「日本酒が海外で人気」は本当!?事例を集めて見えたポテンシャル

「日本酒が海外で人気になっている」とニュースなどでも聞きますね。

実際、私は今カナダに住んでいますが、日本酒の人気が増していることを肌で感じています

上のメイン画像は、カナダの酒屋さんにある日本酒コーナーです。ローカルな酒屋さんでもほとんど日本酒コーナーがありますし、多くの日本食レストランに日本酒が置いてあります。20-30種類の銘柄を揃えているところもよく見かけます。地元・宮城の伯楽星を見つけた時は興奮しましたね(笑)(メイン画像左の方)

以前は「ホットサケ」といって普通酒を燗にしたものがイコール日本酒、という認識の人も多かったですが、、、今では冷やした吟醸酒なども広まってきました。

もっと世界的に見ると日本酒人気はどうなのか?今回、事例を片っ端から探してみました。

事例を集めてみて感じたのは、日本酒関連のニュースが思った以上に多い!ということです。それぞれアメリカでは日本酒のサブスクが人気だったり、現地料理とのペアリングイベントが各地で開催されていたり。ただし、少し厳しいことをいうと、一般層にはまだまだ広まっていなさそうにも見えます。日本酒が置いてあるのは都市に限られていたり、「海外に住んでいる日本酒好き」というコアなターゲット向けだったり。一般消費者まで広まっていくのはまだこれから伸び代があるとも言えますね!

北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中東のエリアでまとめてみました。

目次

1.日本酒の海外事例|北米

特にアメリカは日本酒輸出量ダントツNo.1です。全体の約35%を占めています。最近では獺祭がニューヨークに酒蔵を建てるということが話題になりましたね。

アメリカの主要都市であれば、日本食レストランでなくても”SAKE”がメニューとして載るようになりました。サケマニアと言われる日本酒の知識を持った人が増えてきましたが、一般的にはまだこれからというところです。酒蔵の友人も、「アメリカの日本酒イベントでは、水がどうとか、かなり突っ込んだ質問がくる」と言ってました。

あとはカナダにいる私の感覚値ですが、北米ではフルーティーな日本酒の人気が徐々に高まってきていると思います。お店で見る大吟醸酒も増えましたし、ゆずの日本酒リキュールなどもよく見ます。これまでのホットサケのイメージが少しずつ変わってきてるなと思います。

少し感じるのは、日本酒はもっとワイングラスなどで提供しても良さそうということです。おちょこってショットグラスに似ているので、ショットのイメージがあるんですよね。一気飲みしなきゃいけない、みたいに引いている人も。ワイングラスであれば香りも立ちますし、おしゃれ感もあって、もっとフルーティーな日本酒が広がるんじゃないかなと思います。

では北米の日本酒に関する事例を紹介します。

国外最大の日本酒イベント「ジョイ・オブ・サケ」|アメリカ


The joy of sake 公式ページより

世界最大級の日本酒イベント「ジョイ・オブ・サケ」は有名ですね。アメリカのニューヨークやハワイなどで毎年開催されています。(日本やロンドンでも)年間3,500人以上が来場するよう。

500ブランド近くの酒蔵が一挙に集まって、参加者は食事とともに日本酒を試飲できます。参加者はサケマニアが多い印象ですが、食通や日本酒初心者もいます。
国外最大級の日本酒イベントですから、アメリカは大きい市場なんだということがわかります。

ニューヨークでふくしま酒|アメリカ

ニューヨークで”ふくしま酒”。金賞受賞数6年連続日本一、福島県の日本酒が熱い。(dancyu)

マンハッタンの高級ワインショップ「ユニオン・スクエア・ワインズ・アンド・スピリッツ」に、福島のお酒専用コーナーが開設されたよう。

しかも売れ行きはすばらしいらしく、試飲イベントなども企画して着実にファンを増やしているとか。

試飲イベント中は、「ワオ!」「アメージング!」という声をよく聞きますね。USQでは日本酒セクションを2001年から徐々に拡大してきたわけですが、ここアメリカで日本酒が成長する余地はまだまだあると思います。このふくしま酒プロモーションの成功からも、アメリカでの“Nihonshu”の未来は明るいと感じています。

