日本酒の製造過程で作られる「酒粕(さけかす)」。
実はとっても体にいいんです!多くのアミノ酸やビタミンが揃っていて、健康効果や美肌効果が期待されています。私はこのことを知ってから、酒粕を使った料理や酒粕パックなど実践しているんですが効果を実感しています^^
そこでこの記事では「酒粕」に秘められた効能についてお話ししていきます!
1.栄養満点な酒粕!その驚くべき効能5つ
酒粕には多くのアミノ酸そしてビタミンB群が豊富に含まれています。
酒粕の効能については色々研究されていて、
・糖尿病を予防
・ガンを予防、肝臓病を予防
・心臓病を予防
・保湿効果
・美白効果
などがあります。それぞれ紹介していきます。
1-1.糖尿病を防ぐ
日本でも成人病の一つとして大きな問題となっている糖尿病。インシュリンの欠乏によって引き起こされるものですね。
近年、愛媛大学医学部の奥田教授らにより、酒粕の中に脂肪の分解だけを抑制するインシュリンと同様の物質が存在することを発見されました。 (公益財団法人日本醸造協会 協会誌より)
「糖尿病」は日本酒が原因である、と言われていましたが、現代では酒粕を含む日本酒は糖尿病の原因ではなく、反対に糖尿病を予防するのではないかと言われるようになりました。
1-2.ガン予防・肝臓病予防
国立がん研究センターの調べによるとガンの原因の70~80%は環境によるもので、その中でも食品で35%、タバコが30%だという数字が出ています。 飲酒に関しても、ガンの原因になるということが書かれています。
しかし、その中でも注目は日本酒に関してです。 国立がんセンターの平山教授らによる「発ガン」に関しての17年間の追跡調査の結果では、毎日「日本酒」 を飲む人は、全く飲まない人に比べあらゆるガンに対して患う危険性が少ないという報告を出しています。 (公益財団法人日本醸造協会 協会誌より)
また、2018年に月桂冠(株)の堤浩子氏が藤田保健衛生大学院保健研究科との共同研究において酒粕が非アルコール性脂肪肝疾患に有効、酒粕の中には抗酸化作用があるという研究を発表されています。(日本農芸化学会受賞講演要旨集P52より)
他のアルコールではなく、日本酒や酒粕に関してガンに対して 良い影響を与えるということが色々な研究機関から報告が上がっているのです。
1-3.心臓病の予防
酒粕にはコレステロール値を下げ、血管を詰まりにくくするという効能があります。
ガンに続いて死亡率の高い病気である心筋梗塞などの4割、また、脳血疾患の6割は 血栓が直接的な原因だといわれています。 ここに注目すべき研究結果があります。
倉敷芸術大学の須見洋行教授の研究結果によると、100名に日本酒を1~2合飲んでもらい血液を採取、血栓溶解活性を測定したところなんと1.7倍にも活性が上昇していることを確認したという報告されています。 つまり日本酒には血管を詰まりにくくする作用があるということわかったのです。また、コレステロールを下げる働きがあるも研究で発見されました。
日本酒にこんなに効果があるということは、日本酒の栄養素をぎゅっとした酒粕にも効果が期待されますね!
1-4.酒粕にはうれしい保湿効果も!
酒粕には、美容効果の研究もいろいろな機関で行われています。(日本醸造協会誌:清酒の健康と美容効果その3より)
肌の保湿において化粧品などに含まれている必要な成分としてはグリセロールやアミノ酸などが有名です。日本酒には他のお酒と比較してこれらの保湿成分が多く入っていることがわかっています。
日本では古くから「酒風呂」として日本酒をお風呂の中に入れ血行を促し肌がしっとりとするということで 好まれて使用していました。
下の表は市販の入浴剤と酒風呂とで5分間入浴したときの保温効果と保湿効果をグラフにしたものです。
肌の保湿成分を比べると最初は市販の入浴剤の方が保湿効果はあるのですが、5分、10分と入っていくと 市販の入浴剤よりも酒風呂の方が保湿効果が高くなっているのがわかります。
保温効果に至っては、市販の入浴剤よりも酒風呂の方が全ての値が高くなっていることがお分かりいただけるかと思います。
1-5.美白効果もあり!
