日本酒シャーベット「みぞれ酒」を作ってみてわかったコツとアレンジ法

日本酒を冷凍庫で凍らせてシャーベット状にして楽しむ日本酒シャーベットのことを「みぞれ酒」といいます。

日本酒はアルコール度数が15~16度程度のものが多く、一般的に家庭用の冷凍庫(日本のメーカーの冷凍庫は-18度~-20度のものが多い)に入れるとシャーベット状に凍ります。そのため、自宅でも簡単に「みぞれ酒」ができるんです。大人のデザートとして楽しむのには打って付けです!

今回実際にみぞれ酒を作ってみたのですが、うまくできたものとできなかったものがありました。実際作ってみてわかった作り方のコツと注意点についてご紹介していきます。

1.日本酒シャーベット「みぞれ酒」とは

みぞれ酒画像1

日本酒は、家庭用冷凍庫で一晩(12時間以上)凍らせるとシャーベット状になります。これが「みぞれ酒」と呼ばれます。有名日本料理店のコース料理や会席料理では、冬のデザートとして出されることもあり「みぞれ酒」は意外と見かけます。

実際に作ってみたのですが、凍らすと日本酒のアルコール感も落ち着いて、むしろ食べやすいと感じましたサッパリとしていて口の中を爽やかにしてくれるので、デザートとしてだけでなく、お料理の箸休めとしても良いと思います!

鍋料理

また、冬の鍋料理等の時にも熱々の鍋の合間にシャーベット状で少し溶け出したみぞれ酒を挟むことで箸休めになっておいしいですよ。

2. みぞれ酒を実際に作ってみた

今回、実際にみぞれ酒を作ってみました。紙パックの日本酒、缶入り日本酒、そしてワンカップの瓶入り日本酒の3パターンで実験、どんな違いがあったのか実際にレポートしていきます!

みぞれ酒用 日本酒画像
シャーベットを作るならコンパクトサイズの日本酒が良いと思ったこと、紙パックや缶酒など色々なタイプで試してみたかったこと等から今回は、それぞれ違う酒蔵、形態も違う3種類をお試しです。 

左から菊水酒造「ふなぐち 菊水一番しぼり」、中央 玉乃光酒造「純米吟醸 みぞれ酒(青パック)」、右側板倉酒造「米吟醸酒馨 ピンクラベル」

作り方は、玉乃光酒造さんの分かりやすい動画を参考にしました。

<おおまかな流れ>
(1)-15℃〜-18℃の冷凍庫で12時間以上保管する
(2)保管が終わったら、凍っているか振って確認する(音がしなかったら凍っている)
(3)パックなら揉み込んで、グラスに移し替えしていただく

3種類の日本酒は、同条件下の中「味わい」「凍り方」等を見てみたかったので同じ日の同じ時間に家庭用冷凍庫で凍らせました。 

冷凍庫に入っている日本酒

冷凍庫には、3種類とも一昼夜入れて凍らせました。

2-1.玉乃光酒造「純米吟醸 みぞれ酒(青パック)」

玉乃光酒造「純米吟醸 みぞれ酒(青パック)」

まずは、作り方動画をUPしている玉乃光酒造「純米吟醸 みぞれ酒(青パック)」から開封してみます。

冷凍庫から出して降ってみると、音はしない、パックは堅くなっているという事で固まっている事を確認し、動画の説明通りパックをよく揉んでからパックを開けてみました。

シャーベット状になった玉乃光酒造「純米吟醸 みぞれ酒(青パック)」

とてもきれいにシャーベット状になって出てきました、色合いも真っ白名雪のようで素敵です。堅さも丁度良いシャーベット状態で、水っぽい感じでもなくシャリシャリ感があり見た目も美味しそうです。

口に含んでみると日本酒そのもので味わうよりもスッキリとしていて爽やか!味が崩れて尖った感じになるのではないか?と心配していましたが全然そんな事はなく凍らせることで、むしろアルコール感をあまり強く感じないと思いました。

冷凍庫から出してきて、良くもみほぐして器にあけるだけなので、本当にものすごく簡単でした。動画通りです。

2-2.板倉酒造「純米吟醸酒 馨 ピンクラベル」

板倉酒造「純米吟醸酒 馨 ピンクラベル」

次は、板倉酒造「純米吟醸酒 馨 ピンクラベル」をあけてみます。

こちらの日本酒は、フタの形状がワンパック酒に良くあるプルアップキャップになっているのでそっとあけてみます。

どうですか、いい感じにフローズン状態になっています。(成功!)

