昔は「熱燗ってアルコール感が強くなって苦手だな・・・」と思っていました。
でも、今は冬も夏も年中熱燗を楽しむようになった私。
ガラッと変わった理由は、それまで「熱燗の温度を間違っていたから」なんです。
温度によって日本酒は化けます。味わいがガラッと変わります。
少し前までは具体的な温度を気にせず「熱々で!」、ちょっとかっこつけて「ぬる燗で!」などとお店で頼んでいました。今となっては無知だったなーと思います。(まだまだ今も勉強中ですが)
実は、熱燗には「その日本酒を一番美味しくする温度」というのがだいたいあって、温度が変わると全然違う味わいに感じるんです。常温では感じられなかった甘味や深みなどを引き出せたり、アルコール感がむしろ抑えられてむしろ飲みやすくなったり。もちろん、どの温度でもおいしく感じることもありますが、せっかくなら一番美味しい温度をおさえておきたいところです。
熱燗をもっと美味しくする温度の考え方についてお話していきます。
1. 熱燗の温度のきほん
熱燗と言っても様々な温度帯があります。厳密に言うと「熱燗」は50〜55度の温度を指し、そこから5度刻みで上燗、ぬる燗、人肌燗というのがあります。
日本酒造組合中央会「知っておきたい燗酒の常識」より参照
それぞれの温度帯がどの日本酒に合うか?というところですが、ここはざっくり「大吟醸」「吟醸」「純米」「本醸造」の4種類で理解しておくといいです。もちろん、日本酒によって「一番美味しい温度」というのは違ってきますが、ベースの知識として知っておきましょう。
実際のところ「一番美味しい温度」は日本酒によって変わりますし、飲む人の感じ方によっても変わってきます。確実な方法は実際に試してみることです。例えば本醸造の日本酒を買ったらまずは表で◎になっている上燗で飲んでみる。そして熱燗にしてみたりぬる燗にしてみたりする。すると、自分好みの温度がわかってきます。
その時にぜひ用意しておきたいのが温度計。お酒専用の酒燗計(しゅかんけい)というものがあって、お燗を作る時に便利です。というか、これがないと最初は温度の感覚をつかむのは難しいです。
Amazonや楽天などで1,000円〜購入可能です。私は海外に滞在する際も持っていっています(笑)
「酒かん計」Amazonで見る>
「おかんメーター」楽天で見る>
2. 日本酒8本の「一番おいしく飲める温度」を探してみた
どんな日本酒にどんな温度帯がいいのか、具体的にイメージしやすいよう紹介します!
いろいろ試して私が「これはおいしい!」と思う温度を書いていますが、ぜひ温度帯を変えてみることもオススメします。意外な発見があって面白いですよ。
2-1. 熱燗でパンチが落ち着く「酉与右衛門(よえもん)山廃純米」
【オススメの温度帯】熱燗(50-55度)
2年の長期熟成酒の山廃仕込み純米酒。そのまま飲むと山廃独特の酸味は強くかなりパンチ力のある辛口。熱燗にすることで米の甘味・旨味が酸味を抑え飲みやすくなります。
・蔵元:(合)川村酒造店 (岩手県) ・製品:酉与右衛門 山廃純米 1800ml ・価格:3,696円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-2. 熱燗でなめらかな口当たりになる「田酒(でんしゅ)特別純米 山廃」
【オススメの温度帯】熱燗(50-55度)
そのまま飲んでも円やかで美味しい日本酒。熱燗にすると滑らかな口当たりと酸味のバランスが深くなる。飲み終わった後も、旨味が口の中に広がっていて印象深い味に変わる。
・蔵元:(株)西田酒造店 (青森県)公式ページはこちら→ ・製品:田酒 特別純米 山廃 1800ml ・価格:4,900円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-3. 上燗で軽やかさが増す「会津娘(あいづむすめ)特別純米酒 無為信」
【オススメの飲み方】上燗(45-50度)
冷酒で飲むと、少しカチッとした堅さがある。上燗まで温度を上げると、甘味と旨味が引き立ち軽やかさがます。軽い酸味があるので、ぬる燗でも◎
・蔵元:高橋庄作酒造店 (福島県)公式ページはこちら→ ・製品:会津娘 特別純米酒 無為信 720ml ・価格:1,898円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-4. ぬる燗で米の旨みが引き立つ「七本槍(しちほんやり)純米 玉栄」
【オススメの飲み方】ぬる燗(40-45度)
酒米玉栄を60%精米した純米酒。冷酒だといかつい感じで重々しい味わい。ぬる燗だと米の味わいがグッと引き立ち旨味が出ます。
