雑味の無いすっきりした味わいの焼酎になります。
チューハイやサワーなどのベースとしても使われたり、果実酒づくりに用いられたりと幅広く親しまれています。
JINROや鏡月と言ったお馴染みの韓国産焼酎もこちらの分類に入ります。
以下、日本酒と焼酎のできるまでの簡単な工程を図にしてみました。
①精米
玄米の外側を削ります。(削る割合は造るものによって変わります)
②洗米・浸漬
米を洗い、米に水を吸水させる。
③蒸し(蒸米)
麹用(麹米)、酒母用(酛米)、もろみ用(掛米)とそれぞれの用途に合わせ3種類の蒸米を用意します。
④製麹
蒸米に麹菌を繁殖させ糖化酵素を持つ麹を造る工程です。(アルコール発酵のためには米のデンプンを糖分に変える必要がありそのためには「酵素」を生み出す米麹を作りは必須です)
⑤酒母造り
発酵を司る頑丈な酵母を育てる工程です。(酛造り)とも呼ばれます。米、米麹、水に酵母を加え酵母を培養します。
⑥醪(もろみ)造り
およそ3週間の発酵期間を経て日本酒が出来上がります。
⑦上槽(搾り)
タンク内で発酵を終えた醪(もろみ)はタイミングを見て搾られる。清酒と酒粕とに分けられるこの作業のことを上槽と言います。その後、ろ過、火入れ、熟成のための貯蔵などを行う。
⑧瓶詰め・出荷
①精米~③蒸し
米を主原料に焼酎を造る場合は、精米〜蒸しは日本酒の工程とほぼ同じです。
主原料が芋、麦、蕎麦などの場合は、麹と酵母と水のみで一次仕込みを行い二次仕込みで蒸した主原料加えて仕込む「二次仕込み方式」で造られます。
④製麹
ここでは日本酒と同じデンプンを糖化させる役割を持つ酵素を作るのが目的です。日本酒に用いられる代表的な麹は黄麹、一方の焼酎には黒麹や白麹が使われます。
⑤一次仕込み
日本酒造りと同様この段階で酒母を作ります。
⑥二次仕込み
一次もろみに加水して、芋、麦、蕎麦、米など主原料を加えます。芋焼酎なら芋を、麦焼酎なら麦を加えて発酵させる工程。
⑦蒸留
発酵が終わった醪(もろみ)を蒸気釜で沸騰させ蒸気を発生させ、冷却水によって蒸気をさまし蒸留原液を摘出します。日本酒にはこの工程はない。
⑧貯蔵
蒸留したてのガスや油分が含まれている。原酒の余分な成分を分離し酒質を安定させるために行います。通常は60日以上貯蔵熟成させます。ウイスキー同様樽などで貯蔵させるものの中には数年をかけて熟成させると言われるものもあります。その後、割水を行い味の調整を行う。日本酒造りではこの段階で火入れ(殺菌)を行いますが、焼酎の場合は蒸留する際に高温で沸騰させるため日本酒の様な殺菌作業は必要ないのです。
⑨瓶詰め・出荷
いかがでしょう、焼酎は日本酒よりも一工程多く、よりアルコール度数の高い成分を摘出させるため蒸留させる「蒸留酒」だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
日本酒は醸造酒、焼酎は蒸留酒と覚えておきましょう。
1.2. 「原料」が違う
日本酒の原料は米を使いますが、日本酒造りでは酒造好適米と言われる酒造りに向いた米が使われます。
代表的なものに「山田錦」「雄町」「五百万石」「美山錦」など日本酒通なら耳にしたことのあるお馴染みの酒米です。
焼酎は米以外にも芋、麦、蕎麦、黒糖、とうもろこし、紫蘇など色々な原料があります。
芋を使えば芋焼酎、米を使えば米焼酎、他にも麦焼酎、蕎麦焼酎など色々な焼酎があります。
1.3. 「アルコール度数」が違う
日本酒は出荷時に15度前後、焼酎は25度前後と焼酎の方がアルコール度数は高い。
日本酒は原酒で18~20度あります。割水で調合加水を行い15度前後に調整をして出荷されます。