瓶なので先ほどの紙パックのように、周りをもみほぐすことが出来ません。スプーンで中を少しほぐして器にあけてみます。

こちらもとても上手い具合にシャーベット状に固まってくれています。ガラスの器に盛ると夏などは涼しげでおしゃれな大人のデザートとして楽しめること間違いなしという感じです!

日本酒そのもので飲むと甘味や吟醸香のほのかな香りを楽しめる日本酒ですが「みぞれ酒」にしてみると甘味は薄らぐ感じです。

凍らせても味わいに崩れた感じはなく、少しビターな大人のデザートととしてちょっと贅沢な気分になれます。

2-3.菊水酒造「ふなぐち 菊水一番しぼり」

菊水酒造「ふなぐち 菊水一番しぼり」

菊水酒造「ふなぐち 菊水一番しぼり」は、降ってみると若干、液体感がある感じで完全に固まっていない様に思いました・・・

アルミ缶ですから少し強めに缶を押してみると、液体ではなさそう・・・シャリっとした感じが少しあります、本当にシャーベットになっているのか少々不安です。

凍らせた「ふなぐち 菊水一番しぼり」

フタを開けてみると液体感が残っています。完全にシャーベット状にはなっていませんでした。グラスに注いでみると次第にシャーベット状になりましたが完全にシャーベットにはなりませんでした。

グラスに注いだ「ふなぐち 菊水一番しぼり」

味わってみると、苦味が少し強く、完全なシャーベット状ではないからか本来ある甘味やコクなどが飛んでしまっているように感じました。

「ふなぐち 菊水一番しぼり」に関しては、「みぞれ酒」には向いていない様です。

2-4.みぞれ酒を作るときの注意点

今回「みぞれ酒」を実際に自宅で作ってみて、気が付いた点が3つあります。
・アルコール度数は低すぎず高すぎず、15度前後の日本酒が良い
・米の甘味があり味わいが濃厚なものが良い

・一度凍らせたら凍らせた状態で食べるのが良い(解凍した日本酒は味が変わる)(あくまでも個人的な見解で、他の方が行なってみたらそうでないと感じることもあるかも知れません。)

今回試してみた3種類の日本酒を簡単に表で比較してみました。

純米吟醸 みぞれ酒 青パック純米吟醸酒 馨 ピンクラベルふなぐち 菊水一番しぼり
純米吟醸 みぞれ酒 青パック純米吟醸酒 馨 ピンクラベルふなぐち 菊水一番しぼり
純米吟醸純米吟醸本醸造(アル添)
純米吟醸 みぞれ酒(青パック)|アルコール度数純米吟醸酒 馨 ピンクラベル|アルコール度数ふなぐち 菊水一番しぼり|アルコール度数
アルコール度数:15度アルコール度数:15度アルコール度数:19度

アルコール度数は低すぎず高すぎず、15度前後の日本酒が良い

日本酒の凝固点(固まる温度)は、15度~16度のアルコール度数の日本酒だと、-15~-16度でフローズン状態になるといわれています。

「ふなぐち 菊水一番しぼり」は、アルコール度数が19度です。アルコール度数が高いこの日本酒の場合の凝固点は-19度以上になります。一般的な家庭用冷蔵庫の冷凍庫は、-18度位のものが多いので今回の「ふなぐち 菊水一番しぼり」 は思う様なフローズン状態に固まらなかったのです。

反対に12度とか13度、14度のアルコール度数の低い日本酒だと、フローズン状態にならないのかも知れません。「みぞれ酒」を販売している酒蔵さんの日本酒を見ていると15~16度のものを販売しています。

