常温と冷蔵どっち?日本酒をおいしく保つ保存のコツとよくある疑問

日本酒保存法

日本酒はとてもデリケートなお酒と言われています。
特に開封後の日本酒は、その保存方法1つで日本酒を美味しく飲めるか、そうでないかを左右してしまいます。
最近では、200万円以上する様な最高性能でかつ、高価な日本酒セラーも販売されていたりもしますが気軽に手の出るものではありません。

ここでは開封済みの日本酒を、自宅でも手軽に出来て、美味しい日本酒を楽しめる保存方法に焦点をあててみようと思います。
ちょっとしたコツをつかんで正しい保存方法を知ることで日本酒を美味しく、より楽しめるようになっていただければと思います。

1.タイプ別日本酒の保存方法

日本酒の種類

開封後の日本酒は全て冷蔵保存しなければいけないと思っていませんか?
自宅で保存する際に必ずしも冷蔵庫に入れなければならないという訳ではありません。

日本酒には大きく分けると8種類の特定名称酒と言われるお酒があります。(上図参照)この種類分けに当てはまらないお酒は普通酒と呼ばれ計9種類に分けられます。
そして、このお酒の種類によって冷やさなければならないお酒とそうではないお酒の2タイプがあることを知っておきましょう。 

1.1.【開封済み】純米酒・本醸造酒は常温でOK

純米酒

まず、米と麹のみで造られる純米酒と言われるタイプのお酒は常温保存でOKです。
また、本醸造酒と呼ばれているタイプのものも、常温保存がOKです。
但し常温保存する場合にも次の3点に注意することが必要です。

1.1.1.日光が当たらない場所に保管する

日光

日本酒は直射日光に非常に敏感です。光に当たると日光臭や老香(ひねか)と呼ばれる、たくあんのような強い臭いが発生し味も雑味・苦味が増加してしまいます。
したがって出来るだけ日光にあてないよう注意する必要があります。
また、余り知られていないのですが蛍光灯の光でも変色し(色が強くなり)劣化することが分かっています。
保管の際には蛍光灯の光にも弱く品質劣化するということを知っておきましょう。

1.1.2.温度変化が少ない場所に保管する

ケース

日本酒は高温の場所を嫌います。また急激な温度変化も劣化のもととなります。
エアコンで快適な室内温度であったとしても、日中誰もいない室内が夏の暑さで高温になったり、冬の寒さで低くなったりという温度差が激しい場所はできれば避けましょう。
日本酒は、温度の高低差が激しい場所では劣化のもとになりますので注意が必要です。

1.1.3.においの強いもののそばに置かない

匂い

日本酒はにおいを良く吸収します。たとえ瓶詰めで封を開けていなくても近くに置くと臭いが移る場合があります。
ナフタリンと呼ばれる防虫剤の様な臭いの強いものや、石鹸など香りが強いものの近くに置くのはきをつけましょう。
開封後であれば、その危険性は高くなりますので、なおさら注意したいところです。

押し入れ

以上3つの注意点に照らし合わせて考えると日本酒を保存する場合は「日の当たらない、温度変化の少ない、近くに強いにおいがするものがない場所」が良いということになります。
紙製や木製の化粧箱がついている場合はその箱の中に入れ、ない場合は新聞紙などでくるんで日光や蛍光灯の光を遮ります。
そして冷房や暖房の影響をあまり受けない押し入れやクローゼットなどに保管することがベストでしょう。

お酒の種類の確認方法|瓶のラベルからわかる基本情報

ラベル1ラベル2

さて手元のお酒の種類がなんなのか、わからないとちょっと困りますよね。瓶のラベル、上図(左)から手元のお酒の種類を知ることができます。
その確認方法をご紹介します。手元のお酒の種類に迷ったらラベルを確認しましょう。ラベルには様々な情報が書き込まれています。
使用されている酒米やその磨き具合など日本酒選びに欠かせない情報です。
ビギナーであれば手元のお酒の種類がわかれば安心でしょう。その場合は⑨の特定名称の部分を確認すれば純米酒なのか吟醸酒なのか本醸造なのかがわかるはずです。

