酒蔵にある酒林(杉玉)ってどんな意味があるの?

酒林

酒蔵の軒先に飾られている丸い大きな玉を目にしたことがあるでしょうか?
これを、「酒林(さかばやし)」といいます。杉でできているので杉玉(すぎだま)と呼ばれたりもします。

酒蔵や一部の酒屋さんの軒先に吊るされていますね。でもこれってどんな意味があるのでしょうか?
この記事で酒林に関する疑問を徹底解説します!ぜひ参考にして下さい。

 

1.酒林とは?

酒林酒林製造販売専門店:株式会社わせこ 公式HPより

酒蔵や酒屋の軒先でよく見かける丸くて大きな丸い玉のことを酒林(さかばやし)といいます。また、杉の穂先をボール状にしたものなのでそのため杉玉(すぎだま)とも呼ばれます。

大きさは?
大きさはまちまちで、30㎝くらいの小ぶりの物もあれば90㎝程度もある大ぶりの物も。

重さは?
だいたい40㎝程度の酒林で9kgから10kgの重さがあり、50㎝くらいの酒林だと20kgほどの重さになります。
できあがり当初は杉の穂先が青く水分をたっぷりと含んでいる酒林なので重さがありますが飾っていくうちに変色しその変化と供に穂先の水分も飛びますので、徐々に軽くなっていきます。

どうやって作っているの?
芯になる部分に竹籠(もしくは針金)を使用し、その隙間に杉の葉を差し込みながら形を整え作り上げていきます。酒林は、酒蔵が自分たちで1日がかりで作っていたり、専門の業者に注文したりと様々です。

2.酒林は「新酒ができた」というしるし

蔵開き

酒林を吊す目的は、「日本酒の成熟度や飲み頃を知らせるため」となっています。

酒林が吊るされる時期は、毎年2~3月頃です。2月というのは酒蔵ではちょうど新酒が出来上がる季節。つまり酒林を新しく飾り直すことで「新酒をつくり始めました!」と蔵の外にお知らせをする印となっています。

※元々の意味合いは、日本酒の神に感謝を表すために飾られたといわれています。(第4章に記載)

3.酒林が知らせる日本酒の飲み頃

今ではできたての新酒をすぐに飲むことが多いですが、昔は新酒を少し置いてから飲んでいました。その飲み頃を知らせるのが、酒林の色合いの変化です。

3-1.酒林が緑色なら新酒が飲み頃です!

酒林

酒林を飾ったばかりの頃の色合いがこの緑です。緑色の時期は日本酒が新酒の時期です。

各酒蔵が年に1度の蔵開きを行なうのもこの時期です。

機会があれば足を伸ばしてみると楽しいです。搾りたての蔵出しでしか味わえない新酒を楽しむことが出来ます。

3-2.酒林が薄い緑色なら味わいが爽やかな夏酒が美味しい!

酒林

濃い緑の蒼々とした酒林から、徐々に色が抜けてきて少しずつ茶系色に近づきつつある初夏の時期の酒林。

緑の色合いが薄くなり初めて来るとそろそろ暑い夏へと季節も移行です、日本酒はこの時期は爽やかでサッパリとした「夏酒」といわれる物が多く店先に出回ります。

冷たく冷やした冷酒で頂くと美味しいそんな日本酒です。もし酒蔵の軒先でこのくらいの色合いの酒林を見かけたら冷酒を美味しく頂く季節なんだなと感じて下さい。

3-3.酒林が茶色なら熟成が進んだ秋上がり酒がオススメ!

酒林

夏が過ぎ秋の風も少し冷たくなってきた、そんな頃の酒林は、枯色と呼ばれる日本の伝統色の呼び名がありますがそんな枯色そのものです。

この時期になると日本酒も蔵の中で夏の熟成期間を経て旨味が増し濃厚で新酒や夏酒の味わいとはひと味もふた味も違う趣の日本酒を楽しむことが出来ます。

食欲の秋の食卓を賑わす旬の秋刀魚や香り高い松茸、牡蛎などにはまさにぴったりの味わいです

4.酒林が杉でできているわけ

神社大神神社公式HPより

4-1. 酒林と大神神社の関係

酒林の由来は、酒造りの神様といわれる奈良県にある大神(おおみわ)神社に由来します。

この大神神社は日本最古の神社であり、古くから日本酒の神様として信仰されている神社でもあります。

祈願大神神社公式HPより

毎年11月14日に新酒の醸造の安全を祈る祭典として、醸造安全祈願祭(酒まつり)がとり行なわれます。

祈願祭では拝殿に、ご神体である三輪山の杉の葉を使用して作られた直径1.5m、重さ200kgもある大きな酒林が吊されます。

この祈願祭には、全国の酒造家、杜氏、酒造関係者などが参列し、祈願祭の後、参列した関係者に「酒林」が授与されます。祈願祭に参列し三輪山の杉で作られた酒林を持ち帰り飾る風習が、その後全国の酒蔵に伝わったのではないかと言われています。この三輪山の杉が日本酒の腐食を防ぐといわれ杉はとても大切にされてきました。

4-2. 杉と日本酒の関係

日本は古来より杉と深い関係がありました。昔は杉の木樽や杉でできた道具を使って日本酒を作っていました。酒造りの現場でカビや細菌を防ぐため縁起の良い物とされてきたのです。今でも杉の升で日本酒を飲むことがありますね。

今でこそ化学の発達で杉を含む木には、フィトンチッドというカビ、細菌、害虫から自分自身を守るために殺菌作用が備わっているとわかっています。

まとめ

酒林

  • 酒林は杉の葉を使って作られているもの、そのため杉玉とも呼ばれている。
  • 元来、お酒の神として信仰されている大神神社のご神体である三輪山の杉を使って作られた杉の玉であり、醸造の安全を祈る祭典でお酒の神様に感謝をするため使う物。
  • そして、祭典に参加した酒蔵関係者が、神社から頂いた酒林を自分達の酒蔵に持ち帰り、軒先に飾ったことから全国に広まったのだといわれていること。

酒林は、季節の移り変わりと供に変色しその変色は日本酒の飲み頃を示しており、その変化と供に日本酒を飲み比べて見ることも日本酒の楽しみの1つなのではないでしょうか。