知っておきたい「精米歩合」日本酒の味わいが大きく変わるって本当?

米

お米を削る割合である「精米歩合」は、日本酒の味を大きく変える要素の1つです。

酒米といわれる米の種類、仕込み水が軟水か硬水化の違い、また使用される酵母の違いなど様々な条件があるのですが一番大きな違いが出るといわれているのが精米歩合なのです。

日本酒を飲んだときに軽やかで口当たりが良いとか、お米の味がしっかりとしていて旨みがあるなどという表現をよくします。これにどう精米歩合が関わってくるのか、この記事で解説していきます。

最後まで読んでいただければ、精米歩合とは何なのか、精米歩合によって日本酒の味はどう変わるのかということがわかるはずです。ぜひ参考にしてください。

1. 日本酒の精米歩合とは?

精米歩合

精米歩合とは、簡単に言うと、原料であるお米をどれだけ削ったか割合を示したものです。

実は、お米を削れば削るほど雑味が少なくなり香り高いお酒になります。米の表面にはタンパク質や脂質などがあるのですが、これらは日本酒を造る際に雑味となり澄んだクリアな味わいを邪魔する成分なのです。

玄米の状態を100%として精米して残った部分の比率で精米歩合を表します。

例えば写真にある「精米歩合55%」は、お米を55%になるまで削った(45%表層を削りとった)ということです。

米

2. 精米歩合の数値によってお酒の呼び名が変わる

精米歩合がどれくらいかによって、「大吟醸」や「吟醸」、「普通酒」などと呼び名が変わります。

精米歩合

特定名称酒

原材料

精米歩合

純米タイプ

純米大吟醸

米、米麹

50%以下

純米吟醸

60%以下

特別純米

60%以下または特別な製造方法

純米

規定なし

アル添タイプ

大吟醸

米、米麹、醸造アルコール

50%以下

吟醸

60%以下

特別本醸造

60%以下または特別な製造方法

本醸造

70%以下

3. 精米歩合の違いで味や香りが変わる

精米歩合により味わいにも変化があります。下図は精米歩合および特定名称による味わいの違いを示したものになります。

米

純米酒や本醸造酒のように精米歩合が70%のものは飲んだときに米本来の味わいをしっかりと感じることができ、しっとりとしたまろやかな日本酒ならでは味わいを楽しむことができます。

いっぽう米の半分近くを削り取って造る、純米吟醸酒や吟醸酒のような日本酒は香りが華やかで、さらりと上品な口当たりになり純米酒や本醸造酒とは違った味わいになります。

純米大吟醸酒や大吟醸酒のように米の半分またはそれ以上を削り取って磨きをかけている日本酒はより華やかなそしてフルーティーな吟醸香を楽しむことができ、味わいも大吟醸酒や吟醸酒よりもさらにクリアで澄んだ透明感のある飲み口となります。

4. 精米歩合の違いを飲み比べてみた!

実際に、精米歩合60%50%23%の日本酒を飲み比べてみました。それぞれ単体で飲むよりももっと違いがわかりやすくなって面白いですよ!

4-1. 「コク、旨み、酸味のバランスが絶妙」精米歩合60% |日高見 超辛口 純米吟醸

日高見

宮城県石巻の港町に近い場所に蔵をかまえる平孝酒造その代表銘柄が「日高見」になります。東日本大震災で津波の被害を受けましたが蔵人の努力と熱意で現在では再び精力的に日本酒造りに励んでいます。

精米歩合60%まで磨き上げコクのある旨みがこのお酒の特徴。地元港町でとれる新鮮な魚介類に合わせて飲むとぴったり、ほどよい酸味も加わった旨みと酸味と辛みがバランスの良い純米酒。

・蔵元:()平孝酒造(宮城県)蔵元紹介ページはこちら→
・製品:日高見 超辛口 純米吟醸 1800ml
・価格:2,700円(税込)
購入はこちら→

4-2. 「米の旨みをより感じられる熱燗がおすすめ」精米歩合60%|神亀 純米辛口

神亀

この蔵のこだわりは全量純米酒捏来るというこだわりです。こちらの「神亀」は精米歩合60%で2年熟成させた辛口の純米酒となります。熟成酒らしくグラスに注ぐとうっすらと黄金色で熟成特有のほどよい酸味があり、さっぱりとした辛口の味わいを楽しめます。