日本酒のサブスクの登場|アメリカ

日本酒サブスクU.S. FrontLine「Tippsy Sake」より

実はアメリカにも日本酒のサブスクリプションサービスがあります。
約280mlの瓶が6本届いて価格が$99、と高めなのですが、登録者がどんどん増えているよう。

意外にも、サケマニアではなく「日本酒に少し興味がある人」や「facebookで見かけて良さそうだと思った人」が多く利用しているんですって。

日本食レストランに豊富な日本酒リスト|カナダ

日本酒メニュー

カナダのバンクーバーには日本食レストランが豊富にあるのですが、日本酒を豊富に取り揃えるお店がかなり増えてきました。

十四代や而今、飛露喜、黒龍など日本でも中々お目にかかれない銘柄もあります。価格は日本と比べて割高ですが・・・でもやっぱりおいしいです。

冒頭に言ったように、ローカルな酒屋さんにも日本酒が揃ってます。ただ、たまに2年前製造の生酒が常温で置いてあって、「えーーちゃんと品質管理しっかりして><」と思うことがあります。こういった日本酒を飲む際のルールとかはまだまだ浸透していないので、現地の人に理解してもらう必要があります。

2.日本酒の海外事例|ヨーロッパ

片っ端から事例を集めましたが、印象としてはヨーロッパで一度認められた日本酒はその後の飛躍がすごい!と感じました。

にごり酒の販売で日本酒が人気|スウェーデン

金紋秋田酒造にごり酒の記事金紋秋田酒造Facebook記事より

2015年 金紋秋田酒造のにごり酒がスウェーデン国内で販売されることになりました。実はスウェーデン国内で販売するためには、かなり厳しい国内評価がありその基準に達しないといけません。

また、一度合格しても定期的に品質などの審査があり、一定基準を満たしていないものは販売を継続は不可。なので酒蔵としては品質管理に非常に気を使うことになります。

しかし、逆にいうと高水準の規定に合格している最高品質の日本酒ということで、注目度は一気に高まる日本酒にもなります。初回導入171店舗、価格はハイクラス、追加発注決定だそう。すごい。

「Kura Master」で優秀酒はパリで最高級のホテルで採用される|フランス

Kura Master 大会審査風景Kura Master」公式ページより

Kura Master」は、フランスのパリで開催される日本酒のコンクールです。審査員はフランスの100名のソムリエたち。2019年には720銘柄(271蔵)が参加するというかなりのスケールの大会です。

・スパークリング 部門
・サケ スパークリング ソフト部門
・純米酒部門
・純米大吟醸部門

の4部門で競われます。審査員はフランス一流ホテルのトップソムリエ、ミシュランで星を獲得しているレストランで活躍するソムリエ、ワインジャーナリストという面々。

審査員から評価された日本酒はパリの最高級ホテル「ホテル・ド・クリヨン」への採用が決定しているという魅力的な大会だということも発表されています。

ミラノ酒チャレンジ|イタリア

ミラノ酒チャレンジ審査風景「ミラノ酒チャレンジ」公式ページより

イタリアでは日本酒ベースのカクテルやイタリアンレストランでの日本酒提供など、急速に日本酒が取り入れられています。

ミラノ酒チャレンジは大会の歴史としては新しい大会。

審査後には試飲会が行なわれ飲食店・バー経営者、販売業関係者、メディア関係者、ジャーナリスト、そして一般の人も含め招待し約700名が参加し日本酒を味わうという盛況ぶりです。

「出羽桜 純米大吟醸 一路」は2度世界一になった日本酒|イギリス

IWC授賞式での画像出羽桜酒造(株)公式ページより

ロンドンで開催される世界的なワインのコンペであるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)では、2007年より日本酒部門が設けられて数多くの酒蔵が参加しています。

世界40ヶ国13000種類のワインエントリーがあり14日間かけて行なわれるという大きな大会、そんなIWCのSAKE部門で2冠を制覇しているのが山形県にあるが出羽桜酒蔵です。

この「出羽桜 純米」は香り高く、キレがあるけれど辛すぎず円やかな甘みがたつ日本。ワインの代わりに食事と似合うそんなイメージが高く評価されているのではないでしょうか。2011年からは上位入賞酒は、在外公館用の日本酒として採用されています。

45カ国から5千人の日本酒好きが集まる「日本酒サロン Salon du Saké」|パリ

Salon du Sakeイベント風景Salon du Sake公式ページより 

フランス パリで開催される日本酒イベント「Salon du Sake」は、45か国から約5千人の人が集まるという大規模イベントです。

そしてこのイベントの主催者のであるシルヴァン・ユエ氏 は、輸入・販売には一切携わらない、ただ日本酒が好きで日本酒を世界に広めたいという思いから開催を始めた「日本酒啓蒙家」です。