また、②の原材料を確認して見るのもいいでしょう。純米酒は原材料が米と米麹だけで作られていますので原材料に米と米麹のみしか書かれていないお酒の場合は純米酒となります。

一方、本醸造酒は、原材料に米と米麹の他に、醸造アルコールと言われるサトウキビや穀類を発酵、蒸留して造られたアルコールが含まれたものになります。

また、裏ラベルを貼ったお酒も良く見られます。こちらもお酒の製品説明など各種のデーターが書いてあります。
上図(右)の裏ラベルの場合は説明書きに本醸造酒であることが書かれている為、お酒の種類がすぐにわかります。

1.2.【開封済み】吟醸系・生酒は、必ず冷蔵保存

吟醸生

吟醸系や生酒は、常温保存すると香りや味わいが大きく変化して劣化します。必ず冷蔵庫で管理しましょう。
その際も温度変化の影響を受けない様に新聞紙に巻いて、立てて保存する事をお薦めします。
冷やす温度は5~8℃が理想です。日本酒に賞味期限はないと言われていますが開栓したら美味しくいただきたいのなら7~10日程で飲みきるのが理想です。

1.3.未開封の場合は光と温度に気を付けて冷暗所に保存する。

冷蔵庫

未開封の場合も基本的な保存方法は開封済み日本酒の保存方法と変わらないと考えてよいでしょう。
美味しくいただくにはお酒のコンディションをきちんと整えてあげることが大切だと考えましょう。やはり気を付けたいのは2点。光と温度管理です。
紫外線や蛍光灯などの光に注意し、新聞紙などで包んで光の当たらない場所に保管しましょう。
そして、温度管理です。高温には弱い日本酒ですから温度が上がらない場所で生酒や吟醸酒であれば冷蔵庫で、それ以外の日本酒なら15℃以下の場所が最適です。
ここで少し、冷蔵保存に最適な温度について触れておきます。

温度計

冷蔵庫で保存する際にも最適な場所があります。冷蔵室は3~6℃、野菜室は3~8℃が平均的な冷蔵庫の庫内温度となります。
日本酒の保存温度の目安は5~8℃なので冷蔵室や野菜室が適していると言えるでしょう。(※温度帯は目安です。各メーカーにより温度に若干の異なりがあります。)

2.日本酒のよくある疑問集

Q&A1Q&A2

日本酒のことでよくあるQ&Aをまとめてきました。ご参考にしていただければ幸いです。

2.1.開封後は、どれくらいで飲みきればいいですか?

・目安としては10日以内に飲みきるのが良いとされています。

日本酒は一度開封すると空気に触れて酸化が進んでいき味が変化していきます。
しかし、しっかりとした作りの日本酒であるならばすぐに劣化してしまうということはありません。
きちんと栓をし、化粧箱、新聞紙等で光を遮り、冷暗所に保存であれば1ヶ月程度の保存は可能だと言われています。
しかしその日本酒本来のおいしさを楽しむのであれば10日以内を目安にしましょう。

先にもお話ししました吟醸酒や生酒は冷蔵保存が必須です。

2.2.開封後に容器の移し替えを、行っても大丈夫ですか?

ペットボトル
・日本酒は別の容器に移し替えても差しさわりありません。

四合瓶があればそちらに移し替えることが良いでしょう。なければペットボトルでも大丈夫です。但し、ペットボトルを使用する場合の注意点は臭いです。
ペットボトルに入っていた中身により、臭いが取れないものもあります。日本酒は臭いが移りやすいので注意が必要です。
ペットボトルを使うのであれば水など臭いのないものが入っていたペットボトルを使うのが無難でしょう。

2.3.お酒のボトルの横置きは、行ってもいいですか?

