たまに日本酒のラベルに見かける「BY」という表示。
29BY、30BY…とあるので作られた元号を意味するのでは?・・・と思った方、正解です!
ただし、実はもうちょっと深い意味があります。
この記事でBYの意味をわかりやすく説明していきます!ぜひ参考にして下さい。
1.「BY」とは日本酒が作られた年度のこと
BYはBrewing Yearの略で、醸造年度(酒造年度とも言います)という意味です。
つまり日本酒が作られた年度ですね。
じゃあ、29BYは平成29年に作られた日本酒?
と思いきや、若干違います。
実は「日本酒における年度」と「一般的な年度」は時期がずれています。
日本で「年度」といえば4月1日~翌年3月31日までのことをいいますね。
しかし酒造業界では、毎年7月1日~翌年6月30日を一年の区切りとしています。つまり厳密に言うと、29BYは平成29年7月1日〜平成30年6月30日に作られたお酒を指すのです。
なぜ年度がずれているかと言うと、お米の収穫と酒造りの時期のためです。
日本酒はほとんどの場合、新米の収穫されたその年の冬から造り始め翌年の春まで造ります。一般的な4月〜翌3月の年度だと製造途中で年度が変わり便宜上良くないんですね。(税務など)
2. BY表記にルールはある?
BY表記は必須ではなく、任意表記です。そのため記入の仕方にも決まりはありません。
和暦で書かれている日本酒もあれば、西暦で書かれている日本酒もあり、書き方はその酒蔵により様々です。
3. BY表記する目的ってなに?
「BY表記」は任意なのに、あえて表記するのはなぜでしょう?
実はこの「BY表記」が増えてきたのは最近のことです。
増えてきた理由の一つは、「熟成酒」などビンテージ感を出すためというのがあります。
元々日本酒はワインなどと違って、熟成させることは少なく製造から1年以内には飲みきるのが普通でした。しかし、保管技術も向上したこともあって、日本酒を熟成させることが増えてきました。それをアピールするためにBY表記が役立ちます。
また逆に言うと、BY表記を確認する事でその日本酒の新鮮度というものもわかるようになります。そのため、「フレッシュさ」を知らせる要素として取り入れている酒蔵もあります。
4.間違えやすい「製造年月」との違い
BY(酒造年度)とよく間違いやすいのが「製造年月」です。「酒造年度」と「製造年月」は違います。
「酒蔵年度」→使われている酒米の収穫年度
「製造年月」→日本酒が瓶詰めされた日付
製造年月は、日本酒を「瓶詰めした日」や「出荷した日」を記入します。
上の写真の場合だと、製造年月(瓶詰めされた日)は2019年の6月ということがわかります。BY表記はされていませんが、酒造年度はおそらく2018年(平成30年)「30BY」だと想像できます。
5.新年号「令和」でBY表記はどう変わる?
平成31年は改元が改訂され「令和」になりました。それまでのBY表記を見てみると、「19BY」(平成19年度)「27BY」(平成27年度)というように和暦で記入されていることがほとんどでした。
年の途中から新年号に代わった「令和」では、「2019BY」とするところが多いようです。
本来であれば、令和元年7月1日~令和2年6月30日の表記は令和1年度になりますから「1BY」となります。
しかし市場では「古酒」の人気が根強く平成元年つまり「平成1BY」の長期熟成酒が販売されていたりするようです。このようなことから消費者の混乱を招かないように和暦ではなく西暦で「BY表記」をする酒蔵が多いようです。
まとめ
①日本酒のBY表記とは、日本酒における年度を表すもので「酒造年度」のこと。
②「酒造年度」とは酒米が収穫され、新酒造りが始まる冬から翌年にかけて造られた日本酒にその年の「冬の年号」を表記すること。
③間違いやすい「製造年月」とは、日本酒を瓶詰めした日付のことで、BY表記の「酒造年度」とは異なること。
④「BY表記」を行なう目的は消費者に「ヴィンテージ性」を知らせたり、反対にその日本酒の「フレッシュ性」を知らせたりするためのもの。
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