日本にもたびたび来日をして日本の酒蔵とヨーロッパ関係者との橋渡しをする活動に力を入れています。2013年から始まった「Salon du Sake」 も今ではヨーロッパ最大の酒イベントとなっています。

醸造所を建設「WAKAZE ORBIA GAIA」|パリ

ORBIA LUNA 月「ORBIA LUNA 月」WAKAZE ORBIA GAIAより

日本の酒蔵が日本の酒を世界に輸出するという流れが増加しています。一方で、この蔵は同じ日本酒を現地で醸して販売するという方法で広めています。

造っている日本酒は、洋食のボリューム感に似合う日本酒。

ワインの樽で熟成する「熟成酒」、ワイン好きなが以外の人たちにもしっくりとなじむ芳醇な香りや風味などを考えながら造られています。

「インターナショナルワインチャレンジ」2019年ではワイン樽で熟成した「ORBIA LUNA 月」でシルバーメダルを受賞するなど今乗りに乗っている若手酒蔵です。  

3.日本酒の海外事例|アジア

アジアではフルーティーな日本酒が最近注目されていると同時に、現地のスパイスが効いた料理などとのペアリングが広まってきています。

魚介類×日本酒が食中酒として人気|シンガポール

シーフード料理の画像

シンガポールも日本食レストランがかなり多い国ですね。最近では、日本食以外の現地料理にも日本酒が合う!というプロモーションが広まってきています。

日本の誇り「日本酒」が、美食大国・シンガポールに挑む!JFOODO統合型マーケティング・コミュニケーション事例という記事によると、輸入による日本酒は高いため、美食への関心が強い富裕層をターゲティングしているんだそう。

開催した日本酒イベント「SEAFOOD LOVES SAKE」では、レストランとコラボして日本酒ペアリングメニューを2ヶ月間提供。日本食レストランをあえて外し、フレンチ、スペイン料理、インド料理などのジャンルと組み合わせました。

シンガポールで人気の「ブラックペッパークラブ」と日本酒が合うとのこと。
「日本酒は日本食を食べる時だけだと思ってた!」という人たちの印象を変えるきっかけになったようです。

日本酒×創作インド料理で出羽桜がコラボ|タイ

レストラン「Gaggan」での出羽桜イベントタイの経済情報誌「ArayZ」よりレストラン「Gaggan」での出羽桜

タイのバンコクで有名なレストラン「Gaggan」に出羽桜がコラボしたという記事です。インド料理と日本酒をコラボするという意外な組み合わせにチャレンジしています。

アルコール度数は低いけれど飲み応えのある同蔵の瓶内二次発酵で醸すスパークリング日本酒「咲」、IWCにも参加している、トロリとした口当たりで甘味のある日本酒の純米大吟醸「一路」等を合せています。

カレーなどの辛いインド料理と日本酒は合わないと考えがちですがそうでもなく、自身の経験だと山廃仕込みなどの少し強い酸味が効いた日本酒などは意外とシックリとあってしまいます。

インド料理などのスパイスの効いた料理と日本酒のペアリングはこれから増えていきそうです。

口コミの威力でブームになった千代の亀酒造 凍結酒『しずく酒』|中国

千代の亀酒造 凍結酒『しずく酒』オンライン情報誌「BEST TiMES」より

中国では普通酒が一般的に流通していますが、生酒はまだまだ広がっていません。火入れしていない生の味わいを知ったらもっと日本酒人気が出るはず。

そんなチャレンジを成功させたのが愛媛県の千代の亀酒造の凍結酒『しずく酒』です。

生酒は扱いが難しく味が変わりやすいという点で浸透しづらく扱う店も少なくないです。しかし冷凍技術を用いて比較的保存状態を確保できる形にすることで本来の味を楽しめるようになったといいます。

また、中国はSNSでの口コミの力が爆発的に強く凍結酒の味わいのおいしさが女子のインスタで瞬く間に広がり人気となったといいます。

味わいの高級感と女性たちがインスタで「映える」というインスタ映えを考慮することで火入れ以外の生酒の市場が見えてくる事例です。

食用米で醸すフルーティーな日本酒|台湾

日本酒「ここあらたた新」画像上海WEB情報誌「楽吃購!日本」より

台湾で日本酒を造り販売している一人の日本人がいます。この日本酒を醸しているのは台湾に在住する日本人、吉田浩一氏です。

台湾の良く文化を知り尽くしている彼がつくる日本酒は、原料になる米は、酒米ではなく食用米を使い、901酵母で香り高い日本酒を造っています。

実は「台湾料理」は日本料理と似ているところもあり、中華料理と比較すると淡白で細やかな味付けの料理が多いのが特徴です。台湾料理と日本酒はペアリングのイメージがしやすいといえそうです。