・蔵元:冨田酒造(有) (滋賀県)公式ページはこちら→ ・製品:七本鎗 純米 玉栄 720ml ・価格:1,540円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-5. ぬる燗でみずみずしいさがきわだつ「久保田 百寿 本醸造」
【オススメの温度帯】ぬる燗(40-45度)
熱燗だと辛味が強く出てしまう感じ、冷酒だとミネラル感のある苦みを感じます。それがぬる燗にすると、軽やかでみずみずしい味わいに。
・蔵元:朝日酒造(株) (新潟県)公式ページはこちら→ ・製品:久保田 百寿 本醸造 720ml ・価格:1,012円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-6. 超熱燗で辛口にコクがでて本領発揮「神亀(しんかめ)純米辛口」
【オススメの温度帯】飛び切り燗(55~60度)
「飛び切り燗」とは、熱燗より高い温度(55~60度)で燗つけしたものをいいます。
こちらは2年熟成の辛口純米酒。燗酒のために造られていると言っても良いかもしれない。熱々の飛び切り燗温度まで一度上げることで、辛口にコクが出て濃厚な味わいへと変わります。
・蔵元:神亀酒造(株) (埼玉県)公式ページはこちら→ ・製品:神亀 純米辛口 720ml ・価格:1,679円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-7. 燗冷ましでソフトな味になり飲みやすい「花巴(はなともえ)水酛純米無濾過」
【オススメの温度帯】燗冷まし(熱燗→ぬる燗)
「燗冷まし」は熱燗(50-55度)でつけた日本酒を、40度くらいの「ぬる燗」まで下げてから飲む飲み方です。日本酒ソムリエの方や日本酒講師の先生などは「燗冷まし」のことを「眠っていた旨味や甘味を一気に起こす」という表現をします。
こちらの日本酒は、そのまま飲むと酸味はが少々ダイナミックな味。燗冷ましで飲むと全体の味わいがソフトになり飲みやすくなります。
・蔵元:吉野醸造(株) (奈良県)公式ページはこちら→ ・製品:花巴 水酛純米無濾過 720ml ・価格:1,650円(税込み) ・ご購入はこちら → |
2-9. 燗冷ましで落ちつくふくよかな甘み「七田(しちだ)純米七割五分」
【オススメの飲み方】燗冷まし(熱燗→ぬる燗)
無濾過で75%精米でも技術力の高さで、そのまま飲んでも雑味は感じない。「熱燗」にすることで酸味がソフトになり、少し冷めて落ち着いたところで飲むのと最高。とてもふくよかで米の甘味を感じます。
・蔵元:天山酒造(株) (佐賀県)公式ページはこちら→ ・製品:七田 純米 七割五分 720ml ・価格:1,375円(税込み) ・ご購入はこちら → |
3. どうやっておすすめの温度帯を見つける?
一番おいしい温度帯を見つけるのは、実際に自分で試してみるのが確実です。
ただ、全部が全部試すのはちょっと大変・・・そんなときに私がやっている方法を紹介します。
3-1. プロに聞く!
手っ取り早いのは、酒販店の店員さん、もしくは日本酒に詳しい居酒屋に聞くこと。その道のプロなので知識も豊富ですし、自分で研究して色々な日本酒を飲んでいらっしゃいます。日本酒をおいている居酒屋さんでは私はあえて温度の指定はせず、オススメの温度でいただくようにしてます。
3-2. オンラインショップで情報を見る
オンラインショップでお酒を検索すると、オススメの温度帯を書いてくれているお店がわりと多いです。
佐野屋公式オンラインより
急いで日本酒を買ってきて、家で「どうやって飲もう!?」と迷ったときはこの方法をとっています。
3-3. とりあえず上燗(45-50度)にしてみる!
どうしても迷ったら、とりあえず上燗(45-50度)くらいに温めて飲んでみるのがおすすめ。熱燗ほど高い温度ではないので、味わいが大きく崩れることはないかなと思っています。
東京の池尻大橋で「えんじゃく」という料理屋を営む、燗付師の高木氏のお話によると熱燗にするお酒を選ぶときには、2つのことに注意して選ぶと失敗しないとのこと。
・香りの強い「吟醸酒系」の日本酒はさける ・「生酒」をさけて、火入れしてある日本酒を選ぶ |
香りの強い吟醸酒は温めると「生臭さ」が出ることがあるため、「生酒」は酒質が敏感なためお燗することで味が崩れる可能性があるからです。山田氏が熱燗について解説している記事がこちらです。面白いのでぜひ一度読んでみてください。
日本酒は7色に変化する!「熱燗の魔術師」が語る、熱燗の魔力
まとめ
熱燗は温度によって味わいが変わります。ぜひおいしい温度帯を見つけてみてください!
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