日本酒が手元にあるのだけれど賞味期限がわからない、未開封だけど大丈夫かな?そんな疑問をお持ちではないでしょうか?
たしかに日本酒には製造年月日の記載はあっても賞味期限の記載がないのでわかりにくいでしょう。
賞味期限は、通常の日本酒なら製造日より約1年と言われますが、種類や保存方法によっては6ヶ月など事情が変わってきます。
この記事では日本酒の正しい賞味期限の確認方法と、美味しく飲める期間をより延ばすコツについてお話ししていきます。
大手酒造メーカー数社に美味しく飲める期間を聞いてみましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. まずは製造年月と日本酒の種類を確認しよう
まず手元にある日本酒のラベルを見て製造年月、そして日本酒の種類を確認してください。ラベルに記載されている製造年月とは、日本酒を瓶に詰めた日で賞味期限とは異なります。
瓶の裏ラベルなどをよく見てみると製造年月が記入されていると思います。(表ラベルに記載されて事もある)この日本酒の場合は2019.01となっています。2019年1月に瓶詰めされたことがわかります。
次に確認するのは日本酒の種類です。
日本酒には大きく分けて上の図でお分かりのように8種類の特定名称とこれに含まれない普通酒と呼ばれるものの9種類に分けられます。上の写真の日本酒のラベルを例にとって見てみると純米吟醸となっていますので図の左下の純米タイプ・純米吟醸酒だということがわかります。
こちらの写真の日本酒は表ラベルに日本酒の種類が書かれています。このように日本酒の種類は裏ラベルの他に、表のラベルに記載されている場合もありますのでお手元の日本酒を確認してみましょう。
2. 通常の日本酒なら製造年月から約1年
製造年月は、確認出来ましたか?
では次に、その製造年月からどのくらいなら美味しく飲めるのかという疑問を今回、大手酒造メーカー数社に直接質問して確認してみました。以下がまとめた回答です。
どの酒造メーカーの回答もほぼ同じで純米タイプでも本醸造タイプでも通常タイプのお酒であれば未開封で製造年月から1年を賞味期限の目安に考えるといいようです。
また、開封後の場合は日本酒のタイプにより少し違いがありますが10日~1ヶ月を目安に飲み切れば美味しくいただけるとの事でした。
通常タイプの日本酒とは、出荷前に「火入れ」と言って加熱殺菌処理を行った日本酒のことを指します。殺菌処理をしてありますので瓶の中で菌が繁殖することが少ないタイプの日本酒です。
但し、1つだけ条件があり未開封の場合も開封後も保存状態が非常に大切であると教えていただきました。その保存方法は4章の”おいしさを長く保つためのコツは「保存方法にあった!」”で詳しくご紹介します。
一方「生」の文字がつく日本酒を「生酒」と呼びますが、この日本酒は「火入れ」を行わずに文字通り「生」のままで出荷します。そのため火入れをしてある通常タイプの日本酒よりも賞味期限は短くなります。
次の章では「生酒」の期限を詳しく見ていきたいと思います。
3. 未開封の生酒なら製造年月から6ヶ月で飲み切る
ラベルを見ていると名前に「生」がつく日本酒があります。例えば上写真の様に「無濾過本生」や「本生」と言った具合です。
こういった「生酒」の場合は未開封で製造年月から6か月以内に飲み切るようにしましょう。また、開封後は1週間を目安にできるだけ早めに飲み切ることが肝心です。
通常の日本酒の場合は瓶詰の前に2回の「火入れ」と呼ばれる加熱処理をした後、出荷されます。しかし「生原酒」や「本生」とついている「生」の日本酒に関しては、この火入れ処理をしていないので通常の日本酒よりも賞味期限は短くなります。
「生」の字がついている日本酒を見たら未開封で6か月、開封後は早めに飲み切るということを覚えておきましょう。
4. おいしさを長く保つためのコツは「保存方法」にあった!
日本酒だから必ず冷蔵庫に入れなくてはいけないということはありません。先程も述べたように一般的な日本酒はほとんどが火入れ処理を施し菌の繁殖を抑えて出荷されています。
日本酒はアルコール度数が比較的高めだということなどがあり開封前の日本酒であれば常温保存が可能です。ただし、生酒は未開封であっても冷蔵保存が必要です。
では常温保存する場所にはどんな所が適しているのでしょうか以下、注意したい点は3つです。
4-1. ①日光が当たらない場所に保管する。
日本酒は直射日光に非常に敏感です。光に当たると日光臭や老香(ひねか)と呼ばれる、たくあんの様な強い臭いが発生し味も雑味・苦味が増加してしまいます。出来るだけ日光にあてないよう注意する必要があります。
また、蛍光灯の光でも変色し(色が強くなり)劣化することが分かっています。保管の際には蛍光灯の光にも弱く品質劣化するということを知っておきましょう。
4-2. ②温度変化が少ない場所に保管する。
日本酒は高温の場所を嫌います。また急激な温度変化も劣化のもととなります。
エアコンで快適な室内温度であったとしても、日中誰もいない室内が夏の暑さで高温になったり、冬の寒さで低くなったりという温度差が激しい場所はできれば避けましょう。
日本酒は、温度の高低差が激しい場所では劣化のもとになりますので注意が必要です。
4-3. ③においの強いもののそばに置かない。
日本酒は、においを良く吸収します。たとえ瓶詰めで封を開けていなくても近くに置くと臭いが移る場合があります。ナフタリンと呼ばれる防虫剤の様な臭いの強いものや、石鹸など香りが強いものの近くに置くことは気をつけましょう。開封後であれば、その危険性は更に高くなりますので、要注意です。
開封済みの日本酒の場合はまず下図をみて下さい。
本醸造、特別本醸造、純米酒、特別純米の場合は、開封後も常温保存で大丈夫です。保存場所は先程、説明した通り日光が当たらない場所で、温度変化が少なく、においの強いもののそばに置かないが鉄則です。
一方の純米及び本醸造タイプでも吟醸や大吟醸とつくものは冷蔵庫に保存して10日程度を目安に飲み切りましょう。
冷蔵庫で保存する場合には日本酒の保存温度の目安は5~8℃なので冷蔵室や野菜室が適していると言えるでしょう。(※温度帯は目安です。各メーカーにより温度に若干の異なりがあります。)
4-4. 番外編
かなりの日本酒好きの方々の間では開封済みの場合、瓶の中にプライベート・プリザーブ と言うワイン保存用スプレーで膜を貼ると劣化しないそうです。
まとめ
ここまで未開封の日本酒の賞味期限に関してお話ししてまいりました。
日本酒の保存管理や賞味期限、開封後の賞味期間は皆様の最も気になるところだったのではないでしょうか。
火入れを行った通常タイプの日本酒であれば製造年月から約1年程度は保存状態さえ管理しておけば美味しく飲めるということがまた、生酒に関しては通常タイプとは異なり賞味期限は短いという事もあわせてご理解いただけたのではないでしょうか。
保存方法も3つのポイントをきちんと押さえていただければ、良い状態の日本酒が長期間保てます。未開封の日本酒及び開封後の日本酒の保存方法をしっかりマスターして美味しい日本酒を楽しんでいただけると幸いです。
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