毎年5月、6月頃に酒販店の店先で「夏酒」という言葉を目にしたことはありませんか?
日本酒といえば冬に出るフレッシュな新酒、それを熟成させたまろやかな秋のひやおろし、といったところが有名ですね。では、一体「夏酒」とはどんな日本酒なのでしょうか?
結論からいうと、実は「夏酒」には明確な定義はありません。「冷やして飲んでおいしい日本酒」というざっくりとしたものです。
「夏酒」という言葉ができたのは最近のことで、一年のうち日本酒の需要が低くなる夏に日本酒を飲んでほしい、ということからプロモーションの目的で「夏酒」と言われるようになりました。
「じゃあ夏酒って普通の日本酒なの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。夏酒には夏酒特有の楽しみ方があります!
この記事では夏においしい夏酒の楽しみ方、そしておすすめの夏酒をご紹介します。ぜひ暑い季節に夏酒を楽しんでみてください。
1.「夏酒」は暑い夏に飲んでおいしい日本酒
6月頃から店先にならぶ夏酒。日本酒は冬の新酒・秋のひやおろしなどがありますので、夏酒と聞くと何か特別な日本酒かな?と思うかもしれません。
しかし、実際のところ「夏酒」には明確な定義はありません。「冷やして飲んでおいしい日本酒」や「夏頃に出荷される日本酒」というざっくりとしたものです。
実は「夏酒」という言葉ができたのはごく最近のこと。一年のうち日本酒の需要が低くなる夏に日本酒を飲んでほしい、ということから主にプロモーションの目的で「夏酒」と言われるようになったのです。たしかに、夏といえばビアガーデンでビール!といったイメージが強い感じがします。昔は日本酒は燗か常温が主流でしたもんね。
しかしながら!最近の夏酒はすごいです。キーンと冷やしても旨味を感じられるものや、しゅわしゅわ微発砲のさわやかなものなどたくさん!私も毎年夏酒の到来を楽しみにしている一人です。普段はあまりやらないですが、オンザロックで日本酒を楽しんでいると「夏だなー」なんて感じられます。
2.夏酒の特徴と選び方のコツ
夏酒は大きくわけて3タイプに分けられます。「夏酒はどれを選べばいいのー!?」と迷っている方は参考にしてみてください。
タイプ名 | |||
特徴 | 味わいを落ち着かせるための加熱処理をしない。フレッシュな味わい。 | 製造過程で一切加水しない。アルコール度数が比較的高めで濃厚な味わい。 | 酒粕を濾過せず白濁したままの状態で瓶詰め。とろっとしたものや、微発砲のものも。 |
選び方 | 夏らしい爽やかな味わいを楽しみたい方向け | オンザロックで楽しみたい方向け | しゅわっと感を楽しみたい、栄養も取りたい方向け |
フレッシュな生酒
夏酒で一番よく見かけるのは生酒ですね。生酒といえば冬の新酒のころに出荷されるイメージがありますが、生酒は夏にこそ楽しみたくなります。それは生酒特有のフレッシュさ。みずみずしい味わいが夏に飲みたくなるんですよね。柑橘系の爽やかな味わいのものも多くて夏にぴったりです。キンキンに冷やしてワイングラスでぜひ飲んでみてください。
濃厚な原酒
本来なら日本酒は製造過程で加水するのですが、それをしない原酒。つまり濃厚な味わいのままアルコール度数も高くなります。通常アルコール度数15%のものが多いですが、原酒は18%などですね。原酒はそのまま飲んだり自分で加水して楽しだりすることもできますが、夏といったらオンザロック!
家庭の冷凍庫で作る氷は溶けやすいので、溶けにくい市販の氷を使うのがおすすめ。ロックグラスでじっくり氷を溶かしながらぜひ飲んでみてください。原酒の味わいの変化を楽しめますよ。
しゅわっとにごり酒
にごり酒は、本来なら製造過程で濾す酒粕をそのまま残した日本酒。なので栄養満点!
にごり酒の中でもトロッとしたものやしゅわっと微発泡のものなどいろいろな種類があります。中でも夏におすすめしたいのは、さわやかな微発泡のものですね。天然のスパークリング日本酒です。シャンパンのように開栓する瞬間ポンっとはじけるものもあります。キンキンに冷やして飲んだり、ビール割りも美味しいですよ!(にごり酒:ビール=1:1)
次は、それぞれのタイプごとにおすすめの夏酒を紹介します!