米の甘味があり味わいが濃厚なものが良い

もう1つフローズン状態になった時の味わいですが、個人的には米の甘味が感じられる純米タイプの日本酒がみぞれ酒には向く感じがしました。純米タイプのものは凍らせてもほのかな甘味が残っており、味も崩れた感じがしませんでした。

一方アル添が添加されたものは苦味があり、甘味より渋味を感じました。(今回は本醸造は菊水しか試していないので一概には言えませんが)アル添と呼ばれる日本酒は、醸造アルコールを入れて造られています。これはお酒の香り、味を際立たせて酒質の安定をはかる目的で入れます。しかし凍らせることにより、この安定していた酒質が崩れてしまうのではないか?と感じました。菊水はそのまま飲むと甘味もあり凄く美味しい日本酒なんですよね。
ただし、これはあくまでも個人的見解です。まだ色々な日本酒で試してみないとですね。

一度凍らせたら凍らせた状態で食べるのが良い(解凍した日本酒は味が変わる)

ただし、純米タイプの日本酒もフローズン状態から全て溶けて日本酒の状態になったときの味わいは、もとの日本酒の味わいと違います。そっけない感じで同じ味わいには戻りませんでした。凍らせたみぞれ酒は、フローズンの状態で頂くのがベストだと感じました。

3.みぞれ酒のおいしいアレンジ方法

みぞれ酒にアレンジすると良いもの

そのまま食べてももちろん日本酒の風味がきいて美味しかったのですが、少しアレンジしたらどうだろうと考えアレンジしてみました。

3-1.みぞれ酒+コーヒーリキュール

みぞれ酒+コーヒーリキュール

甘味はさほどいらない、サッパリとした味わいがお好みならコーヒーリキュールのカルーアなどはおすすめです。

お酒ですがコーヒーの風味が、みぞれ酒と相性が良くなんだかもの凄く大人な雰囲気のデザートに早変わりです。少しコッテリとした洋食の後のデザートとかにおすすめです。

3-2.みぞれ酒+マンゴーリキュール

みぞれ酒+マンゴーリキュール

マンゴーリキュールですから、お味は甘めに仕上がります。女性の皆さんにはぴったりかも知れません。
写真ではうっかりマンゴーリキュールをたっぷり入れてしまいました・・・

みぞれ酒の上からサラッとまわしかける程度で充分です。みぞれ酒が溶けてくるとマンゴー日本酒として楽しめて甘味があるのでついつい飲み過ぎてしまいそうです。夏の暑い日に楽しむのにもぴったりだと思います。

3-3.みぞれ酒+柚ジャム

みぞれ酒+柚ジャム

みぞれ酒じたいがサッパリ、スッキリしていますから甘めのジャムと合せても全然いけてしまいます。
甘めのかき氷用シロップをかけるという方もいますが私は断然、柑橘系のジャムと合せるのをおすすめします。

特に柚子は、和の柑橘類ですから日本酒とは相性が良いです。甘さがあるのでデザートとして召し上がると満足感があると思います。冬の鍋料理の最後にデザートとして出されたら凄く嬉しくなるのではないでしょうか

3-4.みぞれ酒+生姜エキス

生姜エキスそのものは、甘味があり生姜のピリッとした味わいもあり紅茶などに混ぜてジンジャーティーなどで楽しんだりするものですが、みぞれ酒にも結構合います。

沢山入れすぎると生姜の辛さが強くなるので、少しで充分ですが柚子とは違うピリッとした甘さが際立ちひと味違う日本酒シャーベットが味わえます。すき焼きみたいな少し甘味のある食べ物などの後に頂くと口の中がサッパリとして美味しく頂けるのではないでしょうか。

まとめ

ここまで、みぞれ酒って何?というかたのために実際にみぞれ酒を作ってレポートをしてみました。

自宅の冷凍庫で一晩凍らせれば手軽に出来てしまう、とてもおしゃれで美味しい大人の味わいのデザートです。皆さんもぜひ、一度挑戦してみてください。

コメント