焼酎の原酒は40度前後あります。割水で調合加水を行い25度程度に仕上げ出荷されます。
日本酒のアルコール度数よりも焼酎のアルコール度数はかなり高いということがわかると思います。
1.4. 「カロリー」が違う
日本酒と焼酎では焼酎の方がカロリーは高いです。ただし、酒の中に含まれる糖質では、焼酎がゼロと糖質がないことがグラフからわかると思います。
日本酒と焼酎のカロリーを見てみると日本酒一合=180mlとした場合の日本酒のカロリーは約180kcal
一方の焼酎はと言うと焼酎の水割り、一合=180ml( 焼酎6:水4として作った場合)で見てみると
・焼酎(35%) 約210kcal
・焼酎(25%) 約150kcal
35度の焼酎を水割りで同じ量を飲んだ場合は日本酒よりもカロリーは高くなります。ただしカロリーは高いのですがダイエットに関係の深い糖質の成分に関しては焼酎の場合は「0」となります。
カロリーは高めだが糖質はないのです。糖質ダイエットが流行っていますがこの場合は日本酒よりは焼酎が良いというのもうなずけます。
但し、カロリーはかなり高めなので飲み過ぎには注意が必要です。
1.5. 「飲み方」が違っていた。
温めたり冷やしたりと、どちらでも飲める日本酒と焼酎ですが、日本酒はそのまま(冷、燗等)で飲みます。
それに対してアルコール度数が高い焼酎は水割り、お湯割り、氷を入れてロックで飲んだりとそのまま飲むことはあまりしないでしょう。
日本酒は、そのままで楽しめるお酒ですが焼酎は、水やお湯など何かで割って飲むお酒という違いがあります。
1.6. 「保存方法」が違う
日本酒は火入れ(殺菌)されたものは常温でOKですが、生酒は必ず冷蔵庫で保存してください。
焼酎は、常温でOKです。
ここで言う常温の条件とは、直射日光などが当たらない、涼しい場所と言う意味です。
温度変化の激しい所は避けた方が無難でしょう。焼酎も開封済みのものは冷蔵庫のゆとりがあるのなら入れた方が良い事は言うまでもありません。
尚、より詳しい保存方法が知りたい方は「開封済み日本酒の保存法が知りたい!!タイプ別日本酒保存法」のページで説明していますのでそちらをご覧ください。
1.7. 「飲む以外の活用法」
飲む以外での活用法としては、日本酒も焼酎もさほど変わりません。
どちらもみりん代わりに料理酒として料理に使用したり、入浴剤代わりに酒風呂として湯船に入れて使用したりはおすすめです。
日本酒も焼酎も肉などを柔らかくし、味をまろやかにしてくれる効果があります。
入浴剤代わりに使う場合は、浴槽にコップ1~2杯程度のお酒をいれて入ると血行が促進され身体が温まります。
こちらも「開封済み日本酒の保存法が知りたい!!タイプ別日本酒保存法」のページで説明していますので興味のある方はご覧になってみて下さい。
2. まとめ
日本酒と焼酎。造り方の違いや同じ素材(米)でも味わいが随分と変わることがわかりました。
日本酒通の皆様は焼酎の魅力がお分かりいただけたでしょうか、焼酎好きの方は、日本酒の奥深さを知っていただけましたでしょうか。
いつもは焼酎ばかりだけれどたまには日本酒(日本酒ばかり飲んでる方は焼酎)を飲んでみようかなぁと少しでも思っていただけたのなら嬉しいです。
【参考文献】
「新訂 日本酒の基」(NPO法人FBO)
「日本の酒 世界の酒SAKE 2018」(産経メディックス)
「日本酒完全ガイド」(池田書店)
「日本酒の教科書」(新星出版社)
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