肌にシミやソバカスなどの悩みをつくるのがメラニンと言われるものです。 このメラニンの働きを抑制することで有名なのがアルブチンというものです。女性で美白にこだわりがある方ならこの成分が含まれている化粧品をお使いかもしれません。
実は日本酒や酒粕の中にもこのアルブチンと同様の働きをするリノール酸と呼ばれる美白効果のある物質がたくさん含まれていることがわかっています。
昔からお酒や麹を扱う杜氏の手は白くつややかだと言われてきましたが、そのはっきりとした根拠がありませんでした。しかし、この研究によりリノール酸による美白効果が明らかになり、日本酒は美白効果があるということが科学的に証明されたのです。
2.食べても肌につけてもOK!酒粕の活用法
2-1.飲む点滴「甘酒」でコンディションを整える!
まず簡単で試しやすいのは甘酒ですね。酒粕を溶かせばできちゃいます。
酒粕も種類があり最もたくさん販売されているものは「板粕」と呼ばれる板状になっているものです。板状の酒粕が小さくなったもの(割れている状態)を「バラ粕」と呼びます。板状かバラ状の酒粕が手に入りやすいのでそちらでつくります。
【作り方】参考:kurashiru「おうちで簡単 酒粕で甘酒の作り方」
材料:酒粕(30グラム)・砂糖(大1)・お湯(200ml) |
①鍋にカップ1杯(200ml)のお湯を沸かします。 ②沸騰する間に酒粕を少し小さめに切っておきます。 ③沸騰したら酒粕を入れ火を弱火にし酒粕を溶かす。 ④酒粕が解けたら火を強めて砂糖を加える |
夏は氷を入れて冷やして飲んでもよく夏バテ防止になります。冬は生姜を加えて より体を芯からあたためると冷え防止と血行促進になります。ぜひ試してみてください。
2-2.酒粕成分で料理に使うと味わいにコクが出る「粕汁」
酒粕のアミノ酸や糖分によって味わいにコクが出ますので、口当たりがまろやかになり体も温め血流を良くしてくれます。特に寒い冬には一品加えるだけでぐっと温まります。
【作り方】参考:kurashiru「あったまる!鮭と大根の酒粕汁」
材料 サケの切り身(2枚)・大根(1/4本) ・ショウガ(1片)・長ネギ(1/2本) ・水(400ml)・和風だし顆粒(小1) ・酒粕(50グラム)・味噌(大1) ・無調整豆乳(150ml) |
①大根は5ミリのイチョウ切り、ショウガは千切り。 ②長ネギの白い部分は1cm程度の幅できり、緑の葉の部分はスライスしておきます。 ③サケの切り身は一口大に切ります。 ④鍋に①②の白い部分③と水を加えて煮立てます。中火で10分程度、煮込みます。 ⑤大根が煮えてきたら火を止め酒粕と味噌を入れてよく溶かします。 ⑥最後に豆乳とネギの青い部分を加えて再び火にかけ、沸騰直前で火を止めたら出来上がりです。 |
2-3.適度なとろみがつくので和食以外の洋食にも可!「シチュー」「カレー」
シチューやカレーまた、みそ汁などに入れてもよく、この場合は途中で少しだけ加えるとコクが出て美味しいです。2人分で大さじ1程度が目安です。
手間でなければ板状の酒粕は少し硬いので一晩水につけて柔らかくしたあと、ミキサーやフードプロセッサーでクリーム状にするか、少し水を振ってレンジでチンしてから使用すると使いやすくなります。
2-4.食材の生気保存に向いている「粕漬け」
酒粕の成分が食材の臭みをとる、また素材を柔らかくしてくれるので肉や魚の粕漬けなどに向いています。酒粕の成分で肉や魚も日持ちするので保存食としてもおすすめです。