飲み方は燗酒が一番似合うと思いますのでぜひ一度熱燗で試していただきたいと思います。常温でそのままいただくとコクの中にさっぱりとした辛口が心地よい飲みやすい日本酒で、熱燗にするとより米の濃厚な旨みが際立ち違う味わいを楽しめる上質な日本酒です。

・蔵元:神亀酒造()(埼玉県)公式ページはこちら→
・製品:神亀 純米辛口 1800ml
・価格:3,188円(税込)
購入はこちら→

4-3. 「甘い香りとソフトな辛味と甘味の調和が見事」精米歩合50%|寫楽 純米吟醸

寫楽

福島を代表する地酒が宮井泉銘醸の醸し出す「寫楽 純米吟醸」です。

吟醸酒にしてはやや香りは控えめで優しいマンゴーのような果実の甘い香り、口に含むと甘みは控えめでほどよい辛みがあり飲みやすくバランスの良い吟醸酒という印象。

優しい味わいと香りを楽しむため冷やして飲むのがおすすめです。

・蔵元:宮井泉銘醸()(福島県)公式ページはこちら→
・製品:寫楽 純米吟醸 1800ml
・価格:3,888円(税込)
購入はこちら→

4-4. 「山田錦の旨みを存分に堪能、飲み飽きしない定番酒」精米歩合50%|〆張鶴 純米吟醸

〆張鶴

純米造りを酒造りの原点と定め流行に左右されないぶれない味わいを作り続けている蔵が新潟県にある宮尾酒造になります。

兵庫県産の高品質な山田錦を使用し、50%の精米歩合で品のある柔らかな香りと味わいが持ち味の人気商品「〆張鶴 純米吟醸」です。

香りが穏やかで甘みや旨みもまろやかな分、飲み飽きしないので食事とともにいただくのに適しています。新潟で200年の歴史を誇る老舗の味わいが詰まっている一本になります。

・蔵元:宮尾酒造()(新潟県)公式ページはこちら→
・製品:〆張鶴 純米吟醸 1800ml
・価格:3,780円(税込)
購入はこちら→

4-5. 「フルーティーな香りを楽しめるワインのような日本酒」精米歩合50%| 醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦

山田錦

お猪口で飲むというよりもワイングラスで飲むのがお似合いの品のある飲みやすさが魅力の日本酒がこちら「醸し人九平次 純米吟醸 山田錦」になります。

口の中に含むととろりとまろやかな口当たりは一度飲むと心を引きつけて放さない事から女性ファンが多いことでも知られています。

上質の酒米を50%まで磨き上げるからこその上品な味わいは、パリの三つ星レストランにも採用されるなど海外でも人気商品となっています。

・蔵元:()萬乗酒造(愛知県)公式ページはこちら→
・製品:醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦 720ml
・価格:2,095円(税込)
購入はこちら→

4-6. 「口の中にスッと染み込む軽やかさは極めつけ」精米歩合23%| 獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分

獺祭

「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」は精米歩合23%で磨きをかけ造られています。なんと米の77%を削り取り残りの23%で醸すという究極の日本酒ということになります。

磨いた分だけ酒質はきれいになるといわれている通り、口の中に含んだときにスッととろけて水のように喉を通ってしまう軽やかさは他の日本酒ではなかなか味わえない感覚です。

注がれたグラスを近づけると優しく甘い花のような香りや、みずみずしい爽やかな甘みは、磨きの高さからくる味わいだということを確信させられる一本です。

・蔵元:朝日酒造()(山口県)公式ページはこちら→
・製品:獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 720ml
・価格:5,292円(税込)
購入はこちら→

まとめ

獺祭

ここまで、精米歩合についておはなしして参りました。

精米歩合とは、酒米である玄米をどれだけ削ったかの割合のことを指し、酒米は磨けば磨くほど軽やかな飲み口でさらっとしたきれいな酒質に仕上がるのだということ、また、磨き具合により味や香りなども変わってくることも説明してまいりました。

日本酒選びの際にいつも選ぶ基準を少し変えて、精米歩合で選んで飲み比べてみるというのも日本酒を楽しむ方法の一つかもしれません。

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