日本酒の「火入れ」とは何でしょう?
その名の通り、日本酒に火を入れて加熱することをいいます。
火入れの存在は知っていても、一体何のために火入れをするのか知らない方は多いのではないでしょうか。
実は、日本酒に火入れをしっかりするものと全くしないものも存在します。その違いによってもちろん味わいも変化します。「火入れ」について知ると、もっと日本酒選びが楽しくなりますよ(^^)
そこでこの記事では日本酒の火入れに関してお話しします!イラストや写真などを混じえながらできるだけわかりやすく解説しますのでぜひ参考にしてください。
目次
1.日本酒の火入れとは?
日本酒「南部美人」蔵元HPより
火入れとは、日本酒を加熱処理することです。
一般的には日本酒を濾過した後に1度、さらに瓶詰をして出荷する前に1回の計2回行います。
火入れの方法は、お湯で30分程度湯煎して日本酒の温度を65℃前後にします。火入れの方法によっても日本酒の味わいに影響があるため、酒蔵によって湯煎の温度を70℃に上げたり急冷却の機械を使ったり様々です。この火入れの方法にかなりこだわりを持つ酒蔵もあります。
2.火入れは日本酒の「品質保持」のため
日本酒の火入れは、殺菌と酒質を安定させるために行われます。
<火入れをする目的>
・微生物の殺菌のため
・味わいを保つため
濾過してもお酒の中には酒かす(酵母や酵素、たんぱく質などの成分)が多少含まれています。この成分によって酒質が変わってしまう可能性があります。それを防ぐために行われるのです。
「殺菌」と聞くと、悪い菌が繁殖して酒が悪くなるように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。味が変化しやすくなるのでそれを抑えるために行います。
3.火入れしない「生酒」も知ろう!
逆に、一切火入れ(加熱処理)をしない日本酒もあります。それを「生酒(なまざけ)」といいます。できたまんまのフレッシュな味わいが特徴です。
「火入れ」の話になると必ずと言っていいほど生酒も同時に話題に出るので、生酒もぜひ覚えておきましょう!
実は、生酒の中でも3種類に分けられるのをご存知ですか?
(1)生酒(酒蔵によって本生(ほんなま)、生生(なまなま)ともいう)
(2)生詰
(3)生貯蔵酒
3-1.「生酒」「生詰」「生貯蔵酒」の違い
「生酒」のほかに「生詰」と「生貯蔵酒」という種類があります。
この違いは、
・火入れを行うか行わないか
・どのタイミングで火入れを行うか
で判断できます。
わかりやすく絵にしてみたのが下図になります。
・生酒・・・一切火入れを行わない。
・生貯蔵酒・・・一度目の火入れは行わず出荷前の瓶詰めする前に1回だけ火入れする。できるだけ生酒の風味を残したい場合に使われる手法。
・生詰・・・一度目の火入れを行うが出荷前の瓶詰めの時には火入れしない。出荷まで熟成させた状態で置いておきたい日本酒に主に使われる手法。
3-2.【注意点】生酒は要冷蔵!賞味期限は短い!
生酒は加熱処理をしていないので劣化が早いです。
そのため、できるだけ劣化を防ぐために以下の2点に注意してください。
(1)開封前から冷蔵庫で保管しよう ・冷蔵庫に入りきらない場合は水のペットボトルなどに移し替える
・生詰、生貯蔵であれば冷暗所でもOK
(2)できるだけ6ヶ月以内に飲み切ろう ・開栓後は7~10日程度で飲み切るのがおすすめ
どんなにいい日本酒でも開栓と同時に劣化が始まります。おいしく飲むために保管方法に気をつけましょう!
4.火入れかどうか見分ける方法
火入れしているお酒か、生酒かを見分けるのにはいくつか目安があります。
その一つがラベルをよく見てみることです。
日本酒のラベルには、お酒の情報が書かれています。すべて書かれている訳ではありませんが、ラベルは日本酒の紹介文のような役割を果たしています。ラベルに「生」の文字が書かれていればほとんどの場合生酒です。
例えば、こちらの日本酒は、「生酒」だということが一目でわかるようシールが貼られています。わかりやすいですね。
また、こちらの写真のようにラベルに「生」という字が書かれていたりすると一発で生酒ということがわかります。
裏ラベルを見てもわかる場合があります。こちらの写真のように「要冷蔵」だったり「冷蔵庫に保管」だったり、このように保存方法を指定している日本酒などもあります。
ただし、すべての生酒にこのように書かれているとは限りません。もし迷うようなら酒販店の店員さんに確認するのが失敗がなく良い方法だと思います。
まとめ
火入れは、濾過した後の日本酒の中に残る微生物により酒質の変化を防ぐため、殺菌のために行われていました。日本酒の味わいを安定させるために必要な作業なのです。
生酒と火入れの日本酒とを飲み比べてみるのも味わいの違いがわかり、楽しいですよ!
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