魚を粕漬けにするときには材料に塩を少し振り脱水させてから、身の3倍程度のクリーム状にした酒粕に漬け込むのがポイントです。食べごろは、漬け込んでから2~3日目くらいです。
面白いところでは、豆腐も脱水させて漬け込んでも良いですし、チーズもそのまま酒粕に漬け込んでも美味しく出来上がります。ぜひ挑戦してみてください。
2-5.細胞活性&抗酸化でアンチエイジング「酒粕パック」
指先の荒れが気になる冬には手に付けるだけですべすべになる「酒粕パック」は、ぜひ定期的にこまめにお肌のお手入れに取り入れてみてください。使用する酒粕は「純米酒」からできた酒粕がおすすめです。あみのさんやビタミン類が豊富に含まれているからです。
酒粕を大さじ2杯程度をお湯に溶いて、顔に塗るだけです。時間は3~5分程度のせておけば十分です。匂いが気になるという方もいらっしゃるかもしれませんが水で良く洗い流しさえすればOKです。
こちらの市販のマスクも使いやすくておすすめです!
2-6.手軽に入浴でお肌も体もスベスベ「酒粕風呂」
日本酒風呂と同じく、酒粕をいれたお風呂もいいですよ!血行促進、美肌ですべすべ、保湿効果もあり、体を芯から温めて保温効果も持続するのでおススメです。
ネットに酒粕150グラム程度を入れ、口を縛って湯船に入れるだけです。湯船につかりながらネットをお湯でもみこむことで酒粕の成分がお湯により溶け出し高い効果が得られるでしょう。ネットは台所の三角コーナーのネットや、伝線してしまったストッキングなど自宅にあるもので活用できます。
2-7.酒粕の入った「どぶろく」を飲む
日本酒の中でも酒粕を漉さずにそのまま入ったお酒があります。それが「どぶろく」です。
どぶろくには酒粕がそのまま入っていますので飲むだけで酒粕の栄養成分が全てそのまま体内に取り込めます。手軽で美味しく始められますのでぜひ、試してみてください。
どぶろくについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
3.おいしい酒粕を買おう!
酒粕は色々な種類がありますが、特に「大吟醸」の酒粕は香りが高く美味しいものが多いです!もちろん好みがあるので実際に試してみてください。
鳳陽 大吟醸粕(楽天ショッピングサイト)
写真は、宮城県最古の酒蔵にある内ヶ崎酒造の「鳳陽」大吟醸の酒粕です。大吟醸ならではの香り高い酒粕は粕漬けにして使用しても食材の味をワンランクUPさせてくれます。こちらはかたまり状ではなくパック包装!そのまま料理に使えて便利なので愛用しています。
以前、インスタの方にもあげたのですが実際にこの酒粕を使用して「銀ダラの粕漬け」や「鮭の粕漬け」、「鶏もも肉の粕漬け」をつくってみましたが最高でした!ご飯のおかずにはもちろん、日本酒のつまみにしてもこれまた最高でした。ぜひ試してみてください!
まとめ
ここまで酒粕とは何なのか、酒粕にはどのような効果が期待できるのか、また、酒粕を利用したおすすめのレシピなどをご紹介してきました。
「カス」と一言で済ましてしまうには、もったいないくらいのたくさんの栄養成分、美容成分が含まれていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
明日からは酒粕はカスにあらず、酒粕で病気予防&アンチエイジングを始めてみてください。
【参考文献】
日本醸造協会協会誌「清酒の健康と美容効果その2」「清酒の健康と美容効果その3」
日本農芸化学会受賞講演要旨集
日本酒学講師の会監修「日本酒講座」テキスト
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