4.日本酒の海外事例|オセアニア

Sydney Sake Matsuriでは、熱燗の振る舞いも・・・人気は吟醸・大吟醸|オーストラリア

Sydney Sake Matsuri会場風景オーストラリアの日本酒情報誌「SAKE-NEWS」より

オーストラリアで最大級の日本酒イベント「Sydney Sake Matsuri」

オーストラリアの日本酒輸入業者と日本の酒蔵そしてオーストラリアの高級日本レストラン「藤崎」とのコラボレーションで開催。

近年の主流は吟醸酒、大吟醸酒やはり香り高く飲みやすい日本酒とのこと。ワイン好きのオーストラリアの人々にも受け入れられるのでしょう。

熱燗の画像「Sydney Sake Matsuri」でふるまわれた熱燗

会場では日本酒の多様な飲み方も披露され、同じ日本酒を温めて飲む「熱燗」も人気が高かったようです。

「菊泉ひとすじ」が超富裕層限定の会員制クラブで人気|オーストラリア

滝沢酒造の「菊泉ひとすじ」滝沢酒造の「菊泉ひとすじ」 

オーストラリアの超富裕層限定の会員制クラブで人気なのが「Kura Master」でゴールドメダルを受賞した滝沢酒造の「菊泉ひとすじ」です。

シャンパン製法を応用した瓶内二次発酵で醸すスパークリング純米酒はスパークリングワインの感覚で飲まれているようです。

5.日本酒の海外事例|中東

日本酒のロマネ・コンティ「夢雀」1本60万円で販売|ドバイ

日本酒「夢雀」

堀江酒場「夢雀」高島屋オンライン より 

日本では、96,800円の山口県堀江酒場の日本酒「夢雀」が世界の金持ちが集う中東ドバイで60万の値を付け売れています。

中東は、イスラム教国で一般にはアルコール摂取は自由にできませんが、中東に旅行に訪れるセレブ達にターゲット絞りホテルでの販売を狙って成功した事例です。

世界のアルコールの中で日本酒の位置づけは、「安価な酒」というイメージを一新したかったと数量限定で生産しました。そして見事に「日本酒のロマネ・コンティ」を確立したのです。

日本の名水百選「清流錦川」の湧水で仕込み、酒米は伊勢神宮由来の「イセヒカリ」を使用、何といっても光るのが「精米歩合を1割8分」という丹念な磨き上げ。

開栓と同時に香る優美な甘い香り、ぎりぎりまで磨き上げた日本酒はデザートワインのような甘味でかつ、しっかりとした酸味も感じられることから世界のセレブリティー達からは華やかなお酒という印象で人気のようです。

6.「萬歳楽」小堀酒造店による海外向け日本酒

「小堀酒造店日本酒のニーズ」レポート(株)小堀酒酒蔵店 研究レポートより

「萬歳楽」で有名な石川県の(株)小堀酒造店によるレポートです。独自の視点で海外向けの日本酒にはどのようなものが適していて、国ごとに望まれる日本酒に違いがあるというような細かい分析結果をレポートとして発表しています。

各エリアでどんな日本酒が人気かという内容を少しまとめると、

アメリカ山廃純米酒コクのあるパンチの効いた山廃が人気。
中国普通酒・吟醸酒低価格帯の普通酒が人気だが、
吟醸酒の香り高いお酒も評価が高い。
その他の地域日本食の人気は高まってきているが、
日本酒の認知度はアメリカや中国よりは低い。
これからに期待。

アメリカでは山廃も人気なんですね。たしかに、山廃はしっかり味があって飲みごたえあるし、料理に合わせやすい。

詳しく事例が書いてあるのでぜひ読んでみてください!

まとめ

海外での日本酒に関する事例を集めてみました。
思った以上に事例が多くて驚きました!
日本酒イベントは多いですし、着実に日本酒が浸透してきているように見えます。

国によって食べる料理が違うので、その料理とどう合わせて提案するかというのが鍵になりそうです。

また、現地で日本酒を買うのは割高なので、その価格の妥当性をどう提案していくかというのも課題ですね。

あとは日本語のラベルのまま輸出した場合だと、現地の人は最初から興味は持ちにくい。英語のラベルにするか、現地でしっかり説明してくれる人を確保できるのかというのも大事な視点になりそうです。

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