3.生酒タイプのおすすめ夏酒
3-1.日本酒造の巨匠が醸す無濾過の旨さ「農口尚彦研究所 夏の生酒」
日本酒造の神様と呼ばれている農口尚彦氏が、40年にわたる酒造りのデータをもとに造り上げた季節の彩りシリーズの中の1本です。
夏のテーマらしく柑橘系の爽やかな香りが第一印象。無濾過の生酒らしいフレッシュさと軽い酸味が夏のサッパリとした料理にピッタリです。
・蔵元:(株)農口尚彦研究所(石川県)公式ページはこちら→
・製品:農口尚彦研究所 夏の生酒 無濾過生酒 720ml
・価格:3,300円(税込)
・購入はこちら→
3-2.軽い口当たりでスッキリと飲める「酒屋八兵衛 八十八夜 純米生酒」
純米の生酒らしい優しい旨味と香りでほのかな酸味が、よりフレッシュさを高めています。
・蔵元:元坂酒造(株)(三重県)公式ページはこちら→
・製品:酒屋八兵衛 八十八夜 純米生酒 720ml
・価格:1,433円(税込)
・購入はこちら→
4.「原酒」タイプのおすすめ夏酒
ウイスキーのように水で割ったりロックで楽しんで飲むのがオススメな原酒タイプの夏酒というのも各酒蔵から販売されています。
こちらは氷や水を加えて飲むことを想定し、加水をせずに出荷されているアルコール度数が高めの日本酒になります。口の広いロックグラスに大きめの氷を入れて涼やかに夏の夜を楽しめます。
4-1.夏酒の定番といえばこちら「玉川 Ice Breaker 純米吟醸無濾過生原酒」
こちらの蔵の杜氏はイギリス人のフィリップ・ハーパー氏です。日本語教師として訪日し同僚の教師達との宴席で日本酒の美味しさに開眼し、日本に残り酒蔵で日本酒の勉強をはじめたという経歴の持ち主。
イギリスといえば水割りやロックが美味しいスコッチやジンといったお酒が頭に浮かびます。Ice Breakerは、氷を溶かしながら飲んで下さいといった意味合いを感じます。ぜひオンザロックで楽しみたい一つです。
・蔵元:木下酒造(有)(京都)公式ページはこちら→
・製品:玉川 Ice Breaker 純米吟醸無濾過生原酒 500ml
・価格:1,210円(税込)
・購入はこちら→
4-2.あの八海山から冷やして飲んで欲しい「八海山 特別純米 原酒」
一度は聞いたことがある有名銘柄、新潟を代表する日本酒 八海山からの夏酒です。夏酒においても飲みやすいアレンジは効いているものの、八海山ファンを裏切らない口当たりの良い軽やかな辛口はそのまま表現されています。
酒米に五百万石や山田錦ほか数種類の酒米をブレンドして醸されている特別純米。低温発酵で熟成されたふくよかな味わいに仕上がっていて、ロックで飲んで最高の日本酒です。
・蔵元:八海醸造(株)(新潟県)公式ページはこちら→
・製品:八海山 特別純米 原酒 720ml
・価格:1,694円(税込)
・購入はこちら→
4-3.断然ロックがオススメ!夏の風物詩「まんさくの花」
人気の日本酒漫画「いっぽん」の第1話に出てくる「うまからまんさく」が超有名な、日の丸醸造が醸す夏酒「まんさくの花」です。
甲子園でお馴染みの「かち割り氷」をイメージさせるかのように氷を入れて、冷たくして飲むスタイル専用とのこと。アルコール度数19度の夏限定の原酒ロック酒です。
・蔵元:日の丸醸造(株)(新潟県)公式ページはこちら→
・製品:吟醸原酒 かち割りまんさく 720ml
・価格:1,375円(税込)
・購入はこちら→
5.「にごり酒」タイプのおすすめ夏酒
5-1.醪の旨さ爆発の本格的な味わい「とおのどぶろく・どぶきゅ~る」
日本酒が生まれたままの原型をとどめているといった表現が正しいかも知れないというくらい、味わい、フレッシュさ、飲み応えの3拍子が揃っているにごり酒です。瓶の中で微妙に発酵しているためのピチピチとしたフレッシュさは驚きです。
もちろんキンキンに冷やして原酒のまま飲んでもいいですし、濃い目の味わいですからロックでも楽しめます。
・製造:とおの屋 要(岩手県) 公式ページはこちら→
・製品:とおの どぶろく生もと 720ml
・価格:3,960円(税込)
・購入はこちら→
5-2.昔ながらの生酛造りの味わい「生もとのどぶ 純米にごり 生原酒」
昔ながらの生酛造りで醸された本格的な味わいのにごり酒は、酵母が生きておりパンチの効いた味わいを楽しめます。原酒ではありますがドロッとした口当たりではなくサラッとした口当たりです。
そのまま飲んでもおいしいですし、アルコール度数は18度と高めなのでロックや水割りもオススメです。コクがしっかりとあるため、氷を入れても旨味が薄まりません。炭酸割りやビール割りもおいしいのでぜひ試してみてください!(だいたい1:1くらいで割りながら好きな割合を見つけてください)
冬場は水で好みの味に薄めて「燗」につけて飲むのもオススメです。
・蔵元:(株)久保本家酒造(奈良県)公式ページはこちら→
・製品:生もとのどぶ 純米にごり 生原酒 720ml
・価格:1,980円(税込)
・購入はこちら→
まとめ
もともと「夏酒」の定義はなく、多くの人々に楽しんでもらおうとコマーシャルしたことが「夏酒」の始まりだということでした。ただし夏だからこその日本酒の楽しみ方があります。キンキンに冷やしたりオンザロック、炭酸割りやビール割り・・・ぜひいろいろな飲み方を楽しんでみてください。
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