置き方

・横にせず立てて保管する事をお薦めします。

ボトルを横に寝かせて保管すると日本酒がキャップに触れ、キャップの内側のゴムやプラスチックのにおいが移ることがあります。
ボトルは横にせず立てて保管しましょう。冷蔵庫に一升瓶が入らない場合は容器を移し替えて立てて保管しましょう。

2.4.残った日本酒の活用方法って何かありますか?

・料理酒として使うのは一番お薦めです。
料理酒
スーパーなどでよく料理酒というのは見かけるかと思います。スーパーなどで販売されている料理酒は「加塩料理酒」と言われるものです。
この「加塩料理酒」は日本酒に塩を加えて、そのままでは飲めない様にしたものです。
つまり酒税がかからない様加工し、その分価格が安くなっている日本酒という訳です。
和食の達人と言われる方々や、有名料理店の料理人たちが風味や香りにこだわり、こぞって日本酒を使用するということもテレビや雑誌等で良く見聞きします。
飲み残しのお酒を使って自宅でいつもの料理を「高級料亭と同じ味」に挑戦してみるのも楽しいかもしれません。

・入浴剤として使うのもお薦めです。
入浴剤

残った日本酒を入浴剤代わりに湯船に注ぐ「酒風呂」として使用してみてはいかがでしょう。
美脚自慢の某女優さん達やスタイル自慢のモデルさんなども実践していると言われている「酒風呂」です。
アルコールの働きで血行促進、日本酒に含まれるアミノ酸やビタミン、ミネラル等が肌を整えるのだそうです。
使用するお酒はスーパーなどで売っている箱酒でも構いません。使用量は、一般的な浴槽であれば3~4合程度で十分とのこと。
もしも、ちょっと高価な吟醸酒なんかが余っていて使い道に悩んでいるのなら、高級スパに行ったつもりになって自宅のお風呂でゆっくりリラックスというのも贅沢かもしれません。

・マッサージに使うのも以外かもしれませんがお薦めです。
スキンケア

以前、某有名プロ野球選手が日本酒を使ったマッサージ法を試みて怪我の回復を早めたという話が話題になったのを覚えていらっしゃるでしょうか?
日本酒を適量、皮膚にすり込むようにして気になる部分をマッサージするというものです。
冬に日本酒をお燗して飲むと確かに身体がポカポカとしてきたという経験があるかと思います。
マッサージでもすり込んだ部位の代謝が上がり美容、健康の促進につながるのだそうです。寒い冬はもちろんですが、夏のエアコンで冷えた体の血行を良くするのにも役立ちそうです。
※酒風呂、マッサージ共に医学的効果を保証するものではありません。

3.まとめ

まとめ

ここまで、開封した日本酒の保存方法についてお話ししてまいりました。
1. 【開封済み】純米酒と本醸造酒なら常温保存ができる。但し光・温度・においの3点に注意する。
2. 【開封済み】吟醸系と生酒は必ず冷蔵保存する。保存温度で最適なのは5~8℃。
3. 【未開封】光と温度変化に注意し冷暗所もしくは冷蔵庫に保存する。
4. 手元のお酒はラベルで確認できる(ラベルの確認方法)
5. 冷蔵庫の庫内なら冷蔵室か野菜室が最適。

日本酒は飲み頃を意識して瓶詰、出荷されているということなので開栓したらできればすぐに飲みきりたい。
しかし正しい保存法を知ることでより長く、美味しく日本酒を楽しんでいただけることをお分かりいただけたのではないでしょうか。日本酒好きの皆様のお役に立てれば幸いです。

※参考文献
「お酒のはなし①・②」(独立行政法人酒類総合研究所)
「日本酒完全ガイド」(池田書房)
「日本酒が美味しいと思い始めたらまず読む本」(宝島社)
「うまい日本酒を知る、選ぶ、もっと楽しむ」(技術評論社)
「酒販店で買える 究極の日本酒」(PHP研究所)
「日本酒のペアリングがよくわかる本」(シンコーミュージックエンターテイメント)
「ゼロから始める日本酒入門」(KADOKAWA)
「日本酒の図鑑」(KADOKAWA)
「dancyu 新し日本酒の教科書」(プレジデント社)